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殿堂入り確実なイチローはどこのチームの選手として殿堂入りするのか?

三尾圭スポーツフォトジャーナリスト
殿堂入りが確実なイチローはどこの選手として殿堂入りするのだろうか?(三尾圭撮影)

12月29日にメジャーリーグ公式サイトが、現役選手の殿堂入りの可能性を分析する特集を組んだことで、日本でもイチローの殿堂入りがニュースとなっている。メジャーリーグ公式サイトでイチローの殿堂入りは疑いの余地がないと報じられているように、イチローは日本人選手初の殿堂選手となるはずだ。イチローがメジャー通算3000安打を目前にしていた今年7月下旬に、筆者がアメリカ野球殿堂博物館のジェフ・アイドルソン館長に直撃取材したときにも、館長自らが「イチローは野球殿堂入り相応しい選手」と明言している。

メジャー通算3000安打を放ったイチロー(三尾圭撮影)
メジャー通算3000安打を放ったイチロー(三尾圭撮影)

野球統計学の権威として名高いビル・ジェームズ氏が編み出した「殿堂モニター」によると、イチローは歴代打者の中で31位の234ポイントの評価を得ている。100ポイントで「殿堂入りの可能性大」、130ポイントだと「殿堂入り確実」と言われるこの殿堂モニターで、234ポイントを稼いでいるのだから、イチローの殿堂入りは当確と言える。

イチローよりもポイントが高い打者30人の中で、殿堂入り資格を与えられる「引退から5年以上経過」した選手の中で、殿堂入りしてないのは、340ポイント(10位)ながら薬物使用の過去を持つバリー・ボンズ、311ポイント(14位)を稼いだが野球賭博で永久追放処分を受けているピート・ローズの2人だけだ。

イチローの殿堂入りは議論する必要もないほどに確実なだけに、気になるのは当選した際の投票率と、どこのチームの選手として殿堂入りを果たすのかの2点となる。

グリフィーと談笑をするマリナーズ時代のイチロー(三尾圭撮影)
グリフィーと談笑をするマリナーズ時代のイチロー(三尾圭撮影)

イチローは資格1年目で、殿堂入りを果たすはずだ。その際に、どれだけ高い支持率を得られるのだろうか?

75%以上を得れば殿堂入りできるが、歴代最高の支持率を得たのは、マリナーズ時代にイチローと同僚だったケン・グリフィー・ジュニアの99.3%。今年殿堂入りしたグリフィーは、それまで最高だったトム・シーバーの98.8%を塗り替えた。あのベーブ・ルースさえ95.1%であり、人格者として知られるハンクアーロンは97.8%だった。イチローは95%前後の投票を集めると予想されるが、歴代何位の投票率を得られるのだろうか?

マリナーズでプレーした12シーズンで2533安打を放ったイチロー(三尾圭撮影)
マリナーズでプレーした12シーズンで2533安打を放ったイチロー(三尾圭撮影)

殿堂入りした選手は、過去に所属したチームの中から1球団を選んで、そのチームのロゴを付けて殿堂入りすることになる。

イチローはシアトル・マリナーズで11年半、ヤンキースで2年半、マイアミ・マーリンズで2年プレーしているが、普通に考えれば2533安打を放ったマリナーズの一員として殿堂入りするだろう。

マリナーズの選手として殿堂入りしてたのは、グリフィー一人だけ。イチローがマリナーズ2人目の選手として、敬愛するジュニアと一緒に殿堂選手となるのが、シアトルのファンも、日本のファンも望む形のはずだ。

しかし、50歳まで現役を続けたいと主張しているイチローが、あと8年間マーリンズでプレーを続けたとしたらどうだろうか?マーリンズ在籍10年となり、マーリンズ初の殿堂入り選手となる可能性も否定できない。

このままイチローがマーリンズでプレーを続けて、ローズが持つメジャー通算最多安打記録の4256安打を塗り替えれば、安打数ではマリナーズ時代の2533安打の半分程でも、マリナーズよりもマーリンズの選手としてのイメージが強くなる。イチローが現役でいる間に、マーリンズがワールドシリーズに出場すれば、イチローがマーリンズの選手として殿堂入りする確率も高くなってくる。

イチローはあと何年マーリンズでプレーを続けるのだろうか?(三尾圭撮影)
イチローはあと何年マーリンズでプレーを続けるのだろうか?(三尾圭撮影)

イチローの前にマリナーズで51番を着けてプレーしたランディ・ジョンソンは、マリナーズ在籍10年間で130勝を挙げたが、8年間で118勝したアリゾナ・ダイヤモンドバックスの一員としての殿堂入りを選んでいる。

ビッグユニットの場合はダイヤモンドバックスのメンバーとして4年連続サイ・ヤング賞に選ばれ(マリナーズ時代は1度)、ワールドシリーズ制覇も成し遂げているので、実績からしてダイヤモンドバックスを選んだのは当然とも言える。

もしくはグレッグ・マダックスのように、どこのチームも選ばないでの殿堂入りの可能性も否定できない。日本球界でプレーした9年間の実績も加味するのであれば、殿堂に飾られるレリーフの帽子部分には何もロゴが入らない無地という選択肢もありだろう。

スポーツフォトジャーナリスト

東京都港区六本木出身。写真家と記者の二刀流として、オリンピック、NFLスーパーボウル、NFLプロボウル、NBAファイナル、NBAオールスター、MLBワールドシリーズ、MLBオールスター、NHLスタンリーカップ・ファイナル、NHLオールスター、WBC決勝戦、UFC、ストライクフォース、WWEレッスルマニア、全米オープンゴルフ、全米競泳などを取材。全米中を飛び回り、MLBは全30球団本拠地制覇、NBAは29球団、NFLも24球団の本拠地を訪れた。Sportsshooter、全米野球写真家協会、全米バスケットボール記者協会、全米スポーツメディア協会会員、米国大手写真通信社契約フォトグラファー。

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