2024年の4月。関東ではどんよりとした日々が続き、どうやらお天道様は雨の中健気に咲き誇る桜がお好みのようで、すんなりとレジャーシートを広げさせてはくれません。北上する桜前線により、お目当ての土地の見頃を心待ちにしていらっしゃる方が理想のお花見を楽しめますように。

花より団子という言葉がございますが、常に私は「花も団子も」をモットーに毎日を過ごしております。和菓子と日本の四季は切っても切れない関係です。すなわち、お花見には美味しい食べ物は然り、甘いものが欠かせません。

創業1872年、和菓子と洋菓子双方に長けた技術を持っている「たねや」さん。百貨店はもとより、お取り寄せでも多数の限定商品を取り扱うなど季節感を大切にしたお菓子作りでも評判です。今回は、私のお気に入りでもあるたねやさんの最中の中から、春限定の「ふくみ天平さくら」をご紹介。

ふくみ天平はたねやさんの定番商品のひとつ。ご自身でスティック状の食べやすい最中種に餡を挟んでいただく最中なのですが、今回のさくらは一味違います。

まずはそのお色味。最中種はいずれも桜色のですが、それぞれ彩度が異なるのです。わずかな差が、より立体感とワンランク上のお洒落イメージを醸し出しています。

そしてなんといっても特徴的なのが挟むあんこ。小豆の中でも希少とされ、ポリフェノールを含まない白小豆を使用。その中でも北海道産のキタホタルを炊き上げそっと寒天で固め、尚且つ桜の葉の香のパウダーをあわせているなんとも春らしい餡子。

あっさりとしていながらも実に滋味深く優雅な味わいの小豆により、桜の心地よい香りとさくさくの最中種の香ばしさを存分に満喫。一般的なこし餡よりもさらりとしているのですが、余韻は確かに小豆らしいふくよかさを孕んでいます。手亡豆の白餡とは異なり、全体的に淡く儚げなまろやかさを楽しめるのも白小豆の特徴です。

更に中に閉じ込めたとろりと伸びる求肥も食感や自然な甘味のアクセントに。それぞれタイプの異なる「匂い」と「歯応え」の組み合わせが見事に一体化した最中です。

出来立てをいただけるので、お花見のおやつにもぴったりなふくみ天平シリーズ。クリスピーな最中種なので、持ち運びの際はタッパーなどにハンカチなどを敷いて包んで持ち歩くのもひとつの手です。

最後までご覧いただきありがとうございました。

柳谷ナオ