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ブルース&ソウルのひたすら暑い夜。次世代ブルースの女王クリスタル・トーマスがアルバム発表&来日ライヴ

山崎智之音楽ライター
Crystal Thomas / courtesy of P-Vine,Inc.

ブルース&ソウル・クイーン戴冠まで待ったなし。クリスタル・トーマスが実力派ミュージシャン陣とのニュー・アルバム、そして来日公演で日本に帰ってくる。

2018年には日本が誇るジャンプ・バンドBLOODEST SAXOPHONEのアルバム『I JUST WANT TO MAKE LOVE TO YOU』に“テキサス・ブルース・レディーズ”の1人として参加(彼女はルイジアナ出身だが、テキサスを拠点に活動してきた)。山下達郎の「YOUR EYES」やジャニス・ジョプリンの「One Good Man」などのソウルフルな歌唱で話題を呼んだ彼女は同年12月のライヴ・イベント『ブラサキpresents “Snuck宇宙”』で来日、共演ライヴを実現させている。

クリスタルのリーダー・アルバム『ドント・ウォリー・アバウト・ザ・ブルース』は、そんな彼女のヴォーカルを心ゆくまで味わうことの出来る作品だ。

『Don't Worry About The Blues』ジャケット(Mr. Daddy-O Records / 8月7日発売)
『Don't Worry About The Blues』ジャケット(Mr. Daddy-O Records / 8月7日発売)

アルバート・キングの「キャント・ユー・シー・ホワット・ユーア・ドゥーイング・トゥ・ミー」、マディ・ウォーターズの「ガット・マイ・モジョ・ワーキン」、レイ・チャールズの「レッツ・ゴー・ゲット・ストーンド」、シャーリー・スコットの「ザ・ブルース・エイント・ナッシング・バット・サム・ペイン」など、スタンダードから知られざる隠れた名曲までを豊かな声量とエモーション、唯一無二のスタイルで歌いこなす本作は、クリスタルにとってのブレイクスルー・アルバムになることが確実視されている。

流行に囚われることのない、20世紀から受け継がれるブルースとソウル、ファンクを歌うヴォーカルは、血の通った鮮度の高さを誇っている。決して古びることのないタイムレスな響きを持った本作は、21世紀を通じて音楽リスナーを魅了するに違いない。

日本で知られるようになったのは比較的最近だが、42歳となるクリスタルのキャリアは長い。シンガーとしての活動に加えてジョニー・テイラーのバンドにトロンボーン奏者としても参加した経験のある彼女は、ソングライターとしても本作に「ベイビー・ドント・リーヴ・ミー」を提供。正調ブルース&ソウルの中にも、彼女ならではの濃厚な芳香が満ちている。

2019年4月、テキサス州ダラスのキッチン・スタジオで録音された本作でクリスタルをバックアップするのは、チャック・レイニー(ベース)とラッキー・ピータースン(オルガン&ピアノ)という歴戦の強者たちだ。ブルースとファンクを肉体レベルで心得尽くしたベテランの演奏は、彼女のヴォーカルと融け合いながらひとつのグルーヴを生み出している。

『It's The Blues Funk!』ジャケット(P-Vine / 8月7日発売)
『It's The Blues Funk!』ジャケット(P-Vine / 8月7日発売)

なお、このアルバムはCDフォーマットの『ドント・ウォリー・アバウト・ザ・ブルース』と同日(2019年8月7日)、アナログ盤LP『イッツ・ザ・ブルース・ファンク!』も発売となる。CDの全14曲(+別ヴァージョン1曲)からアナログ向きの10曲をピックアップ。ジャケットからレコードを取り出し、ヴァイナルの匂いを嗅いで、ターンテーブルに乗せて針を下ろして聴き入る贅沢なブルース体験をしたいリスナーには、LPヴァージョンがおすすめだ。

そしてアルバムの発売に先駆けて2019年7月末から8月上旬、BLOODEST SAXOPHONEとの再合体を果たす来日ライヴも行われる。

7月26日(金)にはフジ・ロック・フェスティバルのCAFE DE PARISに出演。29日(月)には東京・下北沢メンフィス兄弟。でブラサキ3と共演、31日(水)には東京・渋谷クラブクアトロで開催される『ブルース&ソウル・レコーズ』誌の創刊25周年記念ライヴにも出演する。8月4日(日)には広島・SETOUCHI BEACH JAM 2019のAINA HAINA STAGEにセミ・ヘッドライナーとして出演することも決まっている。

アルバムに耳を傾け、ライヴ・パフォーマンスに身体を揺らす。クリスタル・トーマスの生のブルース・ファンクに浸る日本の夏は、ひたすら熱い。

Crystal Thomas / courtesy of P-Vine,Inc.
Crystal Thomas / courtesy of P-Vine,Inc.
Chuck Rainey / courtesy of P-Vine,Inc.
Chuck Rainey / courtesy of P-Vine,Inc.
Lucky Peterson / courtesy of P-Vine,Inc.
Lucky Peterson / courtesy of P-Vine,Inc.

【アルバム紹介】

●クリスタル・トーマス ft. チャック・レイニー&ラッキー・ピータースン

『ドント・ウォリー・アバウト・ザ・ブルース』

Mr. Daddy-O Records/スペースエイジ SPACE-021

2019年8月7日(水)発売予定

●クリスタル・トーマス ft. チャック・レイニー&ラッキー・ピータースン

『イッツ・ザ・ブルース・ファンク!』

Pヴァイン PLP-6960

2019年8月7日(水)発売予定

http://p-vine.jp/?s=crystal+thomas

【来日公演】

BLOODEST SAXOPHONE feat. CRYSTAL THOMAS  LIVE

7/26(金)FUJI ROCK FESTIVAL ’19

出演 CAFE DE PARIS

7/29(月)下北沢メンフィス兄弟。

出演:ブラサキ3 スペシャルゲスト:CRYSTAL THOMAS

7/31(水)渋谷クラブクアトロ

ブルース&ソウル・レコーズ創刊25周年記念 

BLOODEST SAXOPHONE feat. CRYSTAL THOMAS LIVE IN TOKYO

出演:BLOODEST SAXOPHONE feat. CRYSTAL THOMAS

スペシャルゲスト:吾妻光良(予定)

開場/開演 18:30開場 / 19:30開演

8/4(日) SETOUCHI BEACH JAM 2019 出演 広島・尾道 瀬戸田サンセットビーチ

http://setouchibeachjam.com/

Bloodest Saxophone feat Crystal Thomas flyer
Bloodest Saxophone feat Crystal Thomas flyer
音楽ライター

1970年、東京生まれの音楽ライター。ベルギー、オランダ、チェコスロバキア(当時)、イギリスで育つ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒業後、一般企業勤務を経て、1994年に音楽ライターに。ミュージシャンを中心に1,300以上のインタビューを行い、雑誌や書籍、CDライナーノーツなどで執筆活動を行う。『ロックで学ぶ世界史』『ダークサイド・オブ・ロック』『激重轟音メタル・ディスク・ガイド』『ロック・ムービー・クロニクル』などを総監修・執筆。実用英検1級、TOEIC945点取得。

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