アップルが開発中と噂の人工知能スピーカー カメラで人を見分ける機能を搭載
米シーネットなどが報じるところによると、米アップルは現在開発していると噂されている音声アシスタント機器に、カメラを搭載することを検討しているという。
早ければ年内に発売か?
このカメラが何に使われるのかと言うと、人を見分けるためとのことだ。
この機器には顔認証機能も搭載され、利用者が誰であるかを判断する。これにより、部屋の中にいる人の好みに合わせ、ストリーミング再生する音楽のジャンルを変えたり、照明の明るさを調整したりするのだという。
アップルの音声アシスタント機器については、先頃、米国のテクノロジーニュースサイト、ジ・インフォメーションなどが報じていた。
これらの報道によると、アップルは「iPhone」などのモバイル端末向けに提供している音声アシスタントサービス「Siri」を利用できる、単体の専用機器を開発している。
こうしたアシスタント機器には、米アマゾン・ドットコムが一昨年から米国で販売している「Echo(エコー)」とそのシリーズ製品があるが、先頃米グーグルも「Google Home」という小型機器を発表して話題になった。
アップルが開発しているとされる機器もこれらと同様、スピーカーとマイクを備え、利用者の音声命令に応じて音楽やニュースを流したりする。
またアップルの機器は、家庭の様々な機器や設備と連携し、それらを操作できるようにするiOSのソフトウエアプラットフォーム「HomeKit(ホームキット)」にも対応する。同社のクラウドサービス「iCloud」も利用でき、「カレンダー」「連絡先」「メール」といったアプリ機能も使えると伝えられている。
今回のシーネットの報道によると、このアップルの機器は早ければ年内に発売される可能性もあるが、より有力な発売時期は来年という。ただし、アップルは計画を変更する場合もあり、この製品そのものの計画を中止する可能性もあると、シーネットは伝えている。
カメラがずっと監視? プライバシー侵害を懸念
こうした家庭用の機器にカメラを取り付けることについては、プライバシー侵害の問題が懸念されている。
シーネットのニュース解説者の話によると、米マイクロソフトは2013年に、同社のゲーム機を動作させるには、カメラを搭載する周辺機器(ジェスチャー入力コントローラ)も一緒に利用しなければならないといった仕様を計画した。
しかし、これが物議を醸したため、その後同社はこの計画を撤回し、カメラ機能をオプションにした。
また、アマゾンのEchoについても、アシスタントサービスを呼び出すための「Alexa(アレクサ)」というキーワードを言うまで、家の中の会話をずっと聞いているのではないかといった懸念の声があるという。
一方でセキュリティ対策も不可欠
ただ、こうしたアシスタントサービスが様々な個人情報を扱うようになる中、機器やサービスが何らかの方法で利用者を識別し、セキュリティーを確保する必要があると、米テック・インサイダーの記事は伝えている。
この記事ではその例として、アマゾンが最近、米地銀大手のキャピタル・ワンと提携し、音声命令で銀行口座を確認、管理できる機能を追加したことを挙げている。
それによると、利用者はアマゾンのEchoに対し、次のような音声命令ができるという。
「アレクサ、私の当座預金口座の最近の入出金状況をキャピタル・ワンに聞いて」
「アレクサ、クレジットカードの請求を支払うようキャピタル・ワンに頼んで」
テック・インサイダーの別の記事によると、現在のところこのサービスでは、命令した後、4桁の暗証コードを声で入力するといった、少し脆弱とも思えるセキュリティ設定が可能になっているという。
(JBpress:2016年5月31日号に掲載/原題「アップルが開発中と噂の音声アシスタント機器、顔認証技術で人を見分ける機能を搭載する見通し」)