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主な新興国/米国経済ニュース(12月20日)

増谷栄一The US-Euro Economic File代表

来年のポーランド経済成長率、3%増の可能性―中銀副総裁

ポーランド中央銀行のヴィトルト・コジンスキー副総裁は19日、来年の同国の経済成長率について、3%増となるものの、インフレ上昇リスクはないとの見通しを示した。地元週刊紙ワルシャワ・ボイス(電子版)が伝えた。

一方、ヤヌシュ・ピエホチンスキ経財相は同国の今年10-12月期GDP(国内総生産)伸び率が前年比2.2%増になるとの見通しを明らかにした。コジンスキー副総裁は10-12月期のGDP伸び率が予想を上回る可能性があり、その場合、今年全体の成長率が2%増になることが期待されるとしている。

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ロシア大統領、今年の成長率は1.4%増、インフレ率は6.1%上昇と予想

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は19日の会見で、今年のGDP(国内総生産)伸び率について、1.4-1.5%増になるとの見通しを示した。また、インフレ率については6.1%上昇と、昨年の6.6%上昇に比べ、上昇ペースが鈍化するとした。ロシアのプライム通信(電子版)が伝えた。

プーチン大統領は、今年の成長率は1.4-1.5%のレンジの下限(1.4%増)になる可能性が高いとの認識を示している。一方、経済発展省は最近、今年のGDP伸び率の見通しを1.8%増から1.4%増へ下方修正しており、両者の予想は一致している。インフレ率の予想については、経済発展省は6.4-6.4%上昇としているが、プーチン大統領の予想はそれよりも低くなっている。

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トヨタ、インドネシア・カラワン第2工場で「ヴィオス」の現地生産開始

トヨタ自動車のインドネシア法人、トヨタ・モーター・マニュファクチャリング・インドネシア(TMMIN)は18日から首都ジャカルタ東部カラワンにあるカラワン第2工場で、サブコンパクトセダン「ヴィオス(Vios)」のフルモデルチェンジ車の現地生産を開始した。地元経済紙ビジネス・インドネシア(電子版)が19日に伝えた。

ヴィオスの初期の生産台数は月間1000台となっている。TMMINの野波雅裕社長によると、ヴィオスのインドネシアでの現地生産のために、これまで2兆5000億ルピア(約210億円)の資金を投じている。トヨタはインドネシアでのヴィオスの現地生産に入る前はタイから輸入していた。ヴィオスは国内販売に限定しているが、将来、輸出される可能性がある。

TMMINではすでに3月からハッチバック小型セダン「エティオス・バルコ(Etios Valco)の生産を開始し、年間7万台のペースで生産しているが、来年からはヴィオスに続いて、4ドアハッチバック「ヤリス」のフルモデルチェンジ車もカラワン第2工場で現地生産に入る予定。この時点で、TMMINの生産台数はカラワン第1工場(年間13万台)と合わせて年間25万台体制となる。

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インドネシアの通貨ルピーと国債、米QE3縮小決定で下落

インドネシアの通貨ルピーと国債が19日、米FRB(連邦準備制度理事会)が前日18日に第3弾量的金融緩和(QE3)の段階的縮小を決定したのを受けて、いずれも急低下した。ジャカルタ・グローブ(電子版)が外国通信社の報道を引用して伝えた。

ルピア相場は19日のジャカルタ市場で、午前9時15分時点で0.3%安の1ドル=1万2203ルピアだったが、一時、1万2210ルピアと、2008年12月以来5年ぶりの安値を記録した。一方、2023年5月償還の10年国債の価格も下落し、債券価格と反対方向に動く利回りは8.44%と2ベーシスポイント(0.02%ポイント)上昇している。

インドネシア金融最大手マンディリ銀行傘下のマンディリ証券の債券調査部の責任者であるハンディ・ユニアント氏は、「FRBはQE3の縮小を決めたが、政策金利であるFF(フェデラル・ファンド)金利の誘導目標は据え置から、超低金利政策を維持することから、インドネシア市場からの資金流出は限定的になる」と予想している。「むしろ、来年は経常収支の改善(赤字縮小)で海外からの資金流入が見込めるため、ルピアと国債は下支えられる」としている。インドネシアの国債市場ではQE3の早期縮小を見越す形で、今月初めからFRBの決定直前の17日までに、2兆2000億ルピア(約190億円)規模の資本流出が起きている。

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ベトナム首相、銀行界に来年のインフレ率6.5-7%上昇達成で協力要請

ベトナムのグェン・タン・ズン首相は18日、ハノイで開かれた中銀主催の会合で、2011-2015年の銀行システム改革スキームについて、2014年に向けて改革の動きを一段と強化する必要性を明らかにした。ベトナムの声・ハノイ放送局(電子版)などが19日に伝えた。

同首相は、銀行界に対し、政府の財政政策や中銀の金融政策に沿って、来年のインフレ率を6.5-7%上昇に抑制し、自国通貨ドンの相場の安定、経済成長と企業支援のための銀行貸し出しの拡大、さらには潤沢な流動性確保などを達成できるよう日々の銀行業務で努力するよう要請した。

また、健全な銀行システムを構築するため、特に脆弱な銀行は不良債権を一掃し、資産運用会社を再選定し財務を改善するよう求めた。このほか、同首相は中銀に対しても銀行の不良債権処理と銀行検査を一段と強化するよう求めた。

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米マクドナルドの日本法人、今年の純利益見通しを半分以下に下方修正

米ファストフード大手マクドナルド<MCD>の日本法人、日本マクドナルドホールディングスは19日、今年12月期(2013年1-12月)の純利益が前回予想時の117億円から50億円に下方修正したことを明らかにした。これは日本国内の店舗改造費が予想以上に増大したため。

同社によると、国内3000店舗のうち、74店舗の閉鎖と多くの既存店舗の改装にかかった費用が膨らみ、純利益が67億円も下方修正せざるを得ないとしている。日本法人は最近の急激な円安の進行で一部安値商品の値上げを余儀なくされたほか、主力のコーヒー販売もコンビニ大手との競争に晒され、7-9月期の既存店ベースの売上高は前年比5%減と苦戦を強いられている。

また、通期の売上高の見通しも前回予想時の2650億円から今回の予想では2600億円に下方修正した。同社は、「8月以降の全店売上高は、当初の想定を大きく下回る水準で推移している。その間、商品開発に努めてきたが、顧客の期待に十分に応えることができなかった」とした上で、「第1四半期以降の客数は見込みを大幅に下回り、第3四半期以降では、期間限定商品の提供に加え、客数獲得のための施策に傾注したものの、その効果は限定的なものとなった」としている。

英紙フィナンシャル・タイムズ(電子版)によると、マクドナルドの日本法人の投資分析をカバーしているアナリストの大半は、投資判断を「売り」に引き下げている。

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米オラクル、9-11月期の調整後利益は予想上回る―株価急伸

米業務用ソフト大手オラクル<ORCL>が18日に発表した9-11月期(第2四半期)決算は、純利益が前年比1%減の25億5000万ドル(約2650億円)となったが、1株当たり利益(希薄化後)は同5%増の56セントとなった。また、調整後1株当たり利益も同7%増の69セントとなり、アナリスト予想の67セントを上回った。

売上高も同2%増の92億8000万ドル(約9650億円)となり、アナリスト予想の91億8000万ドル(約9550億円)を上回った。売上高が予想を上回ったのは4四半期ぶり。同社は減益となり、売上高の伸びも小幅だった理由としてドル高の影響を挙げており、ドル高の影響を除けば利益は前年比7%増、調整後利益も同9%増、さらに、売上高も同3%増になったとしている。

この結果を受けて、同社の株価は18日、3%高の34.6ドルで引けた。米東部時間の翌19日午後1時33分時点で5.84%高の36.62ドルと急伸している。(了)

The US-Euro Economic File代表

英字紙ジャパン・タイムズや日経新聞、米経済通信社ブリッジニュース、米ダウ・ジョーンズ、AFX通信社、トムソン・ファイナンシャル(現在のトムソン・ロイター)など日米のメディアで経済報道に従事。NYやワシントン、ロンドンに駐在し、日米欧の経済ニュースをカバー。毎日新聞の週刊誌「エコノミスト」に23年3月まで15年間執筆、現在は金融情報サイト「ウエルスアドバイザー」(旧モーニングスター)で執筆中。著書は「昭和小史・北炭夕張炭鉱の悲劇」(彩流社)や「アメリカ社会を動かすマネー:9つの論考」(三和書籍)など。

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