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哲学を語らない風土。「サッカーは布陣でするものだ!」と、あえていいたくなる理由

杉山茂樹スポーツライター
ハビエル・アギーレ  (写真:ロイター/アフロ)

 3年数か月前、日本代表監督に就任したハビエル・アギーレは、その就任記者会見の席上でこう述べた。

「布陣は4-3-3を基本に考えている。展開次第では3-4-3にもなります」と。

 もちろんこの時、代表選手は決まっていない。顔ぶれがハッキリしていないなかで、使用する布陣だけはしっかりと宣言した。

 そして実際、アギーレは4-3-3が試合の中で中盤フラット型3-4-3に変化する、俗に言う可変式の布陣を武器に戦った。

 布陣ありき、だった。それまでの日本サッカーには、それとは異なる概念が厳然と存在していた。布陣は選手の顔ぶれ次第で変わるもの。そう言い出す監督は少なくなかった。解説者や評論家もしかり。ファンにもそうした声が多く聞かれた。

 布陣ありきはどちらかと言えば少数派に属した。多少強引に、「サッカーは布陣でするものだ!」的な書き方をすれば、すかさず反論を頂戴したものだ。

 アギーレの前任監督、ザッケローニは4-2-3-1で戦ったが、トレードマークは中盤フラット型3-4-3だった。当時、イタリアのみならず世界的にも、全く流行っていなかったこの布陣を拠り所に、ウディネーゼをセリエAの上位に導いた。ザッケローニは布陣を売りに戦ってきた監督だった。

 布陣には特徴がある。4-3-3や中盤フラット型3-4-3と言えば、守備的サッカーのイメージは湧きにくい。

 4-2-3-1と4-3-3を併用しながら、いわゆる縦に速いサッカーを唱え、けっして攻撃的とは言えないサッカーを展開したハリルホジッチは例外としても、大抵は、監督が採用する布陣を見れば、方向性を読むことができる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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