なぜシティはギュンドアンの獲得に動いているのか?グアルディオラの熱望…J・アルバレスの抜けた穴。
キャプテンの復帰が、近づいている。
マンチェスター・シティは、イルカイ・ギュンドアンの獲得に動いている。昨年夏、バルセロナに移籍したギュンドアンだが、今夏、放出候補に。ジョゼップ・グアルディオラ監督の希望もあり、シティは“元主将”を確保しようとしている。
■バルセロナと選手登録
ギュンドアンは、昨夏、バルセロナと「2年契約+1年オプション」で合意。ファーストシーズン、60%以上の試合出場数を満たしたため、自動的にオプションだった契約更新がなされていた。
しかし、バルセロナは、財政が厳しく、選手の放出を考慮しなければいけなかった。サラリーキャップに問題を抱えるクラブは、この夏にライプツィヒから獲得したダニ・オルモを選手登録できていない。
そう、バルセロナは、今夏、移籍金5500万ユーロ(約88億円)でD・オルモを獲得している。元々、バルセロナのカンテラ出身の選手だ。スペイン代表として臨んだEURO2024では、得点王に輝き、スペインの優勝に大きく貢献している。
だがバルセロナはそのD・オルモを起用できずにいる。彼を選手登録するため、年俸2000万ユーロ(約32億円)といわれるギュンドアンの放出を検討し始めた。フレンキー・デ・ヨング、ロベルト・レヴァンドフスキに次いで、年俸が高かったのがギュンドアンだった。
■監督交代とシステムチェンジ
また、バルセロナは昨季終了時にシャビ・エルナンデス監督が退任。ハンジ・フリック監督が、新たにチームを率いる運びとなった。
シャビ・バルサでは、ギュンドアンは【4−3−3】のインテリオールでプレーしていた。しかしながら、ハンジ・フリック監督の就任後、バルセロナは【4−2−3−1】にシステムチェンジ。当然、トップ下のポジションは一つしかない。ペドリ・ゴンサレス、フェルミン・ロペス、負傷明けのガビ、そういった選手たちと定位置争いを強いられることになった。
一方、シティはギュンドアンの状況を注視していた。
シティは、この夏、移籍金2500万ユーロ(約40億円)でサビーニョを獲得している。他方で、フリアン・アルバレスが移籍金7500万ユーロ(約120億円)でアトレティコ・マドリーに移籍した。
サビーニョは、昨季レンタル加入していたジローナで見せていた通り、快速を鳴らすドリブラーである。ジェレミー・ドク、ジャック・グリーリッシュとポジションを争うタイプの選手で、J・アルバレスとは異なる。
J・アルバレスのように、複数ポジションをこなせるユーティリティ性を備え、なおかつ高い戦術理解度と決定力を有している選手は、そう多くない。そのようなシチュエーションで、ギュドアンを復帰させられるというのは、シティからすれば「棚から牡丹餅」のようなものだ。
シティは昨季、ケヴィン・デ・ブライネが負傷で長期離脱を強いられた。デ・ブライネの不在の間、中盤の構成力が落ちて、かつアーリング・ハーランドのパフォーマンスも下がった。同じ轍を踏まないためにも、ギュンドアンが戻ってくるというのは、グアルディオラ監督としては頼もしいだろう。
「ギュンドアンには、リーダーとしての素質がある。それは、毎回のトレーニングで示される。時間通りに来て、24時間、仕事のために生きている」
「ゴールの近くでプレーすれば、素晴らしい得点感覚を披露する。ボランチで試合に出ても、問題なくプレーする。以前、フェルナンジーニョがケガで離脱した期間、ギュンドアンをボランチで使い、うまくいった。ある試合で、ロングボールを多用され、フィジカルの強いボランチを入れようかと思ったが、ギュンドアンはその賢さをもって切り抜けていた」
かつて、グアルディオラ監督は、そのようにギュンドアンを称賛していた。
シティは「1年+1年オプション」の契約をギュンドアンに準備。33歳の経験豊富なMFが復帰する手筈を整えている。
ドイツ、イングランド、スペイン、再びイングランドーー。ギュンドアンの新たな旅が、始まろうとしている。