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「悪気があるのとないのとでは、どちらが質(タチ)悪く、罪深いか?」を、カウンセラーが考察しました。

竹内成彦心理カウンセラー(公認心理師)

こんにちは。
精神医学と性格心理学に詳しい
心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

今日は、「悪気があるのとないのとでは、どちらが罪深いか?」というお話をさせていただきます。あくまでも、心理臨床家として…というよりは、私個人のいち意見です。正解ではございませんので、そのあたりにつきましては、何卒ご容赦いただけますようお願い申し上げます。

ちなみに、「守るものがある人と失うものがない人、どちらが強いか?」という記事は、大変に反響が大きく、多くの方から褒められました。よろしければ、どうぞコチラもご覧ください。

私がまだ高校生だった頃、倫理社会の授業の時、ある先生と討論を交わしました。
先生は、「悪いと知りながら、悪いことをする奴のほうが悪い。悪いとは知らずに、悪いことをする奴は仕方がない」と言ったのです。私は手を挙げて反論しました。私は「悪いと知りながら、悪いことをする奴は、まだマシだ。悪いと知らずに悪いことをする奴は、大変に罪深く、タチが悪い」と言ったのです。

当時の私は、弁が立ったのです。あの頃の私は、まだ若かったです。
ちなみに、今の私は、弁が立たないです。話を聴いてばかりで、討論することが苦手です。

先生は言いました。「悪いと知らないで悪いことをしている奴は、自分がやっていることが悪いと知ったら、やめるだろう。悪いと知りながら、悪いことをしている奴のほうがタチが悪いぞ」
私は言いました。「先生。先生は、そのあたりは、いつになく大変に楽観的ですね。悪いと知らないで悪いことをしている奴が、悪いと知ったからと言って、それをやめるとは限りませんよ」

ちなみに、悪いと知りながら悪いことをしている人のことを「確信犯」と言う人がいますが、それは誤りです。言葉の使い間違いです。確信犯とは、 自分の政治的・宗教的な信念や道徳に基づいて、正しいと信じてなされる犯罪やその行為を行う人のことを意味する言葉です。

話しを戻します。
私は、性犯罪加害者を援助したりもすることがある心理臨床家です。
性犯罪、たとえば盗撮をする人の中には、悪気がある人とない人がいます。悪気がある人は、盗撮が悪いと知りながら盗撮しています。「やめなくっちゃ」と思いつつ、自分の性衝動に負け、盗撮行為を繰り返しています。そんな自分が情けなく、それでカウンセリングに来て、自分の性嗜好を治すことに、力を注いだりします。←まだ警察に、1度も捕まってないにも関わらず、カウンセリング料を持って、私に会いに来るのです。凄いですよね。「立派だ」と私は思います。

けれど、盗撮が悪いことだと思ってない人がいます。「誰にもバレずに上手に盗撮すれば、女の子も気付いてないわけだし、誰にも迷惑かけてない筈だし、被害者ゼロだ」と思っています。←こういう悪気がない人は、警察に捕まるまで延々と、駅のエスカレーター等で盗撮を繰り返します。自分がやっていることが悪いと思ってないわけですから、1度ぐらい警察に捕まって罰金を支払わされても、「今度はバレずに上手に盗撮しよう」と思うだけで、盗撮行為を繰り返し続けます。←こういう人は、いつの日か、「ああ、俺は、悪いことをしている」と気付いたところで、もうそれが癖になっており、自分の身に沁みついているので、なかなか改善はされていかないです。

如何でしょう。

悪気があってやっている人と悪気がなくやっている人、どちらがたくさん盗撮行為をするでしょう? どちらが質(タチ)が悪いでしょう? どちらが罪深いでしょう?
私(竹内成彦)が、「悪気がない人のほうが、質(タチ)が悪い」「悪気がない人のほうが罪深い」というのは、そういう理由からです。

上記の文章を読んで、あなたはどう思いますか?
なかなか難しい問題ですよね。

私は10代の頃から、悪気なく人を傷つける人のほうが罪深いと思っていました。何故なら、そういう人は、嫌いな人にはモチロン、好きな人にも、本人が嫌がる不快なことをし続けますからね。そして、傷つけた本人は、良心を痛めてないのですから、相当な質(タチ)悪さんです。私が、「悪気がなかったら、いいってもんじゃないでしょう!」と言うのは、上記の理由からです。

今日も最後までお読みくださって、どうもありがとうございます。
心から感謝申し上げます。

      この記事を書いた人は、心理カウンセラー(公認心理師)の竹内成彦です。

心理カウンセラー(公認心理師)

1960年、愛知県名古屋市で生まれ育つ。1997年06月、地元愛知でプロのカウンセラーとして独立開業を果たす。カウンセリングルーム「心の相談室with」名古屋 の室長。臨床歴25年、臨床数15,000件を超える。講演・研修回数は800回、聴講者は10万人を超える。【上手に「自分の気持ち」を出す方法】など、電子書籍を含め、20数冊の本を出版している。カウンセリング講座などを開催し、カウンセラーを育てることにも精力を尽くしている。

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