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年俸3000万ドルの左腕が投げ合い、その値段に見合う投球をしたのは

宇根夏樹ベースボール・ライター
抱き合うバッテリーの右にいるのが、デビッド・プライス Oct 28, 2018(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 今シーズンのメジャーリーグには、年俸3000万ドル以上の選手が6人いた。ピンとこないかもしれないが、1ドル=100円として計算すれば、30億円となる。6人中、野手が2人、投手は4人。右投手と左投手が2人ずついて、ワールドシリーズ第5戦は、クレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)とデビッド・プライス(ボストン・レッドソックス)の両左腕が、先発マウンドに上がった。

筆者作成
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 彼らが投げ合ったのは、レギュラーシーズンを含め、初めてのことだ。今年のワールドシリーズで、カーショウは第1戦に登板。プライスは第2戦に加え、第3戦もリリーフとして0.2イニングを投げた。カーショウは第3戦に代打として出場したが、プライスではなくネイサン・イオバルディと対戦した。

 2人のうち、第5戦に年俸の値段(プライス)に見合う投球をしたのは、プライスだった(この一文が書きたかっただけではないかと言われれば、否定はしない)。

 5回裏が終わるまでは、両投手ともほぼ互角の投球をしていた。どちらも70球未満で被安打は3本しかなく、失点はともに初回のホームラン――カーショウは2ラン、プライスはソロ――によるものだけ。だが、カーショウは6回表と7回表にソロ本塁打を1本ずつ打たれ、8回表からペドロ・バイエズにマウンドを譲った。一方、プライスは3回裏の1死三塁から14人続けて討ち取り、8回裏に先頭打者を四球で歩かせたところで降板した。

 なお、カーショウもプライスも、このオフに自ら契約を破棄してFAになる、オプト・アウトの権利を持っている。カーショウは7年2億1500万ドルの5年目を終え、残りは2年6500万ドル(年平均3250万ドル)だ。プライスの7年2億1700万ドルは、あと4年1億2700万ドル(年平均3175万ドル)が残っている。30歳のカーショウはオプト・アウトするかどうかを決めていないようで、ここからの10日間に決断する。33歳のプライスは行使せずに残留する見込みだ。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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