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アイスホッケーの試合でハットトリックを達成した選手が現れると、NHLのチームが儲かる理由

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
NHL史上5人目のデビュー戦でのハットトリックを達成したオーストン・マトュース(写真:USA TODAY Sports/アフロ)

創設100年目を迎えたNHLは、一昨日(現地時間)レギュラーシーズンが開幕しました。

一番最初に幕を開けたオタワの試合では、今年のドラフト全体1位指名を受けたトロント メイプルリーフスのFWオーストン・マトュースが、史上5人目の「デビュー戦でハットトリック」を達成!

それだけにとどまらず、マトュースは「NHLで初めてのデビュー戦4得点」という離れ業をやってのけました!

さらに昨夜は、ドラフト全体2位指名で、18歳ながらフィンランド代表に選ばれ、昨季の世界選手権でMVPに輝いたパトリック・ライネ(ウィニペグ ジェッツ)も、デビュー戦で初得点をマーク。

また、ルーキーではありませんが、史上最年少でキャプテンに任命されたコナー ・マクデイビッド(エドモントン オイラーズ)も、いきなり初戦で2ゴールをゲット。

このように10代のプレーヤーの働きが注目を集めましたが、なかでもデビュー戦で4得点したマトュースの活躍は格別!

アメリカで全国放映権を持つNBCテレビは、マトュースのホームアリーナでのデビュー戦を、同局のスポーツチャンネルで、急きょ生中継すると発表しました。

▼ハットトリックのお約束

ところで、ご存知の方も多いでしょうが、「ハットトリック」とは1試合に一人の選手が3得点以上することです。

ここでまず、昨日の記事で紹介したマトュースのハットトリック達成のシーンを、もう一度 ご覧いただきましょう。

何かお気づきになりましたか?

気づかなかった方のために、もう一度。

スタンドのご両親の表情に続いて、マトュースがベンチの祝福に戻るシーン以降に、ご注目ください。

もうお分かりですね。

「スタンドから帽子が投げ込まれた!」

のです。

▼”HAT”TRICK だけど”CAP” を投げ込む

NHLをはじめ、北米やヨーロッパなどのプロリーグの試合では、ハットトリックを達成すると、その選手の活躍を称えようと、スタンドのファンが「ハット」(をかぶって来る人は少ないですから・・・)ではなく、「キャップ」(帽子)をアリーナへ向かって投げ入れます。

上の動画でご覧いただいたマトュースのハットトリックは、ビジターゲームだったため、それほどの数ではありませんでしたが・・・

もし、ホームチームの顔とも言える主力選手(赤#8)が!

しかも、プレーオフでハットトリックを達成した時には !!

このように数多くのファンが帽子を投げ込んで、とんでもない大騒ぎ !!!

帽子を片づけるため、試合が10分以上中断する時もあるほどです。

▼投げ込まれた帽子は、どうなるの?

ところで、ファンから投げ込まれた帽子は、どうなるのでしょう?

以前は廃棄処分にされたり、一部がチャリティ活動に用いられたりしていましたが、近年のNHLでは、このように扱うチームが見られます。

ワシントン キャピタルズのホームアリーナや、、、

ベライゾンセンターのコンコース(Rights of Jiro Kato)
ベライゾンセンターのコンコース(Rights of Jiro Kato)

フィラデルフィア フライヤーズのホームアリーナのように、、、

ウェルズファーゴセンターのコンコース(Rights of Jiro Kato)
ウェルズファーゴセンターのコンコース(Rights of Jiro Kato)

回収した帽子を集めて、ハットトリックの選手名や日付とともに、アリーナのコンコースに展示するチームが増えてきました!

▼ハットトリックを達成するとNHLのチームが儲かる !?

このような光景をご覧になると、、、

「曲がりなりにも、北米4大メジャースポーツの一つなのに、

NHLのチームは、チープなファンサービスをしているんだなぁ」

と思われる方がいらっしゃるでしょうけれど、まさしく、おっしゃるとおり !!(笑)

そもそも、帽子はファンが投げ入れた物なので、原価はゼロ。

コンコースに展示コーナーを設けるのも、莫大なコストがかかるわけではありません。

さらに、このように展示されると聞いたら、また観戦に訪れて、自分が投げ込んだ帽子を探してみたくなりませんか?

そして何より、ハットトリックをした選手がいたら、ほとんどのチームは試合に勝利するでしょうから、帰り際にチームショップに立ち寄って、新しい帽子を買って帰るファンも少なくないはず。

そんなファンの心理をくすぐるかのように、試合中に会場の大型ビジョンに、

「ハットトリック達成を祝して定価の20%オフで販売するから、

あなたの被っている古い帽子を、新しいのに買い換えよう!」

なんていうメッセージまで出されたら、財布の紐も緩んでしまいますよね~。

新しい帽子はいかがですか?(Rights of Jiro Kato)
新しい帽子はいかがですか?(Rights of Jiro Kato)

ということで結論は、、、

ハットトリックを達成するとNHLのチームが儲かる

ことになるのです。

でも、お気に入りチームの選手がハットトリックを達成して、試合に勝ってくれれば、帽子の一つや二つくらい高い買い物ではないですよね!

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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