リヴァプールがガクポを射止める...W杯でブレイクしたストライカーとクロップの算段。
センセーショナルな活躍が、ビッグクラブの関心を引き付けた。
リヴァプールはコディ・ガクポの獲得を決めている。移籍金固定額4200万ユーロ(約58億円)+ボーナス1400万ユーロ(約19億円)でPSVと合意。23歳のストライカーが、プレミアリーグでの挑戦に臨む。
■カタールW杯でブレイク
ガクポは、カタール・ワールドカップ(W杯)にオランダ代表の選手として参加した。ルイ・ファン・ハール監督の下、5試合3得点と好パフォーマンスでオランダのベスト8進出に貢献した。
そのガクポを、複数クラブが狙っていた。レアル・マドリー、マンチェスター・ユナイテッド...。ビッグクラブが移籍先候補に挙げられていた。
特に、ユナイテッドはガクポの獲得を真剣に検討していた。クリスティアーノ・ロナウドが、カタールW杯直前に電撃退団。その後釜として、ガクポを引き入れようとしていた。
ユナイテッドを率いるエリック・テン・ハーグ監督は以前からガクポを高く評価していた。実際、この夏の移籍市場で、ガクポの名前は補強リストに入っていた。
「僕は夏に移籍する寸前までいっていた。テン・ハーグと何度か話す機会があった。でも、移籍は成立しなかった」と回想するのはガクポである。
「とても残念だった。自分の成長を考えれば、マンチェスター・ユナイテッドのようなビッグクラブに移籍できるのは、素晴らしいことだったからね。ユナイテッドは世界で有数のビッグクラブだ。だから、あの頃は非常にストレスが溜まる日々を過ごしていた 」
「いつかプレミアリーグやそれに匹敵するリーグに移籍するチャンスが来れば、もちろん考えたい」と語っていたガクポを射止めたのは、リヴァプールだった。
■リヴァプールの事情
リヴァプールは、今季序盤戦で苦しんでいた。現在、プレミアリーグで6位に位置。チャンピオンズリーグ出場権獲得に向け、4位以内でのフィニッシュを目指している。
この夏、リヴァプールはダルウィン・ヌニェスを獲得した。移籍金固定額7500万ユーロ(約105億円)+ボーナス2500万ユーロ(約35億円)と大金をつぎ込んでベンフィカからFWを確保した。
一方でリヴァプールはサディオ・マネをバイエルン・ミュンヘンに放出した。近年、リヴァプールの成功を支えてきたマネ、モハメド・サラー、ロベルト・フィルミーノの「MSF」が解体され、ユルゲン・クロップ監督はチームの再編を強いられた。
しかしながら、D・ヌニェスの適応が遅れ、ディオゴ・ジョッタ、ルイス・ディアスが相次いで負傷離脱した。プレミアリーグでは、リヴァプール(31得点)のゴール数は、アーセナル(36得点)、ニューカッスル(32得点)、マンチェスター・シティ(40得点)、トッテナム(33得点)より少ない。
今季のプレミアで、リヴァプールが僅差で落とす試合は少なくなかった。前線の起爆剤が必要になり、ガクポの獲得に乗り出した。
■ガクポのプレースタイルと役割
ガクポは今季、PSVで24試合に出場して13得点17アシストを記録している。PSVでは、主に左ウィングでプレーして、ゴールとアシストを量産していた。
ただ、オランダ代表では、【5−3−2】の2トップの一角で使われていた。「監督からは『君は10番のポジションでプレーできる』と言われていた。自分としても、良いポジションだと思ったから、監督に『問題ありませんよ』と答えたんだ。それから、そのポジションでプレーするようになった」とはガクポの弁だ。
先のプレミアリーグ第17節のアストン・ヴィラ戦では、ステファン・バイチェティッチというヤングプレーヤーが出てきた。若い選手を成長させることに関しては、クロップ監督は定評がある。
リヴァプールでは、ガクポはCFあるいは左WGで起用されるだろう。W杯でブレイクしたストライカーが、フットボールの母国で羽ばたけるかーー。ガクポとリヴァプールの新たなチャレンジに、注目したい。