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創業72年の老舗店は博多豚骨ラーメンのルーツの一つ〈古き良き昭和の原風景をそのまま体感できる一杯〉

RAMEN ANTENNAラーメンアンテナ|福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺
博龍軒の「もやしラーメン」

福岡県福岡市東区の馬出。すぐそばには福岡市営地下鉄の「馬出九大病院前駅」があり、中洲川端駅を経由することで福岡を代表する繁華街「天神駅」や「博多駅」といった利便性の高い場所からも訪れやすい立地にある。町内には九州大学病院があり、お隣には福岡県庁や東公園、福岡市民体育館、学校などの公共施設を中心に、さまざまな施設が集中しているエリアになる。

そんな中「馬出中央商店街」という商店街のはずれに、1952年(昭和27年)創業と今年72年の歴史と伝統を誇る、博多を代表する豚骨ラーメン店がひっそりと佇む。その屋号は〈博龍軒〉といい、福岡・博多の豚骨ラーメン好きなら誰もが知る、うま馬、元祖赤のれんとともに博多ラーメンの源流のお店とされる老舗店だ。

昭和のラーメン店の原風景が今も楽しめる

9月に久しぶりに訪れ、古き良き昭和時代の博多の原風景を味わい『また来てみたい』と純粋に思っていた。その想いのままひと月ぶりの訪問になった。時刻は10時30分ちょうど。馬出中央商店街の端のエリアにある〈博龍軒〉の店舗前。2台分ある専用駐車場の一つはすでに埋まっていて、もう一つのスペースに車を停めると、ちょうど暖簾が掛かるタイミングで営業開始だ。

古びた佇まいのイニシエ感が昔懐かしい

店舗の外観は色褪せた看板や古びた暖簾が老舗の雰囲気と貫禄を醸成させる。そんな風景の写真を撮って店内へ向かう頃にはお店の周辺から幾人かが、ほとんど同時に店内に向かって入るタイミングだった。

ガラス戸を開き店内に入ると、寂びて趣のある朱色の(L字型)カウンターがあり、3番手で正面奥の席へ腰を下ろすとメニュー表の中からあらかじめ決めていた「もやしラーメン」を注文した。結局、開店と同時に自身も含めて6人の客が着席するという、さすが老舗店の人気ぶり。

注文した「もやしラーメン」の仕上がりを待つ間、店内周辺に置かれた食器棚や家具、器などといった設えを眺めていると、その一つ一つに貫禄や威厳が感じ取れ、何某かの意味さえも感じられる雰囲気を醸し出していた。

あらためて昭和の頃に遡ったような感覚で時が止まったような空間。その中で、先客が注文したワンタンメンと大盛ラーメンの二杯が流れるような手捌きで先行して仕上げていく。それを眺めながら待つことしばし。器の種類が変わり、自身の「もやしラーメン」と後客の方のラーメン二杯が同時に仕上げられていく。

もやしラーメンは輪切りのゆで卵が乗る

そして配膳された「もやしラーメン」は、小さめの器にチャーシューと少量のネギとキクラゲというベースのトッピングに、多めに盛られたシャキシャキの「もやし」と、色々あるメニューの中でもなぜか唯一「ゆで卵」の輪切りが2つ乗せられている。なみなみと注がれた豚骨のスープの色味は、一般的なイメージの白濁ではなく、茶褐色の逸品。

醤油のカエシが強く主張する褐色スープ

博多の豚骨ラーメンの起源とされる逸品だけに、豚骨の香りを薄く感じながらも豚骨スープ自体の濃厚さはなく、どちらかといえば甘めな醤油のカエシの主張が力強い。口当たりも軽やかさなあっさりとした味わいに仕上がっている。どこか懐かしさのある一杯は、今もなお博多の豚骨ラーメンの「源流らしさ」を色濃く残している素朴な味わい。

創業当時とほとんど変わらないとされる「自家製の麺」は、細ストレートの平打ち麺。見た目からもその特徴が分かるひと品は、しなやかで柔らかな食感を纏い、これぞ〈博龍軒〉という逸品になる。ごちそうさまでした。

福岡・博多の「豚骨ラーメン」を語るうえで欠かすことのできないピースの一つ〈博龍軒〉。ご旅行やラーメンツアーなどで、博多のラーメンを食べ歩きする時は、創業72の老舗店にして、博多豚骨ラーメンの「ルーツの一つ」として体験してみるのはいかがでしょうか。そして現在流行っている豚骨ラーメンとの食べ比べで、新旧の味わいも同時に楽しんでみるのもいいかもしれませんね。

博龍軒

住所  :福岡県福岡市東区馬出2丁目5-23[地図
営業時間:10時30分〜15時30分
店休日 :月曜日・木曜日
駐車場 :専用駐車場あり(2台分)

ラーメンアンテナ|福岡のラーメンを愛する地元民の一日一麺

福岡の片隅で日常食としてのラーメンを啜り続け、日々頭の中でグルグルとラーメンが廻っています。一日一麺、週間9麺、毎年450麺ほどを食べています。福岡の地元民が日々食べているラーメンをできるだけ多くの方に知っていただきたいという想いから肩肘張らない感度緩めな『ラーメンアンテナ』をお届けしています。少しでも福岡での麺活の参考になれば幸いです。〈 Horii Koji 〉

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