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「コナン」最新作 予想どおりのロケットスタートでシリーズ悲願の年間トップを目指す

斉藤博昭映画ジャーナリスト
(C)2024 青山剛昌/名探偵コナン製作委員会

4月第3週の週末(4/19〜21)の日本での映画動員ランキングで、2週連続1位をキープした『名探偵コナン 100万ドルの五稜星(みちしるべ)』。2週目での累計興行収入は65億円を超え、メガヒットの基準となる100億円到達は時間の問題となった。

2023年の前作『名探偵コナン 黒鉄の魚影(サブマリン)』が最終の興行収入で138.8億円を記録。シリーズ26作目にして初の100億円突破が大きな話題となった(25作目の『ハロウィンの花嫁』は97.8億円で、あと一歩だった)。今回の『100万ドルの五稜星』は、前作の数字を上回るかどうかに注目が集まる。

その直近2作と今回の初動の週末3日間(金〜日)の興収を比較すると…

『ハロウィンの花嫁』 第1週:19億円

           第2週:8億9400万円(土日のみの数字)

           累計:36億円

『黒鉄の魚影』 第1週:31億4600万円

        第2週:16億1500万円

        累計:58億円

『100万ドルの五稜星』 第1週:33億5200万円

            第2週:19億2100万円

            累計:65億円

『ハロウィンの花嫁』を基準にすると、『黒鉄の魚影』が最初の週末で165%、2週目の累計で161%。『100万ドルの五稜星』が同様に176%180%となっている。

『黒鉄の魚影』で一気にアップした数字は、今回の『100万ドルの五稜星』で微増。落ち着いた印象ではあるものの、2週目の累計から単純に試算すれば、『黒鉄の魚影』に対して『100万ドルの五稜星』は112%なので、最終興収の予想は155億円となる。

155億円といえば、2008年の『崖の上のポニョ』と同じ数字。日本での歴代興行収入ランキングで14位だ。このまま順調に興行を続ければ、おそらく『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』は2024年の年間興行収入ランキングで1位になる可能性も高い。現在(4/24)のところ、年間トップに君臨するのは『劇場版ハイキュー!! ゴミ捨て場の決戦』の97.7億円

その『ハイキュー』は初週の3日間が22億3000万円、2週目が11億2000万円。『100万ドルの五稜星』は、その約1.5倍の数字を叩き出している。

年間のトップを争う作品には夏休み公開のものも多い。もともと高い数字が期待できる、新海誠、細田守、スタジオジブリ作品がローテーションを作って夏から秋の興行を盛り上げていた近年だが、今年はそれらの公開がない。大化けが期待されるのが、8/30公開の山田尚子監督のアニメーション『きみの色』あたりだが、数字は未知数。洋画も『ボヘミアン・ラプソディ』、『トップガン マーヴェリック』、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』のようなサプライズを含めた爆発的ヒットで100億円を超えそうな作品が今のところ見当たらない。

2023年、『THE FIRST SLAM DUNK』、『ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー』に次いで、『名探偵コナン 黒鉄の魚影』は年間興収ランキングで3位だったが、2024年は「コナン」シリーズで初の年間トップを飾るかもしれない。これからゴールデンウィークに突入してどこまで集客するかが注目されるが、映画業界として年間の興行を考えた時、「コナン」と競い合うほどの特大ヒット作が突如として現れることも必要になってくるだろう。

映画ジャーナリスト

1997年にフリーとなり、映画専門のライター、インタビュアーとして活躍。おもな執筆媒体は、シネマトゥデイ、Safari、スクリーン、キネマ旬報、VOGUE、シネコンウォーカー、MOVIE WALKER PRESS、スカパー!、GQ JAPAN、 CINEMORE、BANGER!!!、劇場用パンフレットなど。日本映画ペンクラブ会員。全米の映画賞、クリティックス・チョイス・アワード(CCA)に投票する同会員。コロンビアのカルタヘナ国際映画祭、釜山国際映画祭では審査員も経験。「リリーのすべて」(早川書房刊)など翻訳も手がける。連絡先 irishgreenday@gmail.com

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