スマホ利用者84.7%・テレビ利用者86.3%はその端末で利用…ソーシャルメディアの利用端末別利用率
昨今ではモバイル端末のスマートフォンとタブレット型端末の普及が目覚ましいが、これらの端末の浸透を大いに助け、また逆にそれらの普及で利用者数が大きく伸びているのが、ウェブサービスのソーシャルメディア。それでは実態としてどれぐらいの人が、どの端末を使ってソーシャルメディアを利用しているのだろうか。総務省が2023年5月に発表した「通信利用動向調査」(※)の公開値を基に、その実情を確認する。
今調査の結果においては、インターネットへのアクセス手段としてパソコンを使っている人は5割近く、携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方合わせて)で7割台との結果が出ている。またタブレット型端末では2割台。
それでは昨今のインターネットでは欠かすことができないウェブサービス「ソーシャルメディア」(ここではFacebookやツイッター、mixiのようなSNSに限らず、世間一般においてソーシャルメディアと認知されているLINEなども含む(質問票にも記載あり)。ただし広義のソーシャルメディアでは該当するブログや掲示板、動画投稿・共有サイトは、別選択肢として用意されているため、ここでは含まれない)に関して、いかなる端末からアクセスされているのだろうか。それを確認していく。
次のグラフは「該当機種でインターネットを利用している人」のうち「該当機種でソーシャルメディアを利用している人」の割合を表したもの(利用サービス無回答者は計算から除外)。
例えばタブレット型端末では84.6%と出ているが、これは「タブレット型端末を利用してインターネットにアクセスする人のうち、84.6%がソーシャルメディアを利用している」ことになる。「ソーシャルメディア利用者の84.6%がタブレット型端末利用者」「インターネット利用者の84.6%がタブレット型端末でソーシャルメディアを利用している」を意味するのではないことに注意。要は「各機種によるインターネット利用者における、ソーシャルメディアへのアクセス率」を示している。
パソコンは82.9%だが、従来型携帯電話・PHSは77.2%と低め。そしてスマートフォンが84.7%、となり、タブレット型端末とほぼ同じ。意外なことにテレビは86.3%、家庭用ゲーム機でも85.3%との値が出ている。
今件は家庭内・家庭外双方を合わせた値であること、上記にある通り「ソーシャルメディア利用者全体に占める比率」ではなく、「各端末におけるインターネット利用者に占める比率」なことに留意する必要があるが、パソコンよりもスマートフォン・タブレット型端末の方が、そして携帯電話においても従来型携帯電話よりスマートフォンの方が、ソーシャルメディアとの相性がよいことがあらためて確認できる結果となっている。
これをソーシャルメディアおよびそれに類するサービス(広義でのソーシャルメディア)で確認したのが次のグラフ。
それぞれの機種でよく利用されている、相性のよいソーシャルメディアなどの種類の違いがよく出る結果となっている。狭義のソーシャルメディアなどはパソコンよりスマートフォンによる利用率が高く、電子メールではスマートフォンよりもパソコンの方が利用率が高い。またテレビでは多様なソーシャルメディア系サービスが活用されているのも分かる。
電子メールを除けば従来型携帯電話利用者に占める値が低いのは、端末の機能そのものが低く未対応の場合もあるので仕方がないとの見方もある。最近ではサービスを打ち切る事例も多々見受けられる。他方、テレビや家庭用ゲーム機が、イメージ以上にソーシャルメディアの利用に活用されている実態もうかがい知れる。
特に動画投稿・共有サイト(YouTubeやニコニコ動画など)は、テレビと家庭用ゲーム機ともにその機種でのインターネット利用者の7割以上が利用している計算になる。これらの環境下によるインターネットアクセスにおいては、動画投稿・共有サイトはFacebookやツイッターなどのソーシャルメディア以上に、コミュニケーション系サービスとして浸透していると解釈することもできよう。もっとも動画共有サイトの場合は、多分に視聴がメインで、一方向的な面、やや強引だが「利用者が自在に検索し選択できる映像コンテンツ局」「オンデマンド方式のテレビ局」としての認識が強いと思われるのだが。
■関連記事:
【ツイッター44%、LINE38%…若年層のソーシャルメディア利用動向】
【パソコン5割にスマホが4割…ソーシャルメディア利用時にもっとも使う端末は?】
※通信利用動向調査
2022年分は2022年8月末に、「世帯向けは都道府県および都市規模を層化基準とした層化二段無作為抽出法で選ばれた、満20歳以上の世帯主がいる世帯・構成員に」「企業向けは公務を除く産業に属する常用雇用者規模100人以上の企業に」対し、郵送あるいはオンラインによる調査票の配布および回収の形式によって行われている。有効回答数はそれぞれ1万5968世帯(3万9557人)、2428企業。各種値には国勢調査や、全国企業の産業や規模の分布に従ったウェイトバックが行われている。
(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。
(注)本文中の写真は特記事項のない限り、本文で記述されている資料を基に筆者が作成の上で撮影したもの、あるいは筆者が取材で撮影したものです。
(注)記事題名、本文、グラフ中などで使われている数字は、その場において最適と思われる表示となるよう、小数点以下任意の桁を四捨五入した上で表記している場合があります。そのため、表示上の数字の合計値が完全には一致しないことがあります。
(注)グラフの体裁を整える、数字の動きを見やすくするためにグラフの軸の端の値をゼロではないプラスの値にした場合、注意をうながすためにその値を丸などで囲む場合があります。
(注)グラフ中では体裁を整えるために項目などの表記(送り仮名など)を一部省略、変更している場合があります。また「~」を「-」と表現する場合があります。
(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。
(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。
(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。