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マーシュとシンダーガードが加わり、離脱していた2人も復帰。その結果、彼らに押し出されたのは…

宇根夏樹ベースボール・ライター
左から、D.グレゴリアス、M.ビアリング、B.スタール Jul 28, 2022(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 8月4日、フィラデルフィア・フィリーズは、前々日にロサンゼルス・エンジェルスから獲得した2人、ブランドン・マーシュノア・シンガーガードシンダーガードをロースターに入れた。また、家族の死去によってビリーブメント・リストに入っていたカイル・ギブソンが戻ってきて、故障者リスト入りしていたジーン・セグーラも復帰した。

 彼らにロースターの枠を空けるため、8月3日の試合後、フィリーズは、マーク・アッペルベイリー・フォルターをAAA、シーモーン・ムージアーティをAAへ降格させた。そして、翌日、ディーディー・グレゴリアスを解雇した。

 ちなみに、シカゴ・カブスから獲得したデビッド・ロバートソンのロースター入りは、これに先立つ。8月3日の試合前にロースターに入り、その日の試合で登板し、セーブを挙げた。

 解雇されたグレゴリアスは、遊撃のレギュラーだった。5月上旬から1ヵ月、故障者リストに入っていたものの、6月7日~8月3日の50試合中、遊撃手として先発出場は41試合を数える。オールスター・ブレイク後も、12試合中10試合のスターティング・ラインナップに名を連ねていた。

 ニューヨーク・ヤンキース時代の2016~18年に、グレゴリアスは3年続けて20本以上のホームランを打ち、2018年はOPS.829を記録した。2019年のオフにFAになり、1年1400万ドルの契約でフィリーズに入団すると、2020年は60試合すべてに出場し(途中出場を含む)、10本塁打とOPS.827。再びFA市場に出て、フィリーズと2年2800万ドルの再契約を交わした。今シーズンは契約2年目。年齢は32歳だ。

 ただ、昨シーズンは、故障もあって103試合の出場にとどまり、13本塁打とOPS.639に終わった。今シーズンのスタッツは、さらに下降。ホームランは7月16日の1本しかなく、OPSは.567だ。

 8月4日の試合は、セグーラが二塁を守り、前日まで二塁を定位置としていたブライソン・スタールは遊撃に回った。今後は、この2人が併殺コンビを形成する。

 ルーキーのスタールも、8月3日時点の成績は7本塁打とOPS.576に過ぎない。フィリーズは、4月下旬にスタールをAAAに降格させている(5月上旬に昇格)。けれども、今回の場合、降格だけでは枠を空けるのに十分ではない。セグーラは60日間の故障者リストに入っていたので、26人のアクティブ・ロースターに戻すには、40人のメジャーリーグ・ロースターに入れる必要――誰かを40人のロースターから外す必要――があった。

 なお、この試合で、シンダーガードは「完投」した。5イニングを投げて11本のヒットを打たれ、4点を取られたが、5回裏の前に雨天中断となり、そのまま再開されず。フィリーズが5対4とリードしていたので、シンダーガードに白星がついた。

「9番・センター」として出場したマーシュは、いい当たりではなかったものの、3回裏に先頭打者としてヒットを打ち、続く2本のヒットで生還した。

ブランドン・マーシュ(フィラデルフィア・フィリーズ)Aug 4, 2022
ブランドン・マーシュ(フィラデルフィア・フィリーズ)Aug 4, 2022写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ

 フィリーズでは、ライトのブライス・ハーパーが離脱していて、マーシュの両隣を守る2人、レフトのカイル・シュワーバーとレフトのニック・カステヤノスは、どちらも好守とは言い難い。マーシュは、広い範囲をカバーすることが求められる。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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