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【東京オートサロン】大盛況の会場で見つけたレーシングカーの数々

辻野ヒロシモータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト
NGKブースのロータス78

千葉県・幕張メッセで1月10日(金)から12日(日)まで開催された「東京オートサロン(TOKYO AUTO SALON 2014 with NAPAC)」。チューニングカー&カスタムカーのイベントとして知られる東京オートサロンだが、モータースポーツに関する展示も非常に多かった。初日のレポート「史上最大のカスタムカーイベントが開幕!」では主要自動車メーカーのブースや新しく発表されたニュースなどをご紹介したが、今回は会場を歩いて出会ったレーシングカーをご紹介したい。

マツダブースではグランダム王者に輝いたマツダ6が展示

マツダ6・グランダムGX
マツダ6・グランダムGX

「SKYACTIV」ディーゼル技術を売り出し中のマツダは「鼓動」をテーマに情熱の赤を基調にした円形ブースを展開。その入口に展示されているのが「マツダ6」(日本名:アクセラ)のレースカー「マツダ6 グランダムGX」。このマシンは米国のグランダムシリーズに出場したディーゼルエンジンのレーシングカーで、2013年はGXクラスでマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得した。

国内では主だったモータースポーツ活動を行っていない「マツダ」ではあるが、北米マツダ主導でこうしたレース活動を行っている。アメリカのスポーツカー選手権は今年からアメリカンルマンシリーズとグランダムシリーズが統合され「ユナイテッド・スポーツカー選手権」となり、マツダも「マツダ6」で培ったSKYACTIV-DレーシングディーゼルエンジンをLMP2に準ずるシャシーに搭載し、レーシングスポーツカーで参戦することになっている。

日産ブースには電力駆動レーシングカーZEODが展示

Nissan ZEOD
Nissan ZEOD

耐久レースの最高峰「ルマン24時間レース」への出場を予定している日産の「ZEOD RC」は東京オートサロン会場の840台の点字車の中で最も目を引くマシンのひとつ。観客からは「何これ?飛行機?」という声があちこちから聞こえてくる特異なフォルムを持ったこのマシンは、日産が電気自動車「リーフ」で培った技術をレースの世界に持ち込んだレーシングカー。

ルマン24時間の実験的な挑戦を行うマシンに出場が認められる「ガレージ56」という枠で出場し、完走を目指す。実際には電気自動車(EV)ではなく、ルマン24時間レースが開催されるサルテサーキット(1周13.6km)のコースを電力だけで走行することができる性能を持つ。ただ、電力だけでは24時間の長距離レースを走る事は不可能で、ドライバーは電力による走行と1.5Lターボエンジンによる走行をコクピットで選ぶ事ができ、エンジンによる走行中にブレーキ回生で電力走行のためのエネルギーをバッテリーにチャージする仕組み。

今後、EV技術をモータースポーツに活用して行くための意欲的なチャレンジとなり、開発ドライバーにはベテランのミハエル・クルムが起用されるほか、ゲーム「グランツーリスモ」のチャンピオンからプロドライバーになったルーカス・オルドネスも開発を担当する。

オグラクラッチブースにはインタープロトが

インタープロトシリーズKuruma
インタープロトシリーズKuruma

モータースポーツ活動に積極的なクラッチメーカー「小倉クラッチ」のブースには、ルマン24時間ウイナーの関谷正徳氏が主宰し、富士スピードウェイで開催されているインタープロトシリーズのマシン「Kuruma」が展示されていた。

インタープロトシリーズはプロドライバーとアマチュアドライバーがペアを組んでワンメイク車両で戦うレース。黒澤琢弥、中山雄一ら同シリーズに参加したドライバーと関谷氏によるトークショーも開催され、来場者はその話を興味深そうに聞いていた。

ディクセルブースにはGT300のSLSが

メルセデスSLS GT3
メルセデスSLS GT3

昨年の「東京オートサロン」でGAINERのGT300用マシン、メルセデスSLS GT3をアンベールしたブレーキパーツメーカーの「ディクセル」ブースには今年もGT300クラスで活躍したSLSを展示。台湾のGTレースを終えて、日本に帰ってきたばかりのマシンが会場に持ち込まれ、コクピットの中も公開されていた。

「ディクセル」は日本のみならず、海外のモータースポーツへの進出も著しいメーカー。モータースポーツの裾野を広げるべく、国内では様々なレース参加者へのサポートも行っているとのことで、自社製品のPRと共に、モータースポーツに興味を抱く人へのアピールも積極的に行っていた。

随所に見られた旧GT500マシンの展示

「SUPER GT」のGT500クラスに参戦する自動車メーカーが新しいGT500マシンを展示する一方で、昨年まで活躍した旧GT500マシンは各パーツメーカーブースに展示され、モータースポーツファンの目を楽しませていた。

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クラッチの「Exedy」ブースには昨年のチャンピオンマシン「ZENT CERUMO SC」、ホイールの「ENKEI」ブースには「PETRONAS TOM’S SC」、ホイールの「Weds Sport」ブースには「Weds sport ADVAN SC」、タイヤの「ブリヂストン」ブースには「ENEOS SUSTINA SC430」、「DENSO」ブースには「DENSO KOBELCO SC」が展示されるなど、SC430の展示が多かった。

一際目をひいたNGKブースのロータス78

懐かしいマシンでは1970年代のF1マシン「ロータス78」の展示が人気だった。今回、唯一のF1マシンの展示だったと思うが、スパークプラグの「NGK」ブースでの展示。ホンダと共に1960年代にF1に参戦して以来、スパークプラグをF1チームに供給し続けているメーカーらしい展示だ。

折しも70年代のF1が舞台となる映画「RUSH」の公開前。懐かしいJPSカラーのF1マシン、ロータス78の美しさにはやはり見とれてしまう。ボディ下面の空気の流れを利用してダウンフォースを稼ぐグラウンドエフェクトカーという革命的なマシンを間近で見る事ができる貴重な機会となった。

ロータス78
ロータス78

この他、数多くのレーシングカーが展示されていたが、モータースポーツの話題や展示は例年に比べると若干少なかったったような気もする。というのも、国内レースの軸となる「SUPER GT」のGT500クラスのドライバーラインナップもまだ発表になっておらず、新車もテスト中ということで、まだ各チームの体制も不透明な部分が多い様子。それと同時にGT300クラスの体制もこれから固まるという見方が強く、これから数週間の間に国内モータースポーツ業界は一気に動きそうな状況だ。とりあえず、国内の各メーカーのモータースポーツ活動の体制発表を楽しみにしたい。

初日記事:「史上最大のカスタムカーイベントが開幕!」

モータースポーツ実況アナウンサー/ジャーナリスト

鈴鹿市出身。エキゾーストノートを聞いて育つ。鈴鹿サーキットを中心に実況、ピットリポートを担当するアナウンサー。「J SPORTS」「BS日テレ」などレース中継でも実況を務める。2018年は2輪と4輪両方の「ル・マン24時間レース」に携わった。また、取材を通じ、F1から底辺レース、2輪、カートに至るまで幅広く精通する。またライター、ジャーナリストとしてF1バルセロナテスト、イギリスGP、マレーシアGPなどF1、インディカー、F3マカオGPなど海外取材歴も多数。

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