「第5の力」の存在が示唆された!宇宙を支配する4つの力と、未知の力の存在可能性
どうも!宇宙ヤバイch中の人のキャベチです。
今回は「宇宙を支配する4つの力と、第5の力の可能性」というテーマで動画をお送りします。
重力、磁石の力、摩擦力、弾性力など、私たちの日常には様々な力が働いています。
しかしその根源を辿ると、宇宙に存在する力は全て4つの力に分類できると考えられるに至りました。
本動画では、宇宙を支配する4つの力と、未知の「第5の力」の存在可能性についてまとめます。
●宇宙を支配する4つの力
宇宙を支配する4つの力とは、「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」のことです。
それぞれの力について見ていきましょう。
まず「重力」は、質量を持つ物体が周囲の物体を引き付ける「万有引力」のことです。
私たちが地球上で何気なく生活できるのは、私たちの体に地球の中心へ向かう重力が働いているためです。
次に「電磁気力」は、+と-の電荷同士でひきつけ合い、同じ電荷同士だと反発し合う電気的な力のことです。
磁石などの磁力も、この電磁気力で説明可能であると知られています。
そして日常スケールに出てくる重力以外の力は全て、この電磁気力で説明できます。
例えば私たちが物を押したり、持ったりできるのも、原子に含まれる電子が持つ-の電荷同士が反発する、電磁気力のためです。
残る「強い力」と「弱い力」は、ミクロの世界でのみはたらく力であり、私たちが実感することはありません。
「強い力」は、そのまま「強い力(strong force)」が正式名称の力です。
電磁気力と比べて約100倍強いので、このように呼ばれています。
「強い力」は、原子核内の陽子、中性子たちを結び付ける力です。
電磁気力より強い「強い力」が働いているからこそ、+の電荷を持つ陽子が集まった原子核が分離せずに存在できています。
また、陽子と中性子は「クォーク」という素粒子が3つ結びつくことで形成される粒子ですが、そんなクォーク同士も、同じく「強い力」で結びついています。
最後に「弱い力」は、そのまま「弱い力(weak force)」が正式名称の力です。
電磁気力と比べて非常に弱いため、このように呼ばれています。
「弱い力」は、ある粒子を別の粒子に変える力です。メジャーな例では、「ベータ崩壊」が挙げられます。
ベータ崩壊は、原子核内の中性子が陽子に変わり、電子が放出される現象です。
そんなベータ崩壊も、「弱い力」によって引き起こされています。
なお重力は、「弱い力」とも比べ物にならないほど圧倒的に弱い力です。
そのためミクロの世界において重力はほとんど無視できます。
しかし宇宙空間のようなマクロなスケールでは、重力が環境を支配しています。
これは「強い力」や「弱い力」がミクロのスケールでしか働かない力であることに加え、マクロなスケールにおいて電荷は+と-で打ち消し合って中性的となり、電磁気力の影響もほとんど見られなくなるためです。
○「重力」をめぐる大問題
現代の物理学で特に重要とされる2つの理論が、ミクロな世界を記述する「量子力学」と、時空と重力を記述する「一般相対性理論」です。
量子力学において、「力」の解釈は「標準理論」という理論によって、重力以外の3つの力は高い精度で説明可能です。
標準理論の中で「力」は、「力を伝える素粒子」のやり取りで説明されます。
電磁気力は「光子」が、強い力は「グルーオン」が、弱い力は「Zボソン」と「Wボソン」がそれぞれ力を伝えると考えられています。
一方、一般相対性理論において重力とは、「時空の歪み」であると解釈します。
例えば重力波の存在を予言し、実際にそれが観測されたりなど、一般相対性理論もその正しさは常に実証され続けてきました。
しかし一般相対性理論で記述される重力を量子力学的に理解しようとしても、上手くいきません。
これらの理論を統一できる重力の新たな解釈が求められており、現代物理学の大きな課題として立ちはだかっています。
他の3つの力のように、重力を媒介する「重力子」が存在するのかもしれません。
しかし重力が極めて弱い力であることもあり、重力子は未発見です。
今この瞬間も、一般相対性理論と量子力学を統合した「量子重力理論」の研究が進められています。
本題からズレるので今回は深掘りしませんが、量子重力理論として期待されているものとして「超弦理論(超ひも理論)」が有名です。
しかしその正しさを検証すること自体が極めて困難であるとされており、人類が持つ理論と技術の双方の向上が求められています。
●第5の力は存在するのか?
現在知られている「力」は、これまで紹介した4つであり、これらの力への理解だけでも、大方の現象を非常に高い精度で説明することが可能になりました。
しかし最先端の理論が完璧というわけではなく、高精度な理論予測と、高精度な実験結果の間に誤差が観測される場合があります。
このような誤差を説明するために、未知の素粒子や、未知の「第5の力」の存在が囁かれることがあります。
ここでは理論と実験の間に誤差が生じた2つの有名な実例を紹介したいと思います。
○電子・陽電子対の角度の誤差
2015年、ハンガリーの研究所で行われた実験で、標準理論の予測と実験結果の間に誤差が観測されました。
実験内容としては、まず陽子を3個、中性子を4個含むリチウム7原子核に陽子を融合させ、高エネルギーで不安定なベリリウム8原子核を生成します。
不安定なベリリウム8原子核はガンマ線を放ち、安定したベリリウム8原子核になります。
この時放たれたガンマ線は、電子と陽電子のペアに変換されます。
ここで、電子と陽電子が放たれる二方向のなす角度をΘとします。
研究チームは、ベリリウム7原子核に陽子を何度も衝突させ、電子と陽電子の放射方向が成す角Θを調べ、Θ毎の検出事例数を調べました。
Θがどんな確率で決まるのかは、標準理論で正確に予測できます。
理論によると、Θが大きいほど、つまり180度に近付くほど低確率になるため、検出事例も少なくなると予想されます。
しかし実験の結果、理論予測よりも、Θが約140度となる観測事例が有意に多いことが明らかになりました。
これが偶然検出された観測の偏りである確率はたったの約2000億分の1で、つまりほぼ間違いなく理論と実験の間に誤差が実在することになります。
このΘ≒140度における理論予測と実験結果の誤差は、「第5の力」の存在をはじめとした、標準理論では語られない新たな物理の存在を示唆しています。
○ミューオンの「g-2」の誤差
もう一つ有名なのが、ミューオンの「g-2」という値に対する理論的な予測と実験結果の間の誤差が挙げられます。
ここで出てくるgとは「g因子」という値です。
電子のように電荷を持つ素粒子は、磁場の中に置かれるとスピンします。
g因子は、素粒子が磁場の中でどのように振る舞うかを示した値です。
ミューオンは電子と同様に-の電荷を持つ素粒子です。
標準理論では、ミューオンのgの値は2よりほんの少しだけ大きい値であると、極めて正確に計算されています。
つまりミューオンの「g-2」の値は0ではなく、微小ながら正の値となります。
数十年前から世界各地で、ミューオンのg-2の値を調べる実験である「ミューオンg-2実験」が行われてきました。
その結果、理論予想と実験結果の間にわずかなズレが存在していることがほぼ確実視されるに至っています。
現在、g-2は理論的にも実験的にも、極めて正確に求められる値です。
その間に誤差があるということは、標準理論では説明できない何かが存在することを示唆しています。
誤差の説明として、未知の素粒子の存在、未知の次元の存在など様々なものが考えられますが、その中の候補の一つに「第5の力」が挙げられています。
この宇宙には、基本的な4つの力以外にも未知なる力が存在しているのでしょうか?
理論と実験技術の今後の発展から目が離せません。