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「最強の盾と矛」福島由紀と松本麻佑がペア結成、熊本マスターズ出場へ=バドミントン

平野貴也スポーツライター
守備が得意な福島(左)、攻撃が武器の松本がペア結成(写真は合成)【筆者撮影】

 世界の頂点を争ったライバルが、手を組む。バドミントンの岐阜Bluvicは、9月26日、チームの公式SNSを通じて、チームに所属する福島由紀が、松本麻佑(北都銀行)とのペアで、11月12日開幕の熊本マスターズジャパン(BWFワールドツアースーパー500)の女子ダブルスにエントリーすることを明らかにした。

 日本A代表同士のペア組み替えとなる。福島は、廣田彩花(岐阜Bluvic)との「フクヒロ」ペアで活動してきたが、9月13日にペア解消を発表した。松本は、9月4日に永原和可那(北都銀行)との「ナガマツ」ペア解消を発表。同時に、11月10日に行われるS/Jリーグ秋田大会(北都銀行は、岐阜Bluvicと対戦)を最後に、北都銀行を離れることも公表しているが、岐阜Bluvicへ加入するかどうかは不明だ。

世界選手権の決勝で2度対戦したライバル

 福島/廣田と松本/永原は、ともに日本A代表で長く活躍してきた。2018年、19年には、両ペアが世界選手権の決勝戦で対戦し、松本/永原が2連覇した。21年の東京五輪には、同国から最多2ペアしか出られない条件の中、2組が日本代表として出場し、ともにベスト8だった。今夏のパリ五輪の出場権獲得レースでも日本勢2番手の切符を争うライバルだった。レース終盤に廣田が負傷で離脱。その間にレースランキングを逆転した松本/永原が五輪の出場権を獲得した。通算対戦成績は、松本/永原の8勝7敗だが、2023年の2度の対戦は、福島/廣田が勝利。ともに日本を代表するペアとして世界で活躍し続けた。

21年の団体戦では、金メダリストに大善戦した強力ペア

 一方、日本代表として世界を相手に戦う仲間でもあり、国際大会では、団体戦において福島/松本のペアで3勝1敗の成績を残している。21年10月にデンマークのオーフスで行われた女子国別対抗戦ユーバー杯では、3試合に起用されて2勝1敗。グループリーグのインド戦で勝利した後、韓国との準決勝でも相手エースのイ・ソヒ/シン・スンチャンを2-1(19-21、21-16、21-14)の逆転で撃破。

 中国との決勝戦では、相手のエースであり、後に2024年パリ五輪の金メダルを獲得する陳清晨/賈一凡(チェン・チンチェン/ジァ・イーファン)に惜敗したが、1時間57分の死闘(1-2=27-29、21-15、18-21)を繰り広げた。22年にタイのバンコクで開催されたユーバー杯でもグループリーグのインドネシア戦でペアを組み、勝利を挙げている。

最強の「盾・矛」ペア

 松本は、177センチの長身を生かして角度をつけた強打が最大の武器で、攻撃力が高い。福島は、東京五輪やパリ五輪レースの際、負傷した廣田が満足に動けない中でもコート上をカバーし続けた驚異的な守備力を誇る。世界トップクラスの矛と盾が組むペアとなる。福島が31歳、松本が29歳で両者ともベテランの域だが、キャリアを積む中で得た経験もある。ともに「フクヒロ」、「ナガマツ」のペアでは後衛だったが、2人が組む場合は福島が前衛に入る形が多くなるだろう。11月10日のS/Jリーグが、松本の所属する北都銀行と、福島が所属する岐阜の対戦。2人が直接対決に臨む可能性もあるが、2日後の11月12日に熊本マスターズジャパンは、開幕する。好敵手である2人が組み、福島の故郷である熊本でどんなプレーを見せるか楽しみだ。

スポーツライター

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。サッカーを中心にバドミントン、バスケットボールなどスポーツ全般を取材。育成年代やマイナー大会の取材も多い。

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