“女の闘いの宝石箱”その中身とは?
「日本で唯一の女子総合格闘技」を標榜する女子格闘技イベント『DEEP JEWELS(ディープ ジュエルス)』が11月3日、東京・新宿FACEで開催された。
2016年度最終興行とあって全8試合、注目カードが並んだ今大会。前半戦では柔道歴12年のKINGレイナ(20)や、華DATE(19)、法DATE(18)ら期待の新星が揃って勝利し、パフォーマンスを含めてフルハウスの会場を沸かせた。
後半戦では一転、破壊力のあるパンチと「40代でも強し」を証明すべく闘い続ける姿から“女ダン・ヘンダーソン”との声もあるライカ(40)が、得意の打撃で完勝。またセミの富松恵美(34)、メインに登場の石岡沙織(29)というジュエルスの看板選手2人が揃って敗れる波乱もあった。
セミの勝者、前澤智(28)は試合後、『RIZIN(ライジン)』出場をアピール。メインの勝者、黒部三奈(39)も「年末は空いているのでRIZINを見に行きます」と、自虐気味ながら同じく年末の格闘技ビッグイベントの名を口にした。
年末のRIZINは、決定済みだけで女子の試合が4試合。昨年の倍となったが、すでにRENA、山本美憂、村田夏南子、そして本格派女子高生ファイター、浅倉カンナの初出場が決定している。限られた出場枠獲得に向け、また来年の出場を目指し、女子選手たちのモチベーションは上がっているという。
「今大会に出場した中には、RIZINに出ている選手にジェラシーを抱いて燃えている選手もいますし、地上波放送を契機に『総合をやってみたい』という女性は確実に増えていきている。ジョシカク(女子格闘技)にとってRIZINが、いいきっかけになっているのは間違いない」
そう語るのは、ジュエルスを主催する佐伯繁・DEEP代表だ。
目指すべき大舞台ができ、競技人口も増えつつある。今こそブレイクのチャンスか? だが、長年に渡りジョシカクに携わってきた佐伯代表は決して楽観視はしていない。
「これまでもブームの兆しはあったが、どれも単発に終わっている。これには女子特有の事情があります。たとえばスター候補が出てきても、結婚や出産など、いわゆる女の幸せを選ぶ人も多く、スター輩出のいい流れを作りたくても1年先、1年半先を読みづらい。それもあってブームの“点”がなかなか“線”につながらないわけです」
そうした難しさに直面しながらも、ジュエルスでは海外の大会に選手を送り込む、あるいは結婚、出産を経て復帰した選手に積極的にチャンスを与えるなど、“点”を“線”で結ぶ取組みを続けてきた。
「女子オンリーではなく、男子の大会に女子を数試合組み入れたほうがいいという声もあるが、そうなるとキャリアの少ない若手が試合に出られなくなる。経営面での厳しさはあるが、今が踏ん張りどきです。UFCでもRIZINでも女子が人気を博すなか、女子なら日本でも世界一の格闘技イベントが作れると思うので」(佐伯代表)
RIZINでの女子の活躍いかんで、2017年はさらにジョシカクへの注目度が高まる可能性もある。その意味で“女の闘いの宝石箱”であるジュエルスは、可能性の宝庫とも言えるかもしれない。
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