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五輪男子サッカー。最大の関心は18人の顔ぶれより森保采配。日本の成績は監督で決まる

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

 本日、女子の五輪代表メンバーが発表された。男子(U-24)は22日。誰が選ばれるか。当落を予想する報道を目にするが、男子は接戦だ。U-24日本代表の試合を今月3試合観戦したが、候補選手たちは、よく言えば粒ぞろい。当選者と落選者の間に大きな差はない。突出した選手はいないが、特別落ちる選手もいない。平均点以上の選手がひしめいている。

 A代表についても同じことが言える。粒ぞろい。僅差で多くの選手が並んでいる。海外組、国内組の間に、明確な差はない。オーバーエイジとして五輪チーム(U-24)に加わることになった吉田麻也、遠藤航、酒井宏樹の3人にしても、A代表で1年後もスタメンを張り続けているかと言えば、確実ではない。

 そもそも、選手個人の力を数字化したデータが少ないのがサッカーだ。混沌とした状況に拍車がかかる原因である。頼るものは選者の主観。当落を分ける大きなポイントは、森保一、横内昭展両氏のお眼鏡に敵うか否かだ。選者が変われば顔ぶれは変わる。おそらく3分の1程度は違ってくる。忘れてはいけないサッカー競技の特徴だ。

 選者の眼力は、したがって成績に大きな影響を及ぼすことになる。サッカーは監督で決まると言いたくなる所以だ。特に代表系のチームは、監督の選手をセレクトする能力が、戦力に即反映する。

 いま報じられている当落予想は、森保、横内両氏の目線に基づくものがほとんどだが、この選手は絶対に選ぶべきだと、選者に注文をつけることも忘れてはならない。選考には正解が存在しない。議論の余地はいくらでもある。遠藤保仁、長谷部誠、大迫勇也など、五輪メンバーから漏れながら、後にA代表で活躍した選手、言い換えれば、歴代の五輪監督が選び忘れた選手は、過去に多々存在する。オーバーエイジ問題を含めると、意見はさらに割れるのが自然だ。

 しかも五輪は、ベンチ入りできる登録メンバーが18人。ご承知のようにW杯など通常は23人なので、それより5人も少ない。試合間隔も中2日の強行軍だ。監督の選手をやりくりする力が、問われている。ちなみに、現在開催されているユーロ2020は、登録メンバー26人制(ベンチ入り23人)だ。五輪との違いは鮮明である。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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