今国会も「党首討論」は開かれないのだろうか?
開かれない「党首討論」
国会審議の活性化を図る目的で導入された、「党首討論」が開かれていない。
平成26年の「国会審議の充実に関する申し合わせ」において、党首討論は1ヶ月に1回開催することとされていたが、近年はほとんど開催されていない。
2017年の第193回通常国会では一度も開催されず、2018年の第196回通常国会では2度開かれたが、森友・加計問題について議論は成立せず、当時の安倍晋三首相と立憲民主党の枝野幸男代表はともに「(党首討論の)歴史的な使命が終わった」と述べた。
その後、2019年の第198回通常国会で一度開かれたものの、それ以降は開かれていない。
質疑時間が45分間に限られ、複数の野党党首がこの時間内で分け合わなければならない現状は確かに大きな問題を抱えているが、大局的な観点から政策を議論する「党首討論」(国家基本政策委員会合同審査会)の意義が失われているわけではない。
むしろ、平成30年7月に「平成のうちに」衆議院改革実現会議が提言をまとめたように、さらなる拡充が求められる。
若年層ほど高い「政治家・国会に対する不信感」
というのも、現状、国民(特に若者)から、国会は国民生活の向上に役立っていないと思われているからだ。
たとえば日本財団が行った調査(18歳意識調査)では、国会が国民生活に役に立っているかの問いに、3割が「役に立っていない」とし、半数近くは「わからない」と答えている。
国会の議論に関しても、過半数が「知っている」、「多少は知っている」としているものの、54.8%は「有意義な政策議論の場になっていると思わない」と答え、その理由として「議論が噛み合っていない」、「政策以外のやり取りが多すぎる」、「同じ質問が繰り返される」などの点を指摘している。
同様に、「言論NPO」の「日本の政治・民主主義に関する世論調査」では、若年層ほど「政治家・国会に対する不信感」が高い結果となっており、政治家を自分たちの代表だと思わない理由として、もっとも多かったのは「政治家が有権者を意識するのは、選挙の時だけだから」という理由(37.8%)だったが、次に、「国会で真面目な議論が行われず、何をしているのか分からないから」という理由が19.8%で続いた。
そして、民主主義を機能させるために必要な改革としては、「議会/国会の活性化」が41.5%ともっとも多くなり、国会が「言論の府」として機能しているかという質問に対して、「思う」という人は9%で1割に満たないなど、国会に対する信頼の低さも浮き彫りになっている。
若手版党首討論の取り組み
こうした現状を踏まえれば、国会審議の活性化の必要性は明らかである。
しかし今国会でも「党首討論」は行われておらず、開かれる気配もない。
そのため、筆者が代表理事を務める日本若者協議会では、「若手版党首討論」を企画。
4月26日に、与党第一党(自民党)、野党第一党(立憲民主党)から、それぞれ1名ずつ若手の代表者、牧島かれん衆議院議員と中谷一馬衆議院議員が登壇。
「国会改革」と「脱炭素社会」をテーマに討論を行う。
テレビなどでも少数で政治家同士が討論する機会は非常に限られており、こうした機会を通して政策的議論が活性化していくことを期待したい。