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王座戦第3局、陣屋決戦! 名物のカレーを食べて午後の激しい戦いに ▲永瀬拓矢王座-△木村一基九段

松本博文将棋ライター
(記事中の画像作成:筆者)

 9月22日9時。神奈川県秦野市「元湯 陣屋」において第69期王座戦五番勝負第3局▲永瀬拓矢王座(29歳)-△木村一基九段(48歳)戦が始まりました。棋譜は公式ページをご覧ください。

 一昨日9月20日。両対局者ともに、それぞれ公式戦の対局がありました。永瀬王座は早指しのJT杯で糸谷八段に勝ち。木村九段は順位戦の深夜の激闘で、藤井聡太三冠に敗れています。

 両対局者は昨日21日に対局場に移動。それぞれインタビューがおこなわれています。

木村「(順位戦で藤井三冠と対戦し)いやまあ、くたびれてますし、負けて面白くないから、気分としては最悪に近いところですけど。まあ、こういうところで、うまく気持ちを切り替える人は切り替えるんですよね。ですので、まあ、私に課せられた課題ですね、はい」

 対局場の陣屋は、将棋史上における数々の名勝負がおこなわれてきたところです。

永瀬「ここ陣屋さんで対局するのが5回目でして。一番多く来させていただいて。やっぱりこういう歴史のある場所で対局できることはとてもうれしいことだなと思います」

 昨年9月3日におこなわれた王座戦第1局も、こちら陣屋での対局でした。

 またその3日後、9月6日の叡王戦七番勝負第8局も陣屋での対局です。

木村「負けた方が多い、記憶に残るのかな。王位戦が後半はここでやることが多かったですからね。(2009年王位戦七番勝負)3連勝4連敗のときもここでしたし」

木村「確か、今日は深浦さんが新聞解説じゃなかったかな。まあ、全部思い出すんでしょう。ただ快適に対局もできますしね。ここは対局のときにカレーが出てくるんですよね。まあ、ひとつの風物詩というか。楽しみではありますね。明日は、味わえる余裕はあまりないんですけど(笑顔)」

 明けて本日朝。立会人の塚田泰明九段が対局開始の合図をしました。

塚田「定刻9時になりました。それでは第69期王座戦五番勝負第3局、永瀬王座の先手番で対局を開始してください」

 両対局者は「お願いします」と一礼。持ち時間各5時間(チェスクロック方式)の対局が始まりました。

 第1局は永瀬王座先手で角換わり。本局は相掛かりとなりました。

 角交換のあと、永瀬王座は7筋、木村九段の桂頭を攻めていきます。序盤二十数手にして、一気に激しくなる変化も見えてきました。

 永瀬王座が先に桂得し、32手目、木村九段がと金を払ったところで12時10分、昼食休憩に入りました。昼食は名物のカレーライス。両対局者は味わう余裕があったでしょうか。

 13時、対局再開。永瀬王座は当たりになっている桂を中段に跳ねていきます。形勢はほぼ互角ながら、すでに中盤の激しい戦いが始まっています。

将棋ライター

フリーの将棋ライター、中継記者。1973年生まれ。東大将棋部出身で、在学中より将棋書籍の編集に従事。東大法学部卒業後、名人戦棋譜速報の立ち上げに尽力。「青葉」の名で中継記者を務め、日本将棋連盟、日本女子プロ将棋協会(LPSA)などのネット中継に携わる。著書に『ルポ 電王戦』(NHK出版新書)、『ドキュメント コンピュータ将棋』(角川新書)、『棋士とAIはどう戦ってきたか』(洋泉社新書)、『天才 藤井聡太』(文藝春秋)、『藤井聡太 天才はいかに生まれたか』(NHK出版新書)、『藤井聡太はAIに勝てるか?』(光文社新書)、『棋承転結』(朝日新聞出版)など。

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