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ノート(46) 辞職の際、検事が検察庁に返還しなければならないものとは

前田恒彦元特捜部主任検事
(ペイレスイメージズ/アフロ)

~解脱編(18)

勾留17日目

再び接禁の解除決定

 朝から弁護人との接見を終え、自殺防止房に戻ると、拘置所の刑務官から書類の確認と指印を求められた。裁判官による決定書であり、3日後に迫った10月11日に、1時間だけ、最高検の三浦守検事と検察事務官に限り、接禁を一部解除する、というものだった。

 勾留期限日であり、かつ、起訴予定日だったことから、起訴に先立って僕と面会をし、懲戒免職の告知をした上で、起訴段階では「現職検事ではなく元検事を起訴した」という体裁を取ろうとしているものと思われた。11日は「体育の日」に当たる休日であり、本来は面会が認められない日だったが、おそらく拘置所も特別扱いをするのだろう。

求刑基準

 懲戒免職であれ任意の依願退官であれ、検事を辞めるに際し、必ず検察庁に返還しなければならないものがあった。特に重要なのは、(1)求刑基準、(2)検事バッジ、(3)身分証だった。(1)は、検察が独自に作成している極秘のファイルだ。

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元特捜部主任検事

1996年の検事任官後、約15年間の現職中、大阪・東京地検特捜部に合計約9年間在籍。ハンナン事件や福島県知事事件、朝鮮総聯ビル詐欺事件、防衛汚職事件、陸山会事件などで主要な被疑者の取調べを担当したほか、西村眞悟弁護士法違反事件、NOVA積立金横領事件、小室哲哉詐欺事件、厚労省虚偽証明書事件などで主任検事を務める。刑事司法に関する解説や主張を独自の視点で発信中。

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