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苦情とクレーム時代の心理学

碓井真史社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC
(写真はイメージ)(写真:アフロ)

<苦情、クレーム、セクハラ、モンスター。そんな人たちが大勢うごめいている現代社会。私たちは、どうすればスムーズに生きていけるでしょうか。>

■急増する苦情、クレーム

現代人は、寛容さを失っているとも言われています。その一方で、一流企業の不正が次々と発覚し、国民の信頼を失いかけています。国民生活センターには、年間100 万件近くの相談が寄せられています。

店員を土下座させる客、3時間も説教する客もいます。モンスター化した顧客対応の辛さが、人手不足に拍車をかけているという人もいます。「クレーマー」や「モンスター・ペアレント」「モンスター・ペイシェント」などの言葉も、よく使われるようになりました。

今年2018年に開催された厚労省の有識者会議では、「顧客や取引先からの著しい迷惑行為は職場のパワ ーハラスメントと類似性がある 」として 、「カスタマーハラスメント 」や 「クレーマーハラスメント 」などのネーミングも有効だとも言われています。苦情、クレームに関する新しい言葉が、次々できますね。「モンスターカスタマー」などいう言葉を使う人もいます。

また高齢者の厄介なクレーマーを、「シルバーモンスター」と呼ぶ人もいます。さらにマスメディア関係では、テレビ番組やCMへの苦情も、よく話題になるようになりました。

■苦情とは・クレームとは・リカバリー・パラドックスとは

苦情もクレームも、同じような意味で使われることもありますが、それぞれ次のように定義されています。

苦情とは、「不快感や不信感といった負の感情の処理に関する要求」のことです。

クレームとは、「消費者や顧客の不満に基づく企業側に対する何らかの要求行為」です。

苦情を申し立て、悪質なクレーマー化する人々のほとんどは、暴力団などではなく、普通の人々です。だからこそ、苦情やクレームの問題は大きな社会問題となるのでしょう。

しかしそれでも、顧客が苦情クレームを言って、きちんと対応してもらえたことで、かえってその商品や会社へのイメージが良くなり購買意欲が高まるという「リカバリー・パラドックス」も生じます。

大切なことは、苦情やクレームの心理を理解し、上手に活用することでしょう。

■苦情を言い、クレーマーになりやすい人とは:人はなぜ苦情を言うのか

苦情やクレームを言いやすい人には、どのような性格的な特徴があるでしょうか。

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社会心理学者/博士(心理学)/新潟青陵大学大学院 教授/SC

1959年東京墨田区下町生まれ。幼稚園中退。日本大学大学院文学研究科博士後期課程修了。博士(心理学)。精神科救急受付等を経て、新潟青陵大学大学院臨床心理学研究科教授。新潟市スクールカウンセラー。好物はもんじゃ。専門は社会心理学。テレビ出演:「視点論点」「あさイチ」「めざまし8」「サンデーモーニング」「ミヤネ屋」「NEWS ZERO」「ホンマでっか!?TV」「チコちゃんに叱られる!」など。著書:『あなたが死んだら私は悲しい:心理学者からのいのちのメッセージ』『誰でもいいから殺したかった:追い詰められた青少年の心理』『ふつうの家庭から生まれる犯罪者』等。監修:『よくわかる人間関係の心理学』等。

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