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防御率1点台でタイトルを逃した投手たち。ダルビッシュは3度、内海は2度

宇根夏樹ベースボール・ライター
右から2人がダルビッシュ有、右端が内海哲也 MAR 1, 2009(写真:アフロスポーツ)

 シーズン防御率2.00未満の投手は、1993年から2005年まで、13年続けて皆無だった(規定投球回以上)。その後、2006年から2015年までは、防御率1点台が少なくとも1人はいるシーズンが、10年続いた。2016年以降は、偶数年が不在、奇数年は存在。1年おきになっている。なお、1944年以降に防御率0点台を記録したのは、1970年の村山実(0.98)だけだ。

 2006年以降の防御率1点台は、延べ29人。2009年の吉見一起(中日ドラゴンズ)は防御率2.00未満(1.996…)だが、四捨五入すると2.00なので、ここには含めていない。吉見は2011年(1.65)に続き、2012年も防御率1点台(1.75)ながら、こちらは規定投球回に5.1イニング足りなかった。イニングの不足は、どんなにわずかでも、打席の不足のようにはいかない。そのことについては、「規定打席に届かなくても首位打者にはなれるが、規定投球回に達しないと最優秀防御率のタイトルは獲れない」で書いた。

 1点台の防御率を記録した延べ29人のうち、17人は最優秀防御率のタイトルを手にしたが、12人はリーグ2位か3位、もしくは4位に終わった。割合からすると、10人に4人がタイトルを逃している。

筆者作成
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 ダルビッシュ有(現シカゴ・カブス)は、防御率1点台でタイトルなしのシーズンが3度あり、内海哲也(現・埼玉西武ライオンズ)も、それを2度経験している。

 2007年も2008年も、ダルビッシュとリーグ1位の差は0.01未満だった。2008年は、ダルビッシュのいる北海道日本ハムファイターズが全試合を終えた後、東北楽天ゴールデンイーグルスの岩隈久志(現・読売ジャイアンツ)が6イニングを無失点に封じ、防御率を1.93から1.87へ下げ、ダルビッシュを抜いた。

 また、2011年のダルビッシュは、東北楽天の田中将大(現ニューヨーク・ヤンキース)とともに、1970年の村山以来となる防御率1.50未満を記録した。その後の防御率1.50未満も、2013年の田中(1.27)しかいない。ダルビッシュは、2007年から2011年まで防御率1点台を5年続け、2009年(1.73)と2010年(1.78)にタイトルを獲得した。2012年からは、メジャーリーグで投げている。

 内海は、防御率1点台の2011年と2012年だけでなく、他の年も最優秀防御率のタイトルは手にしていない。ただ、トップ3入りは4度。2007年(3.02)と2008年(2.73)はリーグ3位に位置した。2006年以降に防御率1点台でタイトルを逃した投手では、和田毅(現・福岡ソフトバンクホークス)、攝津正野村祐輔(広島東洋カープ)、マイルズ・マイコラス(現セントルイス・カーディナルス)も、防御率1位になったことはない。

 

 タイトルを逃した選手たちの「打者編」は、こちら。

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ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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