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【NHL】3年連続観客動員ワーストチームを変える「笑顔が似合うロシア人」と「笑顔を見せないロシア人」

加藤じろうフリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家
ドラフト1巡目指名に笑顔を見せるスベチニコフ(Courtesy:@sn_nhl)

 今日から7月。

 NHLをはじめ、日本も含めた世界各国のアイスホッケー界は、新しいシーズンを迎えました。

▼若手選手のキャンプがスタート

 先月22、23両日(現地時間)に開催された「NHLドラフト」をもって、シーズン最後の公式イベントを終えたNHLでは、先月下旬から若手選手たちを中心にしたキャンプを、各チームが行っています。

 「プロスペクトキャンプ」や「ルーキーキャンプ」などの名称で呼ばれる若手選手のキャンプには、ドラフト指名を受けた選手はもちろん、アフィリエイトチーム(=傘下のマイナーチーム)に在籍する選手や、素質を見込まれ招待された選手などが一堂に会して開催。

 開幕ロースター入りを目指す秋のキャンプのメンバーに入るため、大事なアピールの場となります。

▼カロライナのキャンプにファンが集結!

 そんな若手選手たちの姿を見ようと、数多くのファンが集まっていたのが、カロライナ ハリケーンズのホームゲームが行われるPNCアリーナ(ノースカロライナ州)。

 アメリカ東海岸のハートフォード(コネチカット州)から移転したのとともに、ホエラーズから「カロライナ ハリケーンズ」にチームが改まってから22季目になりましたが、今季のプロスペクトキャンプは、過去最多となる4500人のファンが集まりました。

▼ファンの前でプロ契約

 これだけファンが注目しているとあって、カロライナはプロスペクトキャンプの初日に、例年は行っていないセレモニーを実施。

 ドラフト1巡目(全体2位)指名をしたFWの アンドレイ・スベチニコフ(FW・18歳/タイトル写真中央)が、「プロ契約書」にサインする瞬間をファンの前で公開!

▼笑顔が似合うロシア人

 普段はなかなか見られないセレモニーだけに、ファンから大きな声援が飛びましたが、ロシアの生まれながら、NHLでプレーする目標を叶えるため、16歳の時にカザニのジュニアチームを離れて北米へ来たとあって、ファンサービスもお手の物。

 地元のファンと英語でコミュニケーションをとりながら、スタンドに手を振り返したり、サインを求められたら気軽に応じたりと、笑顔が似合うスベチニコフは、早くもファンの心をつかんだようです。

▼元フィギュアスケーターに続く新人賞なるか?

 カロライナの選手で、カルダートロフィー(最優秀新人賞)を受賞したのは、12歳の時にスケートカナダの大会で銅メダルを獲得した異色の経歴を誇るジェフ・スキナー(FW・26歳)が最後。

 スベチニコフには、8季ぶりのカルダートロフィー(最優秀新人賞)への期待が高まります。

▼もう一人のロシア人

 スベチニコフとともに、今季のカロライナには、もう一人注目すべきロシア人FWがいます。

 その選手は、バレンティン・ズィコフ(FW・23歳)です!

バレンティン・ズィコフ(Courtesy:@NHLCanes)
バレンティン・ズィコフ(Courtesy:@NHLCanes)

 ロサンゼルス キングスからドラフト指名(2013年2巡目全体37番目)を受けたズィコフは、傘下のマイナーチーム(AHL・オンタリオ レイン)でプレーしていた一昨年の2月末に、プレーオフへ向けた補強を目ろむロサンゼルスが、クリス・バースティーグ(FW・32歳/現カルガリー フレイムス)を獲得する見返りに、カロライナへトレードされた選手

 環境が変わって心機一転。移籍2年目となった昨季(2017-18)は、AHL(アメリカン ホッケーリーグ=NHLの一つ下のリーグに相当)で最多得点賞に輝き、オールスターゲームにも選ばれる活躍を見せ、飛躍の年としました!

▼笑顔を見せないロシア人

 それだけに、今季はNHLでの活躍が見込まれ、さらなる飛躍が期待されます。

 しかし、そんなズィコフに対して、一部のチームメイトからは、「えっ!?」と思わず耳を疑いたくなる、こんな声が出ているそうです。

「笑顔を滅多に見せない!」

 「見たことがない」と即答する選手や、「一度くらいかな」という回答が聞かれたように、「笑顔を滅多に見せない」という声は確かな模様。

 とはいえ、今季の貴重な戦力になってもらわないと困るポイントゲッターだけに、カロライナファンからの大きな期待が集まります。

▼観客動員率は3年連続最下位・・・

 カロライナは、2009年のプレーオフで、カンファレンス ファイナル(=3rdラウンド)まで勝ち上がって以来、9季続けてプレーオフに進めずにいます。

 その影響もあって、昨季のホームゲームの観客動員数は、1試合平均「13320人」で、全31チーム中「29位」

 しかし、ホームアリーナの観客席数は、チームによっては、最大で「およそ6000人」も差があるため、アリーナごとの収容人員数に対する入場者数を示した「観客動員率」で比較すると、カロライナは、昨季まで「3年連続最下位」になっています。

 10季ぶりのプレーオフ進出を果たして、スタンドが満員となる中、2006年以来、二度目のスタンレーカップ獲得はなるか?

 「笑顔が似合うロシア人」と「笑顔を見せないロシア人」は、低迷が続くチームを変える選手として期待が高まります。

フリーランススポーツアナウンサー、ライター、放送作家

アイスホッケーをメインに、野球、バスケットボールなど、国内外のスポーツ20競技以上の実況を、20年以上にわたって務めるフリーランスアナウンサー。なかでもアイスホッケーやパラアイスホッケー(アイススレッジホッケー)では、公式大会のオフィシャルアナウンサーも担当。また、NHL全チームのホームゲームに足を運んで、取材をした経歴を誇る。ライターとしても、1998年から日本リーグ、アジアリーグの公式プログラムに寄稿するなど、アイスホッケーの魅力を伝え続ける。人呼んで、氷上の格闘技の「語りべ」 

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