池江璃花子さんが前に進むために私たちができること
■ NHKスペシャル「ふり向かずに 前へ 池江璃花子 19歳」5/9(土)
今まで紹介されなかった池江璃花子選手の闘病生活。NHKスペシャルの密着取材です。
飛ぶ鳥落とす勢いで大活躍をしてきた池江璃花子選手。アスリートとしても、一人の人間としても、彼女の悪口など聞いたことがありません。
そんな池江璃花子さんが、白血病になりました。どんなに健康で、どんなに素晴らしい人も、病気になることはあります。
それでも、白血病になった後も、池江さんの発言は、私たちに勇気を与え、絶賛されてきました。
番組は語ります。
「当たり前と思っていたことが、いかに幸せか。泳げなくても、池江璃花子は大切な何かをつかんでいる。過酷な体験さえも、前に進む力と変えようとしていました」。
室内練習を再開した池江璃花子選手。体重が10キロも減り、一流アスリートとしての筋力はすっかり失われています。
それでも、周囲も驚く回復を見せる池江璃花子さん。2024年パリオリンピックを目指します。
「自分の成長が楽しみ。過去を振り返る必要はない。今は目標に向かって進むだけ」。
今は泳げなくても、水泳仲間たちのサポートも行います。
「誰かのためになることに、喜びを感じていました」。
「自分が水泳で活躍できるようになったら、その姿を見せることで、同じ白血病の人に勇気を与えたい」。
そして406日ぶりのプール。
「すごく気持ちいい。すごい。すごい。楽しい。いいなあ、水泳選手」。
池江璃花子さんに、アスリートとしてのスイッチが入りました。タイムを測って欲しいと言います。25メートルを15秒ほどで泳いでいた池江さんですが、今日は19秒41。
でもこれが、池江さん、再スタートの記録です。
「一歩ずつ未来に向かって前へ進む続ける池江璃花子さんです」。
■人としての強さ、弱さ
今回の番組を見ても、池江璃花子さんの素晴らしさ、強さを再認識です。過酷な闘病、リハビリ、トレーニング。過去を見ずに、前を見る姿勢。他の人への気持ち。
でも、そんな池江さんも一人の人間です。まだ19歳の若い女性です。番組では、入院中の病棟で知り合った同棲代の女性と、一緒に泣いた話も紹介されました。
それも、当然です。
2024年のパリオリピックを目指す池江璃花子選手。それが、医学的にスポーツの常識的に、どうなのかは番組では語られませんでした。
頑張って欲しいと心の底から思います。
今日の番組では池江さんの弱さの紹介もありましたが、自分の弱さを知った人は、とても強い人です。
■池江璃花子さんのために私たちができること:「祈り心」
池江さんのお宅には、たくさんの千羽鶴が送られていました。全国民の応援のいもちが伝わります。
応援の気持ちが、池江さんを支えます。
けれども、ただ「がんばれ!」と言えば良いわけではないでしょう。ただ期待すれば良いわけではないでしょう。
池江さんは、今も毎日20錠の薬を飲み続けています。
病気が治りますように。日常生活ができますように。競泳に戻れますように。オリンピックに出られますように。メダルが取れますように。そして幸せになれますように。
私も、そう願います。でも、簡単なことではないでしょう。
一人の闘病中の若い女性に、いつもいつも明るさと元気さと活躍を求め続けることに、不安も感じます。
もしも、その人の、苦しみも悲しみも何も理解しようとせず、ただ期待し、期待に応えられなかったら失望する。それは、本当の応援ではないと思います。そんな偽物の応援は、人にプレッシャーを与えるだけです。
また現状の大変さを理解しないで、ただお気楽にがんばれ、きっと上手くいくなどと言われても、うれしくはないでしょう。
トレーニングを再開したとは言え、まだ闘病中の池江璃花子さんに必要なのは、私たちの「祈り心」ではないでしょうか。
現状だけを見て希望を持たないわけではない。期待だけして現状を見ないわけでもない。現状の辛さと、目標に向かう厳しさと、本人の汗と涙を理解したその上で、活躍と幸せを願い、祈る。
それが、祈り心です。
池江璃花子さんに限らず、重い病気で苦しんでいる全ての人、目標を目指して頑張っている全ての人達に、必要なことです。
どんなに現状が苦しくても、未来を信じて期待します。周囲も、本人も、一生懸命に前に進みます。そしてその結果、どのようになったとしても、本人を讃えます。共に泣き、共に笑います。
本当に「がんばれ」と言って良い人は、その人の汗と涙を理解しているだけ人です。その祈り心に伴う「がんばれ」は、きっと力になるでしょう。
私たちも、池江璃花子さんと共に、振り向かず前に進みたいと思います。
*健康心理学の研究によると、祈られている人の病気の回復は早くなります。これは、科学的な事実です。