顔のどの「部位」を動かしたら、コミュニケーション能力が高くノリがいい人と見られるか?
「ノリ」と「イノベーター理論」
「ノリがいい人」というのは、その場の空気、雰囲気に「乗る」ことができる人です。この「乗る」は、「調子に乗る」や「流行に乗る」という表現でも使います。「ノリがいい人」は、あまり深く考えず、周囲に影響されて意思決定する人のこと。「ノリが悪い人」は、周囲に感化されたほうがいいときでも、考えすぎるのか周りに合わせることができない人のことを指します。
「調子に乗る」必要はないですが、周りに「調子を合わせる」ことは重要なコミュニケーション能力です。「共感力」という重要なスキルに繋がるからです。
たとえば友人10人で集まり、楽しくおしゃべりをしていている最中、1人が突然立ち上がってAKB48のダンスをはじめたとします。その友人が「みんなも一緒に踊ろうよ」と言いはじめたら、周りは失笑し、困惑することでしょう。この方は、周囲に調子を合わせているわけではありません。どちらかというと空気が読めない、わが道をいくイノベーターです。
いっぽう、そのイノベーターに調子を合わせ、「私も踊る!」と言いだす友人はアーリーアダプター。10人中、3人が踊りはじめたら、その場の空気が一変することでしょう。「バカバカしいけど、しょうがない。私も踊るか」と腰を上げるのがアーリーマジョリティ―。10人中5人が踊りはじめました。ノリがいい人は、この5人の中には入っていることでしょう。
「ノリ」と「脳のミラーニューロン」
人間は、知らず知らずのうちに周囲の人に影響を与え、そして与えられています。緊張している人のそばにいると、なぜかこちらも緊張してくるものです。怒っている人の近くにいると、自分までイライラしがちになります。
これはモノマネ細胞と呼ばれる「脳のミラーニューロン」が密接に関わっています。映画やドラマに集中していると、ついつい主人公の感情と自分の感情とがシンクロしてしまうのも、この「ミラーニューロン」のせいです。感情は伝染するものなのです。
その強度によって、ノリがいい、ノリが悪い、が決まってきます。
周囲に感化される力、もしくは感化できる力は「共感力」と言えます。理屈に合っているとか合っていないとかではなく、相手に調子を合わせることができる人、共感できる人は、コミュニケーション能力が高いと言えるでしょう。周囲の雰囲気を察知できず、自分の話したいことだけを話す人は、たとえ「喋り」が上手でもコミュニケーション能力は低い。感度が低いため、周りに合わせることができないのです。
「ノリがいい人」の見分け方
コミュニケーションを考えるうえで、「言語データ」よりも、「非言語データ」のほうに注目します。人の表情ほど、「脳のミラーニューロン」に強い影響を与える「非言語データ」はありません。しかし日本人、東洋人は感情をオモテに出すことが苦手です。コミュニケーション研修のとき、受講者の皆さんに感情表現をわかりやすく表情に出す練習をしてもらうのですが、なかなか難しいようです。
コミュニケーションを活性化させたい場合、少しオーバーかな? やり過ぎかな? と思うほどのリアクションをしてみましょう。意外と、それぐらいでちょうど良いのです。
「うわっ! 本当に?」
「なんだよぉ、やっちまったのかよぉぉぉ!」
「楽しい~!」
「ひえぇぇぇぇ~!」
リアクションするときは、常に頭の中に感嘆符(エクスクラメーション・マーク)を思い浮かべるのです。そして意識すべき顔の部位は「眉毛」。「目」や「口」にも意識を向けるべきでしょうが、自分の「眉毛」を動かすことに最も意識を向けて表情を作ります。反応を示したくない。無表情でいたかったら眉毛を動かさないこと。しかし、何らかのリアクションをとろうと思ったら、眉毛を上げたり下げたり中央に寄せたりして、大げさに表情を作ります。
特に苦手な人とコミュニケーションをするときに効果を発揮します。何を話せばいいんだろうと「言語データ」で悩む必要はありません。相手が言っていることに「共感しているフリ」でもできなければ「この人と話をしていてもノッてこない」「楽しくない」と思われてしまいます。表情や仕草だけでいいのです。子供たちとコミュニケーションするときも、ぜひ「眉毛」の動きに意識してみましょう。