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4冠統一戦へ、熱く燃えるライトヘビー級

林壮一ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属
WBAライトヘビー級チャンプ、ビボル(写真:ロイター/アフロ)

 WBAライトヘビー級チャンピオンのディミトリー・ビボルがサウジアラビアのリヤドで、マリク・ジナドを相手に6ラウンドTKO勝ちを収め、同タイトル14度目の防衛に成功した。

 ビボルにとっては10試合ぶりのノックアウト勝利であり、戦績を23勝無敗11KOとした。

 ビボルは、10月12日に同じ地で、残る同級3本のベルトを保持するアルツール・ベテルビエフとの統一戦に向かうようだ。ビボルvs.ジナド戦後、今日のサウジアラビア・ボクシング界のドンとされるトゥルキ・アラルシクがリングに入り、ビボルvs.ベテルビエフは、10月にライトヘビー級史上初の4団体統一戦として実現させるとアナウンス。

写真:ロイター/アフロ

 両者は本来、先週末に雌雄を決する筈であった。だが、ベテルビエフは数週間前に、半月板断裂の手術を受ける。急遽、代役に抜擢されたのが22戦全勝(16KO)のジナドだった。ジナドは1カ月弱で準備し、初の世界タイトル獲得を狙ってリングに上がったが、如何せん準備時間が足りず、咬ませ犬の役割を払拭できなかった。4月24日にシドニーでIBF挑戦者決定戦に出場し、白星を挙げたばかりのジナドにとっては、酷なスケジュールだったか。

写真:ロイター/アフロ

 33歳のビボルは、初回からワンツー・左ショートフックと3つのコンビネーションをジナドの顔面にヒットしてダウンを奪うと、余裕を持ったアウトボクシングでリングを支配した。

 第6ラウンド、右ストレートでジナドの動きを止めると。ビボルは左フックで更にダメージを与え、最後はコーナーに追い詰めての連打で試合を決めた。レフェリーは打たれるだけの30歳のジナドを救うように両者の間に割って入った。公式KOタイムは、同ラウンドの2分06秒。

写真:ロイター/アフロ

 ご存知のように、ビボルは2022年5月7日にサウル・“カネロ”・アルバレスを3-0の判定で下して自身の存在をアピールした。その彼と、20戦全勝20KOのWBC/IBF/WBO同級3冠統一チャンプ、ベテルビエフが戦うとなれば、注目されない訳が無い。KO率100パーセント39歳と、下のクラスとはいえ、カネロを下したロシア人同士の対決は、否が応でも盛り上がる。

3冠統一王者ベテルビエフ
3冠統一王者ベテルビエフ写真:ロイター/アフロ

 ベテルビエフのケガの回復は順調なのか。是が非でも目にしたい4冠統一戦である。

ノンフィクション作家/ジェイ・ビー・シー(株)広報部所属

1969年生まれ。ジュニアライト級でボクシングのプロテストに合格するも、左肘のケガで挫折。週刊誌記者を経て、ノンフィクションライターに。1996年に渡米し、アメリカの公立高校で教壇に立つなど教育者としても活動。2014年、東京大学大学院情報学環教育部修了。著書に『マイノリティーの拳』『アメリカ下層教育現場』『アメリカ問題児再生教室』(全て光文社電子書籍)『神様のリング』『世の中への扉 進め! サムライブルー』、『ほめて伸ばすコーチング』(全て講談社)などがある。

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