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同じ投手が同じ試合で2つの史上初。「ポストシーズン200奪三振」と「ワールドシリーズ0勝5敗」

宇根夏樹ベースボール・ライター
ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)Oct 23, 2019(写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ)

 ジャスティン・バーランダー(ヒューストン・アストロズ)が、2つの史上初に名を刻んだ。

 ワールドシリーズの第2戦、1回表の2三振に続き、2回表の先頭打者も三振に仕留め、バーランダーはポストシーズンの通算奪三振を199として、歴代最多のジョン・スモルツに並んだ。さらに、被安打を挟んでビクター・ロブレス(ワシントン・ナショナルズ)から三振を奪い、スモルツを抜いて単独トップに立つとともに、ポストシーズン史上初の200奪三振に到達した。4回表と6回表にも、バーランダーはそれぞれ1三振を奪った。

 けれども、ワールドシリーズ初勝利を手にすることはできなかった。7回表を迎えた時点のスコアは2対2。そこから、先頭打者のカート・スズキにホームランを打たれ、次のロブレスを歩かせたところでマウンドを降りた。アストロズは3対12で敗れ、バーランダーには黒星がついた。これにより、ワールドシリーズは通算6登板で0勝5敗に。白星なしで5敗を喫した、史上初の投手となった。

 バーランダーのワールドシリーズ通算防御率は5.73だ。CBSスポーツによると、5先発以上の投手では4番目に高い。ただ、ポストシーズン全体の通算防御率は3.35(14勝10敗)。ディビジョン・シリーズは防御率2.52(8勝1敗)、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズは防御率3.13(6勝4敗)だ。今年の両シリーズは2試合ずつ先発。その防御率は3.38と3.95だった。ちなみに、先日、「カーショウは「最もポストシーズンに弱い大投手」なのか」で考察したクレイトン・カーショウ(ロサンゼルス・ドジャース)は、ディビジョン・シリーズが防御率3.99(5勝4敗)、リーグ・チャンピオンシップ・シリーズが防御率4.61(3勝5敗)、ワールドシリーズが防御率5.40(1勝2敗)。ポストシーズン全体では防御率4.43(9勝11敗)だ。

 今年のワールドシリーズで、バーランダーが白星を挙げる機会が巡ってくるかどうかは、定かではない。第2戦を終えて、アストロズは0勝2敗。第2戦は10月23日だったので、中3日の「ショート・レスト」でも、次の先発登板は10月27日の第5戦だ。アストロズがこのままスウィープされれば、シリーズは第4戦で終わる。もっとも、第3戦か第4戦にリリーフとして投げ、勝利投手になる可能性は皆無ではない。

ベースボール・ライター

うねなつき/Natsuki Une。1968年生まれ。三重県出身。MLB(メジャーリーグ・ベースボール)専門誌『スラッガー』元編集長。現在はフリーランスのライター。著書『MLB人類学――名言・迷言・妄言集』(彩流社)。

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