大きな決断をするのに「4月」が絶好のタイミングである理由
決断できなかった過去は重い
3月中旬となり、年度末が近づいています。年度末が近づくと、この一年を振り返る人もいることでしょう。うまくいったこと、うまくいかなかったこと、いろいろなことを思い巡らせて来年度に向けて決意を新たにする人もいると思います。
「やらずに後悔するよりも、やって後悔するほうがいい」という名言があります。確かに「やったことの後悔」よりも「やらなかったことの後悔」のほうがダメージが大きいと言えます。ところが、一年という短い期間では「やったこと」を思い出すことはあっても「やらなかったこと」を思い出すことは困難です。したがって「何をやらなかったのか」ということで反省しようとしても、意外と難しいものです。
決断力がない人は成長スピードが遅くなります。なぜなら「やらなかったこと」が他人よりも多くなるのにもかかわらず、それらを思い出せないため振り返る材料が乏しくなるからです。
「決定回避の法則」とは?
決断力がない人は、「やろう、やろう」「やりたい、やりたい」「やるべきだ、やるべきだ」と口では言っていても、なかなか決断できません。何か思い立っても、「明日考えよう」「忙しいから来週にでも」「毎年、このシーズンはなんだかんだで時間がない。来月に時間をとってじっくり考えよう」……などと言って、結局は先延ばししてしまいます。
いま決断しないことを決断することを「決定回避の法則」と呼びます。決定回避ばかりしていると、決断できない悪癖から逃れることはできません。決断力は習慣です。決断力がある人は、「決断癖」がついているのです。小さな決断を繰り返しやってきた歴史があるため、いざとなったときに大きな決断ができます。とはいえ決断力のない人に、「失敗を恐れるな」「自信を持て。君ならできる」とアドバイスしても難しいでしょう。心構えでは悪癖を治療するはできません。
「4月」に決断する理由
そこで、正しく決断できるタイミングまで先延ばしをするのはどうかと、私は提案をしたいと思います。決断ができないのは、ストレス耐性が低いからです。ですから、ストレス耐性が高い時期、時間帯を選べば、普段はできない決断もできる可能性が高まります。
ストレス耐性の高い時期は、何かの「節目」です。「誕生日」「入学式」「新学期」「入社日」「結婚」「出産」「会社創立記念日」「期首」そして……「新年度」。
結婚や出産、入学、入社、昇進といった大きな「節目」は、当然のことながら、とてもストレス耐性が高い時期です。ぜひ、なんでもいいので大きな決断をすることを勧めます。「自分は自分だから、これまでと同じようにやっていこう」などと逃げてはいけません。「決断癖」をつけるうえでも、めったにないチャンスに目を向けましょう。
しかし、結婚や出産、昇進……などといった機会は、なかなか訪れないものです。そこで「新年度」です。年に一回、必ずやってくる「新年度」は、誰にも平等に訪れる神聖な「節目」の時。世間は、桜が咲き、新入生、新社会人などの姿が街を彩ります。なかなか大きな決断ができない人、先送りする習慣を治すことができない人は、新年度がスタートする「4月」まではそれらを先延ばしにし、この絶好のチャンスに備え、待つのはいかがでしょうか。その代り、大きな決断をするために今から準備をするのです。実際に、「4月」に入って、大きな決断をするかどうかは別にして、決断のための準備をすることはできるはずです。準備をしているプロセスの中で、自分の気持ちも高揚してくるかもしれません。その経験は決して無駄にはならないと思います。