【交野市】人の世の哀しさを今に伝える「夜泣き石」
11日午前、前回記事でご紹介した源氏の滝へ行く道中で、巨石と立て札を発見しました。一旦は当初の目的である源氏の滝へ行ったあと、帰りに改めて寄ってみました。
立て札には「夜泣き石」と書かれています。この立て札や交野市の公式サイトなどを読むと、「夜泣き石」の伝説はおおむね次の通りです。
昔、この地に源氏姫という美しい姫が、梅千代というかわいらしい少年と住んでいました。二人は他人同士で、ともに母と生き別れたという過去の持ち主です。
実の姉弟のように仲良く暮らしていた2人ですが、あるとき、女性の頭が率いる山賊の手下に誘拐されてしまいます。
手下から2人を誘拐したとの報告を受けた頭は、2人を連れてくるよう命じます。ところが、梅千代は誘拐された際の驚きが大きかったためか、すでに亡くなっていました。それを知った頭は、涙を流して悲しみます。
梅千代の死を無念に思っていた源氏姫は、短刀で頭の胸を刺しますが、頭はこれに抵抗しませんでした。頭は苦しみながら、実は自分が源氏姫と梅千代の父親違いの産みの母であることを打ち明けて、息絶えます。
それを聞いた源氏姫は、実母を殺めた罪をわびながら、付近の滝つぼに身を投げました。以来、夜になると石から泣き声が聞こえるようになった──という話です。
真偽はもちろん定かではありませんが、生き別れた家族、転落人生、誘拐、親子の争いなど、いつの時代にもあるつらくてせつないエピソードの数々がこの石と結びつき、伝説化したのではないか、と想像します。
怪談としての恐ろしさよりも、人の世の哀しさを強く感じながら、この地をあとにしました。