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京都市北区【9・9重陽の節句】奇祭『烏相撲』in上賀茂神社

高津商会RICALIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

重陽(ちょうよう)は、五節句の一つで、9月9日のこと。

陰陽思想では奇数はの数と考えられ、九は一桁の数のうち最大の「」数。

その九が重なる日であることから「重陽」と呼ばれます。

もともと陽の重なりは、不吉なものとされていましたが、吉祥とする考えに転じ、古来宮中などで行われた五節句のひとつとして、祝い事となりました。

旧暦では菊が咲く季節であることから菊の節句とも呼ばれ、邪気を払い長寿を願って、菊の花を飾ったり、菊の花びらを浮かべた酒を酌み交わし、お祝いをしていたようです。

また前夜、菊に綿をおいて、露を染ませ、身体をぬぐうなどの習慣があったそうです。

奇祭『烏相撲』

『斎王代』
『斎王代』

九月九日「重陽」の節句の日。

本来ならば、私は「上賀茂神社」の『烏相撲』神事を拝見しに行きます。

本殿において菊花を供え、延命長寿悪霊退散を祈願。

お互い交互に烏のように横飛びをしながら、真ん中のほうへ
お互い交互に烏のように横飛びをしながら、真ん中のほうへ

京都の奇祭といわれる『烏相撲』では、まず白装束姿の神職が禰宜方(ねぎかた)と祝方(ほうりかた)に分かれ、刀祢と呼ばれる所役2人が弓矢を持ち、弓矢を細殿前の立砂に捧げます。

カーカーカー、コーコーコー
カーカーカー、コーコーコー

その後、烏の横飛びや「カーカーカー」「コーコーコー」と鳴きまねをする所作を行います。

烏の鳴き声で受け答えをするユーモラスな神事とされており、奇祭の一つといわれています。

その後、八咫烏の故事にちなみ、斎王代が観覧される中、子供相撲が奉納されます。

「斎王代」が見守る
「斎王代」が見守る

「上賀茂神社」の祭神の祖父・賀茂建角身命(かもたけつぬみのみこと)が、神武天皇の東征のときに、八咫烏(やたがらす)として先導した故事から、少年による烏相撲を奉納し「無病息災」を祈願したといいます。

初めて拝見した時は、あまりにもその奇祭っぷりに興奮してカメラ片手に走り回っていました。

当日は菊酒の無料接待があります。この日に菊酒を飲むと災厄から逃れるといわれています。

菊酒
菊酒

2020年、2021年の「烏相撲」は残念ながら中止ですが、神事は行われました。

様々な映画やドラマのロケ地としても知られる、『上賀茂神社』。

上賀茂のやしろは寺社仏閣ひしめく京にあってもひときわ古くゆかしい社で、地域の歴史は縄文期まで遡るといわれます。

「高津商会」でもおなじみの『鬼平犯科帳』『水戸黄門』『暴れん坊将軍』など時代劇でも人気のロケ地です。

写真は全て2017年のものですが、来年こそは「烏相撲」が実施されるといいですね。

上賀茂神社
所在地: 〒603-8047 京都府京都市北区上賀茂本山339
電話: 075-781-0011

LIFE&文化芸術☆プロデューサー/ジャーナリスト(京都市)

京都で生まれ育つ。世界各地を周遊、欧米中心に20年ほど滞在し京都に帰還。日本のコアな伝統文化や芸能、神社仏閣や裏歴史、催事らを国内外の旅サイト・雑誌・新聞で執筆。経験に基づく“陰謀説”の電子書籍出版あり。フォトジャーナリスト、写真映像家、音楽・イベントプロデューサー、特殊ツアープロデュース・ガイドから日本庭園庭師までマルチに活躍。日本映画の発祥時より美術に携わってきた”ジャパニーズハリウッド”京都太秦にある老舗『髙津商会』にて映画・美術装飾・アート&エンタメ、海外事業に携わりつつ伝統文化・芸能などに関わる史実や古美術らについて勉強中。『京愛』や『日本愛』を深め世界進出を夢見る毎日。

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