トレードされたら登板しない!? 最下位チームから脱出してポストシーズン初出場のチャンスを得るよりも…
今シーズンも、ボルティモア・オリオールズは100敗以上のペースで負け続けている。前年と同じく、夏のトレード市場では「売り手」に回る。
放出候補の一人には、32歳の先発投手、アンドルー・キャッシュナーがいる。今シーズンは、2年1600万ドルの契約2年目。187.0イニングを投げれば、昨シーズンと合わせて340.0イニングとなり、来シーズンの年俸1000万ドルが確定するが、これまでの最多は2015年の184.2イニングだ。
開幕から11先発して、防御率は4.55。ゴロ率は、スタットキャストとファングラフスのいずれでも、数年ぶりに50%を上回る。ローテーションの4~5番手として、それなりに需要はあるはずだ。オリオールズにいる選手のなかでは、最も売れそうな「商品」かもしれない。キャッシュナー自身も、移籍すれば、初めてポストシーズンで投げるチャンスが出てくる。
けれども、本人の意向は違う。5月24日にジ・アスレティックのダン・コノリーが発表した記事のなかで、キャッシュナーは「トレード拒否権があればいいのに」とコメント。さらに、トレードされた場合、登板することなく家族と過ごすかもしれないと語っている。
オリオールズは、キャッシュナーの同意がなくてもトレードで放出できる。現在の契約にトレード拒否権はついておらず、キャッシュナーは「10&5(テン・アンド・ファイブ)」にも該当しない。メジャーリーグ在籍期間が10年以上で、なおかつ、直近5年以上を同じ球団で過ごしている選手はトレードを拒否できる。キャッシュナーはメジャーリーグ10年目。オリオールズ在籍は2年目だ。
とはいえ、キャッシュナーの発言を受け、獲得に二の足を踏む球団もあるかもしれない。
それにしても、オリオールズはよほど居心地がいいのだろうか。昨年の夏は、アダム・ジョーンズ(現アリゾナ・ダイヤモンドバックス)がトレードを拒んだ。それについては、「「ファイヤー・セール」を実施した球団のなかで、それに背を向けたベテランがいた」で書いた。
昨シーズン終了とともにFAとなったジョーンズは、3月に入ってから、1年300万ドルでダイヤモンドバックスに入団した。