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“美しく勝つボクシング”を見てもらいたい 岩佐亮佑(IBF世界スーパーバンタム級3位)インタヴュー

杉浦大介スポーツライター

11月19日 コネチカット州フォックスウッズカジノ

IBF世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦12回戦

同級3位

岩佐亮佑(セレス/22勝(14KO)2敗)

同級6位

ルイス・ロサ(アメリカ/22戦全勝(10KO))

注/18日の前日計量で岩佐は122パウンドのリミットを下回る121パウンドでクリアしたものの、ロサは1度目が125パウンド、2度目が124パウンドと体重超過。結局、ロサは失格となり、19日の試合はキャンセルになった。以下のインタヴューは1〜2度目の計量の間に収録したもの。

調整中は絶好調

ーー今回の挑戦者決定戦では前日計量相手のロサがリミットを3パウンドオーバーという波乱があったわけですが、岩佐選手の方は121パウンドでパスしました(ロサは再計量予定で、試合挙行は未定)。ウェイト、計量は問題なかったですか?

RI:はい、僕は問題ないです。

ーーブログを見させて頂きましたが、数日前に絶好調と記していましたね。

RI:絶好調です。はい、間違いないと思います。いつも通りといえばいつも通りなんですけど、スーパーバンタム級に上げて、減量が軽くなったんで・・・・・・いつも通り絶好調という感じです。

ーースーパーバンタム級に上げて動きやすくなりましたか?

RI:はい、動きも、力も。自分の理想に近づいてますね。

ーー振り返ってみて、バンタム級では少しきつかったんでしょうか? 

RI:厳しいときもありました。 

ーーアメリカでは初めての試合。移動、計量とイベントが進むうちで、いろいろと戸惑うこともありますか? 

RI:いえ、全部至れり尽くせりなんで。ただホテルにいて、練習のときだけ動いて、あとはもうのんびりしているので、まったく戸惑いはないです。 

ーー結果は残念でしたが、昨年にイギリスでリー・ハスキンスと戦った。そのときの経験は今回にも生きていると思いますか?

RI:かなり生きていると思います。何に関しても動揺はしないですし、今回もイギリスのときと似ているかなという感じです。対応とかも全部そうで、同じ感じなので、2回目だなと。もう慣れたものですね。負けたからにはそれを糧にしなければいけません。(ハスキンス戦では)良い経験をさせてもらったので、全力を尽くして今回は勝ちたいなという気持ちです。

自分の距離が大事

ーー相手のウェイトオーバーは心配ですが、試合を挙行できると仮定して話してください。実際に顔を合わせてみて、印象はどうですか? 

RI:身長が低いですし、小さいなというイメージです。想像していたよりも小柄だなと。手も、足も短いですし。 

ーー相手は無敗の選手ですけど、スタイル的にはガンガン来るタイプ。ファイトプランは?

RI:基本的には自分のボクシングをやります。変に下がりすぎず、相手にしっかりカウンターを合わせていく。誘って、誘って、打たせて、カウンターを打って、位置を変えて、打ち込むみたいな感じですね。

ーー岩佐選手の方が距離は遠くなりそうで、やはり距離の取り合いがポイントでしょうか? 

RI:そうですね。自分の距離でやり続けること。それが勝利に繋がると思います。 

ーー渡米前にはロサはやりにくいタイプではないとも仰ってましたね。 

RI:やりにくくはないと思います。どこまでプレス、パワーがあるかにもよるんですけど、今までの経験上、僕としてはああいうファイターは得意なタイプではあります。 

ビューティフルなボクシング

ーーロサはルー・ディベラ傘下の選手で、今回はディベラ・プロモーションの定期興行“ブロードウェイボクシング”のメインに登場となります。相手にポイントが流れるのが怖いですが、KOは意識しますか? 

RI:いえ、倒しに行こうとは思わないですね。流れで倒せたら良いなとは思いますけど、ポイントを全部取って圧倒するイメージ。明確にポイントを取るということですね。

ーーアメリカには初登場になります。テレビでは録画中継、インターネットでは生中継がありますが、アメリカのファンにここを見て欲しいというのはありますか? 

RI:僕が昔から言っている“美しく勝つボクシング”。それをアメリカで実践して、勝ちたい。それを見てもらいたいです。 

ーー先ほどテレビ解説者のスティーブ・ファーフッドの質問を受けているときにも、「ビューティフルなボクシング」と答えてましたね。 

RI:そう、それなんです。僕の中のテーマが、美しく勝つ。(ただ勝つのではなく、)綺麗に圧倒的に。綺麗なボクシングだな、綺麗に勝ったなと。それが僕の中の理想です。 

ーーその一方で、海外でのチャンスはこれが2度目。もう負けられないという危機感のようなものは感じていますか? 

RI:絶対に勝たなきゃいけないというのは常に考えていること。危機感というよりはワクワクの方が強いです。海外のリングという舞台、こんなに凄いカジノリゾート施設の中で試合ができる。日本の代表じゃないですけど、世界を股にかけて試合ができる選手になれたんだって。危機感よりはそういった気持ちの方があります。

ーー日本でやるよりもむしろワクワクする? 

RI:そうですね、間違いなく。僕はそういう選手になりたいんですよ。日本国内だけで試合をするんじゃなくて、海外で活躍できるように、海外で勝てるチャンピオンになりたいです。 

世界を飛びまわるような日本人選手になりたい

ーー海外ではどういったタイプのボクサーが好みなんですか? 

RI:やはり綺麗なボクサーが好き。昔はマルコム・ツニャカオ(フィリピン)が好きだったんですよ。(セレス小林)会長が戦った試合の映像を見て惚れ込んで・・・・・・美しいボクシングじゃないですか、それに惚れ込んだんです。その尊敬は今でも変わらないし、好きなボクシングスタイルです。最近ではワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)とか、ああいう綺麗なボクシングですね。最近では好きなボクサーと言えばロマチェンコです。

ーー同じ階級のサウスポーではギジェルモ・リゴンドウ(キューバ)もいますが、それよりもロマチェンコ? 

RI:そうですね、リゴンドウは美しくないというか(笑)。あの戦いにはあまり憧れないし、できないなというのもあります。格好良いとはあまり思わないですね。 

ーー“格好良い”というのが岩佐選手のキーワードでしょうか。 

RI:そうかもしれないですね。 

ーー海外進出を意識したのはかなり前?

RI:いえ、ハスキンスとやる前あたりからこういう舞台があるんだと思い始めた。挑戦するならやはり海外に名を売って、そこでやりたいという思いが出てきました。正直、ジムが大きくはないので、僕が日本国内でお金を集めて(世界タイトル戦を)やるのはちょっと難しいかなと思うようになって、だとすれば世界を飛びまわるような日本人選手になりたいと思うようになりました。日本ではできない夢があるなと思うようになったんですよ。 

ーーそれでは明日の試合は勝たなければいけないのはもちろんですが、アピールの舞台でもありますね。 

RI:はい、その通りです。 

ーーボクサーとしての最終的な目標は? 

RI:もちろん世界チャンピオンです。どんな形でも、世界チャンピオン。海外で活躍できる世界チャンピオンになりたいです。

スポーツライター

東京都出身。高校球児からアマボクサーを経て、フリーランスのスポーツライターに転身。現在はニューヨーク在住で、MLB、NBA、ボクシングを中心に精力的に取材活動を行う。『日本経済新聞』『スポーツニッポン』『スポーツナビ』『スポルティーバ』『Number』『スポーツ・コミュニケーションズ』『スラッガー』『ダンクシュート』『ボクシングマガジン』等の多数の媒体に記事、コラムを寄稿している

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