30年ぶりの大雨ですべての山火事が収束へ オーストラリア
深刻な山火事が続いていたオーストラリアに、ようやく明るいニュースが飛び込んできました。
今月5日頃から大雨が降り続いており、南東部ニューサウスウェールズ州では、半数の山火事が収まったと伝えられています。さらに嬉しいことに、消防局は同州で起きている残りすべての山火事が、今週いっぱいで収束すると見込んでいるようです。
衛星画像でもくっきり
下の画像の赤点は、山火事の発生箇所を表しています。左が過去7日間分、右が10日(月)の様子です。
これを見ると全体的にずいぶんと赤点が減少しており、中でも南東部のニューサウスウェールズ州やビクトリア州で激減しているのが分かると思います。
降雨量は?
どれほどの雨が降ったのでしょうか。
オーストラリア気象局によると、ニューサウスウェールズ州ロバートソンでは698ミリ、ポーツビルでは603ミリの雨が6日間で降ったもようです。
またシドニーでは4日間で392ミリの雨が降りました。これは年間降水量の3分の1に匹敵し、1990年に元サイクロン・ナンシーが直撃したとき以来の大雨となりました。
大雨の原因は?
大雨の原因は何でしょうか。
それはオーストラリアの南東の海上に中心を持つ高気圧の影響です。この高気圧の周辺には反時計回りの風が吹いています。その東風が海からの湿った空気をもたらし続け、雨を長引かせているのです。
この雨はいつまで続くのでしょうか。
この高気圧はいよいよオーストラリアから離れていくために今後雨が弱まります。ただ今週いっぱいは、雨の降りやすい天気が続く見込みです。
ダムの水位は?
願ってもいない大雨の到来で、シドニーの水瓶であるダムの水位も急速に回復しています。
10日(月)のダムの貯水率は64%と、1週間前と比べて22%も上昇しているのです。
シドニーでは2019年6月1日から水の使用が制限されていることから、市民も肩をなでおろしている状況だといいます。
大雨による新たな問題点
しかし大雨は諸刃の剣。良いこともあれば悪いこともあります。
今回の大雨で洪水が多発し、強風で停電が起き、大波で海岸が浸食されたりして、多数の家屋に被害が及んでいます。保険会社はすでに10,000件の請求を受けていて、その推定総額は4,500万ドルに上るそうです。
さらに山火事により大量の灰が積もったダムの周辺部に大雨が降ったために、水質汚染も懸念されています。