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消費支出の3.84%、増加傾向だった携帯電話代負担…電話料金と家計支出に占める割合の実情

不破雷蔵グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  
今や携帯電話は日常生活に欠かせない存在。その金銭的負担は(写真:アフロ)

今や日常生活には欠かせない存在となった携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォン双方)。その利用料金は家計にどれほどの負担となっているのか。その実情を総務省の家計調査の結果を基に確認する。

家計調査の公開値から総世帯(単身世帯と二人以上の世帯の合算。要は全部の世帯)における、電話通信料と世帯消費支出を抽出した上で、各種値を算出し、検証を行う。なお「世帯消費支出」とは税金や社会保険料を除外した、「世帯維持に必要な支出」を意味している。

まずは電話通信料の推移。固定電話(据置型の電話。IP電話なども含む)通信料は毎年減少している。携帯電話の利用が増え、固定電話の利用者そのものが減少しているのに加え、IP電話やCATVサービスによる電話の普及で、利用料金が抑えられているのも理由の一つ。最近では固定電話そのものが無い世帯も増えており、それも固定電話料金平均額減少の一因となる。

一方携帯電話通信料は利便性の向上などを受けて携帯電話の普及率が底上げされ、その分増加を示している。また、冒頭で触れている通り単体の通信料も、従来型携帯電話からスマートフォンへと利用端末機種のメインがシフトするに連れ、増額に拍車がかかることになる。

今件グラフのカバー範囲、2003年以降では、2005年にイレギュラーがあったものの、概して通信料総額は漸増、そしてその中でも携帯電話通信料が額・比率ともに増加傾向にある。ただし2008年以降は伸びが緩やかになり、2010年は(リーマンショックの影響もあるのだろう)わずかながら総額、そして携帯電話通信料単体額も前年比からマイナスを示す場面を見せている。

2014年以降はスマートフォンの普及に伴い、携帯電話通信料は大きく増加の一途をたどっており、それに伴い電話通信料の総額も上乗せされている。ただし2017年以降は携帯電話通信料の増加分以上に、固定電話通信量の減少分が大きく、電話通信料の総額はほぼ横ばいを示し、さらに2021年以降は前年比で携帯電話通信料も減少し、電話通信料の総額も減少を示すようになった。

↑ 電話通信料(総世帯、年間、円)
↑ 電話通信料(総世帯、年間、円)

他方、世帯消費支出は収入・可処分所得の漸減(社会保険料の増大が大きな要因だが、同時に高齢者世帯の構成比率増加も小さからぬ要因)などを受け、微減を続けていた。電話通信料の総額は漸増、世帯消費支出は漸減となれば、当然「世帯消費支出に占める電話通信料の総額の比率」は少しずつ増加の傾向を示すことになる。ただし2017年あたりからは社会保険料などの非消費支出の増加だけでなく、収入・可処分所得も、ゆらぎを見せながらも増加の動きを示している。

直近の2022年においては世帯消費支出は前年比で増加、そして電話通信料は減少し、比率は3.84%となり、前年比で0.40%ポイント減となった。新型コロナウイルスの流行により外出などの大型支出機会が減ったため世帯消費支出が大きく減った2020年と比べ、少しではあるが2021年同様に世帯消費支出は増加の動きを示している。世帯消費支出は増加し、携帯電話通信料が減る(固定電話通信料はもちろん漸減中)のだから、世帯消費支出に占める電話通信料の割合は減少して当然ではある。

↑ 世帯消費支出および世帯消費支出に占める電話通信料の割合(総世帯、年間、円・%)
↑ 世帯消費支出および世帯消費支出に占める電話通信料の割合(総世帯、年間、円・%)

電話通信料の金額、消費支出に対する比率、さらには家計への精神的な負担のプレッシャーがともに上昇傾向にあることに違いはなく、自分自身の利用はもちろん、保護者が子供に携帯電話を持たせる際にも、料金関連でより厳しい目を向けるのも当然となる。何しろ子供の大半は、子供自身が使った携帯電話の料金を自分のこづかいからは支払わず、保護者任せにしているのだから。

↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(金融広報中央委員会「知るぽると」の「子どものくらしと
↑ 自分のおこづかいで携帯電話(スマートフォン含む)の使用料を支払っているか(2015年、無回答を除いて再計算)(おこづかいをもらっている人限定)(金融広報中央委員会「知るぽると」の「子どものくらしと

多機能性を誇るスマートフォンの普及に伴い、携帯電話はこれまで以上に便利なツールとして、日常生活においては必要不可欠な存在となりつつある。これは平時はもちろん非常時でも変わらず、その重要性は先の震災でも実体験した人も多いはず。それだけに、一度使い始めたらその利用を止めるのは難しい。

一方で、インターネットにアクセスできる機動性の高い携帯電話の有意義性は十分以上に認識しながら、スマートフォンクラスの充実した機能を求めない層も一定率存在するのは事実。コストパフォーマンスでそろばん勘定をした場合、従来型携帯電話クラスの機能の方が割が合うと判断する次第である。これらの層の需要に応え、かつ今後部品不足が深刻化する従来型携帯電話の代わりとして、OSなどはスマートフォンのものを用い、形状や機能は極力従来型携帯電話を踏襲し、料金体系も従来型のものをそのまま使える、あるいはそれに近いプランを用意する、「ガラホ」なるものが複数社から展開されている。また「格安スマホ」も今後大きな勢力となるに違いない。

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(注)本文中のグラフや図表は特記事項のない限り、記述されている資料からの引用、または資料を基に筆者が作成したものです。

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(注)グラフ中の「ppt」とは%ポイントを意味します。

(注)「(大)震災」は特記や詳細表記のない限り、東日本大震災を意味します。

(注)今記事は【ガベージニュース】に掲載した記事に一部加筆・変更をしたものです。

グラフ化・さぐる ジャーナブロガー 検証・解説者/FP  

ニュースサイト「ガベージニュース」管理人。3級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)。経済・社会情勢分野を中心に、官公庁発表情報をはじめ多彩な情報を多視点から俯瞰、グラフ化、さらには複数要件を組み合わせ・照らし合わせ、社会の鼓動を聴ける解説を行っています。過去の経歴を元に、軍事や歴史、携帯電話を中心としたデジタル系にも領域を広げることもあります。

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