【一挙両得!】ChatGPTのプロンプトを書くときも、人とのコミュニケーションにも役立つ3つ技術
「噂のChatGPT、触ってみたけどまったく使えない」
そう嘆いていたある会計士も、すぐさま自分の非を認めた。プロンプトの書き方を習得することで、
「捉え方が180%変わった」
「AIとITは、まったく違うことを忘れていた」
と、言ったのだ。ある起業コンサルタントも、こう口にしている。
「超優秀だが、業界のことをまったく知らない新入社員が入ってきた、と思えば、うまく付き合える」
この起業コンサルタントは、ChatGPTに「SCAMPER法」を使わせて、次々とビジネスアイデアを出力させている。
面白いのは、ChatGPTのプロンプトを習得していると、予期せぬ効果を得られることだ。これは私自身もそうだし、ChatGPTを有効活用している人の多くがそう実感している。
なぜか?
プロンプトは丁寧に、書く必要があるからだ。『キミが信頼されないのは話が「ズレてる」だけなんだ』でも紹介した。
「認識のズレ」があれば、相手に信頼はされなくなる。ChatGPTにもそうだ。反対に「認識のズレ」がないよう、丁寧にプロンプトを書くと、素晴らしい情報やアイデアを提供してくれる。
これがクセになってくると、リアルな人とのコミュニケーションにおいても、丁寧な話し方になるのだ。
それでは、認識のズレをなくす「丁寧な話し方」とは何か? 尊敬語とか丁寧語を使えばいいのかというと、そうではない。
今回のコラムでは主なテクニック3種類を紹介する。ChatGPTのプロンプトを書くときも、リアルなコミュニケーションにも役立つ。
いよいよアフターコロナが近づいてきた。リアルコミュニケーションで悩んでいる人は特に、最後まで読んでいただきたい。
■(1)曖昧さを排除し、より具体的な情報を含める
曖昧で漠然とした質問は、やめよう。
近年、私はコンスタントに年100回以上のオンラインセミナーを開催し、毎回、多くの質問を受ける。その際、いただく質問の大半が「曖昧で漠然」としたものだ。
「何を、どのように答えたらいいかわからない」
と、いつも感じてしまう。
参加者の大半が経営者、中間管理職であることを考えると、
「普段からこんな質問を、部下にしているのだろうか?」
「これではお互いの認識のズレを減らすことはできない」
と思ってしまう。
ChatGPTに質問するときも、人に何かを尋ねるときも、曖昧で漠然とした表現はやめよう。
それでは、カンタンな事例を2つ紹介する。
【事例1】
悪い例: 「効果的なマーケティング戦略は何ですか?」
良い例: 「中小企業向けに、限られた予算で効果的なマーケティング戦略を展開するための具体的な手法は何ですか?」
良い例は、マーケティングの対象と目的を明確にして質問している。ChatGPTにはもちろんのこと、人に対して質問するときも、このように具体的にしたほうが、はるかいい回答を得やすい。
【事例2】
悪い例: 「健康的な生活を送るためには何をすべきですか?」
良い例: 「40代の男性が、心身の健康を維持するために取り組むべき日常的な運動や食事の習慣は何ですか?」
誰が実践することか? 教えてもらいたい実践方法はどんなものか? これらを具体化させることで、「何をすべきかと言われてもいろいろあるので」と回答者を迷わせなくても済む。
抽象的ではない、このような具体的な質問は、より適切な回答を得るために有効だ。
プロンプトを作成する際に、自分が何を知りたいのか、どのような情報が欲しいのかを明確にする。このクセがつくと、リアルコミュニケーションにおいても、その習慣が活きる。
■(2)質問や要求の背景や状況を説明する
ChatGPTは、質問や要求の背景や状況を説明することで、より適切な回答が得られるように工夫されている。
だからプロンプトもそのように書く必要があるのだ。
それでは、カンタンな事例を2つ紹介する。
【事例1】
悪い例: 「効率的なコミュニケーションの方法は何ですか?」
良い例: 「新型コロナウイルス感染拡大の中、リモートワークを実施している企業が増えています。リモートワークにおいて、効率的なコミュニケーションを実現するための方法は何ですか?」
質問内容に具体的な情報を盛り込むだけでなく、その背景も説明する。こうすることで、ズレの少ない回答が戻ってくるだろう。
【事例2】
悪い例: 「最高のプレゼンテーション方法は何ですか?」
良い例: 「私は入社6年目で、はじめて営業チームのリーダーを任されるようになりました。若い部下たちの模範になりたいのです。クライアントに効果的にプロジェクトを提案するためのプレゼンテーション方法は何ですか?」
回答者は質問の背景を知ることで、プレゼンテーションの方法よりも、この人は「心構え」を知りたいのではないかと想像できる。
このように、質問や要求の背景を明確にすることで、より適切な回答が得られるようになる。
プロンプトを作成する際にも、上司や専門家に質問するときも、自分の状況や目的を明確にし、それを文脈として提供することを忘れないようにしよう。
■(3)回答の精度や詳細さまで依頼する
どのようなレベルの回答を希望するのか?
その精度までを意識したプロンプトは、期待以上の回答を得られる可能性が高い。
私も年間、数えきれないほどの質問を受けるが、そのような質問をされたら、相手の期待を上回る答えをひねり出したいと思う。
それでは、カンタンな事例を2つ紹介する。
【事例1】
悪い例: 「最も効果的な広告方法は何ですか?」
良い例: 「B2B向けのソフトウェア企業が、オンライン広告を活用する場合、具体的にどのような方法が効果的ですか? ROI(投資対効果)が最も高いとされるデータや事例をもとに説明してください」
回答の精度やレベル感も指定することで、期待以上の回答を得られる可能性が高まるだろう。また、こうすることで、
「それは、わからない」
「●●で調べたほうがいい」
「それなら●●さんに聞けば教えてくれるよ」
と、「わからないなりの回答」をもらうリスクを避けることもできる。
【事例2】
悪い例: 「効果的なチームビルディングの方法は何ですか?」
良い例: 「10人以下のスタートアップ企業において、社員のモチベーションを向上させ、チームの生産性を高めるための具体的なチームビルディングアクティビティを3つ教えてください。」
背景のみならず、回答の詳細さも指定することで、ChatGPTは具体的に何を答えたらいいかを理解できる。
世の中にチームビルディングの方法などいくらでもあるため、こちらが求めていない方法までたくさん羅列されても、依頼者は困るだけだ。
これはリアルのコミュニケーションでもよくあること。
「美味しい焼き肉屋はどこにありますか?」
と聞かれたら、パッと思いつく美味しい焼き肉屋さんを紹介してしまうだろう。
「そうじゃなくて、駅から徒歩5分ぐらいで行けて、タンの美味しい焼き肉屋を探してる。幼い子が2人いるから、席の近くにベビーカーを置いても邪魔にならないぐらいの広い店がいい。高くてもかまわない」
このように指定されたら、答えやすい。
「それなら、あの店がいいよ」
「それなら、よくわからないから、このWEBサイトで検索したらいいよ」
と回答できるからだ。
■いよいよアフターコロナ! ChatGPTでリアルコミュニケーション力を鍛える
対話型AI、特にChatGPTを上手に使うためには、プロンプトで前提条件や手順、制約事項などを詳細に伝えることが大切だ。そのほうが精度の高い回答を得やすいからだ。
この技術は、現実のリアルコミュニケーションにも応用できる。
アフターコロナ時代が近づく今、仕事や日常生活でリアルなコミュニケーションが増えていくことは間違いない。効率的な仕事や信頼関係の構築のためにも役立つ。
ChatGPTでプロンプトの書き方を練習することは、「認識のズレ」を減らすコミュニケーションを身につけるうえでも、非常に有効な手段となるだろう。ぜひ試してもらいたい。