これからの教育担当者に必要な5つの能力 連載(5)震災の影響で人材開発はどう変わる
連載企画 これからの教育担当者に必要な5つの能力
(5)震災の影響で人材開発はどう変わる
震災の影響は研修の内容に変化をもたらす震災が与える研修費用への影響は最低限だったと考えられる。震災によって、研修の延期や人数変更などを行なった企業は多かったが、現在は落ち着いてきている。しかし、震災の影響は研修費用に対してではなく、研修の内容、つまり、研修に対する考え方と研修の質に大きな影響を与えたと考えられる。震災を機に、事業拠点の海外シフトの動きは加速、マーケットを海外に求める企業はグローバルに人材を求めるようになってきた。この動きは今に始まったことではないが、震災はこの動きを加速させた。
これにともない、研修部門の役割も、よりグローバルに、よりダイバーシティを意識せざるを得なくなる。研修部門が貢献できる領域は大きくなるだろう。一方で、研修だけでは経営や事業の課題は解決できないのも事実である。実務上でチャレンジングな役割を与え、社員が自ら研鑽をつむ機会を沢山つくることも重要である。
言い換えれば、「人を育てる」のではなく、「人が育つ」組織づくりが必要になる。研修部門の担当者は、経営者、職場の上司にも働きかけて、人が育つための考え方や振る舞い方を伝授していただきたい。それが、「人が育つ」会社をつくることができる研修部門の担当者が持つべき専門性なのである。
(おわり)