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国の一般会計税収は、2023年度も過去最高を更新!その実情は

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
過去最高になった2023年度税収の内訳は(提供:イメージマート)

2023年度の国の一般会計の決算概要が公表され、税収が4年連続で過去最高を更新したことが明らかとなった。

かつて、国の一般会計税収が決算ベースで最も多かったのは、バブル景気が絶頂だった1990年度の60.1兆円だった。1989年度から消費税が導入されたことも影響していた。

ただ、その後はバブル崩壊に伴い景気が後退して税収が減って、さらには景気対策に伴い減税措置も講じられて、1990年度の税収を上回ることがしばらくなかった。

特に、1997年度以降でみると、消費税率が3%から5%に引き上げられた1997年度の税収をしばらく超えたことがなかった。しかし、これは消費税の増税によって日本経済が低迷したために国の税収が落ち込んだことが理由ではない。

国の一般会計税収は、1998年度と1999年度には法人税率の恒久的な引下げ、1999年度から2006年度までは所得税減税を行ったことで減った。さらに、国と地方の税財政改革である三位一体改革が行われ2004年度から始まり2007年度に恒久化した3兆円規模の税源移譲によって、国税の所得税を地方税の個人住民税に移譲したため、国の一般会計税収はさらに減ることとなった。

このように、1997年度以降の国の一般会計税収は、その時期のデフレーションの影響よりも、このような累次の減税や税源移譲といった不可逆的な制度改正の影響で、消費税が増税される2014年度まで、1997年度の水準を超えることがなかった。

しかし、消費税率を8%に引き上げた後の2018年度には、60.4兆円となり1990年度の税収を初めて上回った。2019年度の税収は年度末に新型コロナウイルスの感染拡大に直面したため減少したが、2020年度決算では再び増加し、60.8兆円と再び過去最高を更新した。

2020年度以降、毎年度決算ベースでの一般会計税収は過去最高を更新している。

過去最高を更新している背景には何があるだろうか。それは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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