「政府債務残高対GDP比が下がるから問題ない」というぬか喜び
7月29日に、内閣府から「中長期の経済財政に関する試算」(中長期試算)の改訂版が公表された。中長期試算は、毎年1月頃と7月頃に年2回出されている。
そこでは、2025年度の国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)が黒字になるという試算結果が示されたことで話題になった。
国と地方の基礎的財政収支、税収増で「2025年度に黒字化」と政府試算…実現すれば34年ぶり(読売新聞)
なぜ基礎的財政収支を黒字にしなければならないか。それは、政府債務残高対GDP比を引き下げるためである。
いまや、国と地方に加えて社会保障基金も含めると、政府債務残高対GDP比は、260%近くに達する。戦争をしていない国でこれほどの規模に達しているのは、歴史的にみても人類史上例がない。
本稿冒頭に掲げた図は、そのうち国と地方の部分だけの残高(公債等残高)でみても、210%に達している。この比率を引き下げるためには、基礎的財政収支を黒字にし、黒字分で分子の政府債務残高を減らし、加えて経済成長によってGDPが増えて分母も増えるということが考えられる。
ただ、基礎的財政収支を黒字にするには、歳出を抑制したり税収を確保しなければならない。
特に、歳出を抑制すべきでないと考える人たちからは、基礎的財政収支を黒字にする必要はなく、GDPが大きく増えさえすれば、公債等残高対GDP比は下がってゆくから問題ない、という主張が出ている。
本当に、公債等残高対GDP比は下がっているのだろうか。本稿冒頭に掲げた図をみれば、
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