いちごを全国一買う都市は? 総務省家計調査の全国ランキングで購入金額・量ともに全国ナンバーワンの都市
1月15日は「いちごの日」。全国いちご消費拡大協議会が制定した。1(いち)と5(ご)の語呂合わせである。
農林水産省の「作物統計」によれば、平成28年(2016年)におけるいちごの年間収穫量(生産量)が最も多かったのは栃木県(25,100トン)。2位が福岡県(15,600トン)、3位が熊本県(10,200トン)。
では、いちごは、全国のどこで最も購入されているのだろう。総務省が毎月調査している「家計調査」を確認してみた。家計調査は、全国でおよそ9,000世帯(統計上の抽出方法で選定)を対象に、家計の収入・支出・貯蓄などを毎月調査しているものである。
平成26年(2014年)から平成28年(2016年)の、一世帯(2人以上の世帯)のデータより、年間支出金額と数量を見てみた。これは全国の都道府県庁所在市と、それ以外の政令指定都市(川崎市、相模原市、浜松市、堺市、北九州市)が対象となっている。
いちご購入金額全国1位は栃木県宇都宮市
購入金額の全国1位は、栃木県宇都宮市(4,785円)。生産量の多さと合致する。2位が東京都区部(4,151円)、3位が横浜市(4,039円)。全国平均とランキングは次の通り。
全国平均 3,274円
1位 宇都宮市 4,785円
2位 東京都区部 4,151円
3位 横浜市 4,039円
4位 新潟市 3,956円
5位 京都市 3,925円
6位 前橋市 3,890円
7位 奈良市 3,873円
8位 仙台市 3,789円
9位 さいたま市 3,745円
10位 静岡市 3,722円
11位 盛岡市 3,662円
12位 名古屋市 3,602円
13位 津市 3,569円
14位 川崎市 3,513円
15位 千葉市 3,502円
16位 北九州市 3,410円
17位 甲府市 3,349円
18位 福井市 3,335円
19位 松江市 3,328円
20位 山形市 3,304円
21位 神戸市 3,279円
22位 相模原市 3,257円
23位 高松市 3,185円
24位 大津市 3,156円
25位 広島市 3,118円
26位 岐阜市 3,104円
27位 大阪市 3,077円
28位 金沢市 3,023円
29位 山口市 3,008円
30位 大分市 2,992円
31位 堺市 2,964円
32位 水戸市 2,953円
33位 長崎市 2,930円
34位 浜松市 2,913円
35位 和歌山市 2,905円
36位 富山市 2,892円
37位 長野市 2,879円
38位 岡山市 2,862円
39位 福島市 2,835円
40位 宮崎市 2,818円
41位 徳島市 2,740円
42位 札幌市 2,726円
43位 松山市 2,656円
44位 秋田市 2,616円
45位 高知市 2,590円
46位 佐賀市 2,551円
47位 福岡市 2,476円
48位 鳥取市 2,460円
49位 青森市 2,360円
50位 熊本市 2,324円
51位 鹿児島市 2,149円
52位 那覇市 1,587円
こうして見てみると、年間収穫量では全国2位だった福岡県や3位の熊本県の県庁所在地が、それぞれ全国ランクでは下の方に位置している。
いちご購入量全国1位も宇都宮市
では次に、購入量で見てみよう。
購入金額と同様、量でも1位は宇都宮市(3,733g)。2位が長崎市(3,280g)、3位が静岡市(3,231g)。全国ランキングは次の通り。
全国平均 2,459g
1位 宇都宮市 3,733g
2位 長崎市 3,280g
3位 静岡市 3,231g
4位 盛岡市 3,055g
5位 奈良市 3,035g
6位 新潟市 2,886g
7位 さいたま市 2,884g
8位 東京都区部 2,864g
9位 仙台市 2,833g
10位 前橋市 2,783g
11位 横浜市 2,738g
12位 名古屋市 2,697g
13位 京都市 2,695g
14位 津市 2,645g
15位 水戸市 2,630g
16位 川崎市 2,613g
17位 千葉市 2,571g
18位 北九州市 2,564g
19位 松江市 2,551g
20位 山形市 2,536g
21位 山口市 2,476g
22位 相模原市 2,473g
23位 浜松市 2,408g
24位 宮崎市 2,400g
25位 甲府市 2,373g
26位 松山市 2,371g
27位 広島市 2,365g
28位 富山市 2,334g
29位 大分市 2,331g
29位 岐阜市 2,331g(大分市と同g)
31位 和歌山市 2,311g
32位 福井市 2,273g
33位 秋田市 2,264g
34位 福島市 2,259g
35位 長野市 2,222g
36位 高松市 2,210g
37位 福岡市 2,180g
38位 堺市 2,178g
39位 大津市 2,177g
40位 岡山市 2,144g
41位 大阪市 2,123g
42位 金沢市 2,101g
43位 神戸市 2,095g
44位 青森市 2,064g
45位 徳島市 2,049g
46位 佐賀市 2,039g
47位 熊本市 2,023g
48位 高知市 1,978g
49位 鳥取市 1,960g
50位 鹿児島市 1,830g
51位 札幌市 1,743g
52位 那覇市 1,236g
購入金額では47位だった福岡市が、量では37位(2,180g)に浮上している。熊本市は購入金額50位、購入量が47位。
栃木県の「とちぎ食べきり15(いちご)運動」
購入金額と量ともに全国1位となった宇都宮市がある栃木県では、宴会などの食べ残しを減らすための運動「とちぎ食べきり15(いちご)運動」が実施されている。全国的には、長野県松本市が提唱した「30・10(さんまるいちまる)運動」の方が普及している。宴会の、最初の30分間と最後の10分間は、お酌やおしゃべりをしないで、いったん、席に戻ってきて料理を食べきろうという趣旨である。栃木県は、全国一、いちごの生産量が多いということで、最後の「10分間」を「15分間」とし、「いち(1)ご(5)」の語呂合わせにしたようだ。
この「15(いちご)」を使っているのは、栃木県のほかにも、栃木県内の各市や、千葉館山市の30・15(サンマル・イチゴ)運動などがある。
今月末くらいまでは新年会シーズンが続く。宴会の時には食べきりを心がけたい。
クリスマスケーキ、冷凍しておいたケーキにいちごをのせるケースも
クリスマスの時期は、丸型のケーキの需要が高まる。全てのケーキ店ではないが、大量生産・大量販売の手法を取る企業では、秋のうちに作って冷凍して保管しておき、12月の販売時期になってから、生のいちごをのせる・・・というやり方を取っている場合もある。12月のいちごや正月用の三つ葉など、特定の季節に一気に需要が増える農産物は、関係者にとっては悩ましい。ある小売店の幹部の方が「(一年通して)平均して食べてもらいたい」と話していたのを、講演の時に伺った。
規格外いちごを捨てずにジャムやスムージーに活用
農産物にはサイズなどの「規格」があるため、規格を外れた「規格外」のものは、どこにも出せず、生産者の家族や親戚、知り合いで消費したりする場合がある。加工するには食品加工の施設が必要だし、もし販売するとなれば、決められた食品衛生の基準を満たしていなければならない。筆者の知人も地方で果物を生産しており、規格から外れてしまった「B級品」の扱いに頭を悩ませている。
オイシックスドット大地株式会社の「大地を守る会」は、小さめのサイズのいちごを、ジャム用いちごとして販売している。筆者が講演する時に紹介している、もったいナイ魚・もったいナイシリーズでは、形の不揃いないちごも販売されている。
農家の方が丹誠込めて作った、いちご。無駄にしないで活かしていくことを心がけたい。