台風10号の直撃地域はまだ定まらず、どこで北西から北東方向へ転向するかが最大のポイントに
非常に強い勢力で接近し上陸のおそれ
台風10号は小笠原諸島の南海上にあって、強い勢力に発達しつつ、北上を続けています。今後も勢力を強めながら北から北西方向へ進み、週明け27日(火)午後3時には、中心気圧950hPa、最大風速45メートル、最大瞬間風速60メートルの非常に強い勢力で、西日本の南海上に達する見込みです。
この頃から北東方向へ転向しますが、この転向点がまだ定まっておらず、予報円の真ん中を進むと、いったん紀伊半島の東側を北上する予想となったものが、最新の予報円では、再び紀伊半島の西側を北上し、四国から近畿を直撃するような進路予想となっていて、まさに6年前の”関空台風”を彷彿させるような進路予想となっています。(関連記事)
非常に強い勢力で接近し、上陸も予想される台風10号ですが、比較的コンパクトな構造のため、どこを通過するかで、最も危険な地域が変わってきます。しかしながらまだ転向点が定まっていないため、九州から関東にかけて上陸の可能性がある予報円となっていますが、なぜ転向点が定まらないのかと言えば、それは太平洋高気圧と偏西風との兼ね合いがまだ定まっていないからです。
太平洋高気圧と偏西風との兼ね合い
上図は、日本のGSMモデルにおける台風10号と太平洋高気圧及び偏西風の予想を簡単にみたものです。これによると、あさって26日(月)午後3時の段階では太平洋高気圧に押されるように北西方向へ進みますが、27日(火)午後3時になると、太平洋高気圧の壁が弱まり、偏西風が大きく蛇行するように日本海へ南下してくるため、これに乗っかるように北東方向へ進む予想です。
この太平洋高気圧の勢力が強まれば、転向点がより九州に近づく一方、太平洋高気圧が弱まれば、早いうちから転向し、紀伊半島の南を北東へ進み、関東方面へ近づいてきてもおかしくない状況となっています。
まだ東西や南北方向のぶれ幅が大きな状態
参考までに、上図はGSMモデルを基本とした約50の計算があるアンサンブル予報で、赤い丸が台風10号の中心位置を示しています。これによると、まさに太平洋高気圧と偏西風の兼ね合いにより、東西方向や南北方向に予想のぶれ幅があり、転向点の違いにより、特に28日(水)午後3時の位置は、広範囲に赤い丸が広がっていて、今後も予報円が変わる可能性が十分に考えられる状態です。
ただ転向点の違いによる直撃地域の違いや北上する速度の違いはあれど、西日本あるいは東日本から北日本へ縦断するような可能性は非常に大きくなっていますので、関東から九州にかけての太平洋側はもちろん、偏西風に乗り、速度を上げて通過する予想の北日本にかけても早めの台風対策を行うとともに、暴風、大雨、高波、高潮などに厳重な警戒が必要です。