ドラフトで田澤純一が指名されなかったのは、年齢だけが理由?
田澤純一(埼玉武蔵ヒートベアーズ)の名前が呼ばれることなく、今年のドラフトは幕を閉じた。
今シーズン、田澤は7月にルートインBCリーグの埼玉武蔵と契約し、16登板の計16.0イニングで防御率3.94を記録した。9月には、俗に言う「田澤ルール」の撤廃が決まり、田澤はドラフトの対象選手となった。
「田澤ルール」とそれができた経緯については、田澤が埼玉武蔵に入団した際に「日本の独立リーグでプレーした日本人メジャーリーガーたち。田澤純一の前にも10人以上いるが…」で書いた。
年齢は34歳ながら、メジャーリーガーとしての実績は十分だ。今シーズンは独立リーグで4点近い防御率とはいえ、サンプル数は非常に少ない。また、今月上旬に登板した際に、日刊スポーツは「球場のスピードガンは150キロを2度計測」と報じた。実際に日本プロ野球で通用するかどうかはわからないが、通用する可能性はゼロではないと思われる。
各球団がドラフトで指名した選手の人数は、さまざまだ。少ない球団は5人、多い球団は8人を数えた。特に、早めに指名を終えた球団は、最後としたラウンドの次に――指名が5巡目までの球団なら6巡目――に田澤を指名してもよかったのではないだろうか。田澤が受け入れて入団するかどうかはともかく、それならばリスクはないに等しいはずだ。さらに言えば、育成選手という手もある。
東スポWebの記事は、田澤が指名されなかった理由について、ア・リーグ球団のスカウトのコメントを紹介している。そこには、他の理由とともに「彼の言動には今もメジャー復帰を諦めていないフシが感じられ、獲得する側からはどうしても『腰掛けでプレーするつもりなのか』といううがった見方をされる」とある。
だが、ドラフトで指名されて入団した選手がメジャーリーグへ移るには、海外FA権を取得するか、球団にポスティング・システムの利用を許可してもらうか、球団から自由契約とされるか、それらのいずれかが必要ではないのだろうか。であれば、腰掛けでプレーすることはできないし、私が見落としている手段を用いて、日本プロ野球で1シーズン(来シーズン)だけプレーしてメジャーリーグへ戻るにしても、その1シーズンに活躍すれば、球団も損はしないだろう。外国人選手として、メジャーリーガーを1年契約で迎えたと考えればいい。
「田澤ルール」がなくなっても、そのルールが生まれるきっかけとなった田澤には手を出さない――。どの球団も指名しなかった理由は、そんなことではないと信じたいが、明快な答を見つけることができないでいる。