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日経平均株価が史上最高値を更新し、日本の財政はどうなるか

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
日経平均株価は史上最高値を更新(写真:ロイター/アフロ)

2024年2月26日、東京株式市場で日経平均株価の終値は、史上最高値を更新した。この影響は、日本の財政にどのように及ぶだろうか。

株価が上がれば、その企業の株式時価総額は増加する。企業が保有する売買目的有価証券は、時価評価することが基本となっている。だから、株価上昇に伴う評価益は損益計算書上に反映される。評価益が増えた分だけ、企業の利益が増えたり損失が減ったりする。

株価上昇に伴って、売買目的で保有する株式を持つ企業の利益が増えたら、それだけ法人税をより多く払うことになる。もちろん、法人税の負担は実効税率でみて29.74%なので、法人税をより多く払っても税引き後利益(当期純利益)は増える。

日本の財政への影響は、株価上昇に伴って売買目的で保有する株式の評価益が増えた分だけ、企業の利益が増えることから法人税収が増えることが期待される。

他には、間接的ではあるが、消費の資産効果によって消費が増えると、消費税収が増えるという可能性もある。つまり、株式を直接持つ家計や、株式が組み入れられている投資信託等を持つ家計が、株価上昇に伴い資産価値が増えることを受けて、消費を増やすという効果である。

株価上昇が日本の財政に与える影響は、概ね好ましいものといえよう。株価上昇に伴う影響は、税収面だけに及ぶわけではない。他に影響が及ぶと考えられるのが、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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