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「メンタル強め美女」は本人のまま? オーディション勝率1割から躍進した井桁弘恵が連ドラ初主演

斉藤貴志芸能ライター/編集者
ヘア&メイク/川嵜瞳 スタイリング/コギソマナ(io) (C)テレビ東京

モデル、女優、『おしゃれクリップ』MCに『ヒルナンデス!』レギュラーと、颯爽と活躍を続ける井桁弘恵。今月から『メンタル強め美女白川さん』で連続ドラマ初主演を務めている。「私は私、今日も可愛く、強く!」と、周りのひがみや陰口も笑顔で自己肯定感たっぷりにかわしていく役。ピッタリなキャラクターに思えるが、自身も裏で闘っていることはあると言う。

私はあれこれ考えて割り切ります

――井桁さんも白川さんのようにメンタル強めですか?

井桁 私は白川さんほど強くはないです。白川さんはあいさつして無視されたり、人の言動に傷ついても、すぐ切り替えて笑顔になるシーンが多いんですけど、私はそれほど早くは切り替えられません。でも、あれこれ考えた末に「しょうがないか。もう知~らない」と割り切れるので(笑)、そこはちょっと似ていると思います。

――白川さんも元からメンタルが強いわけでなく、裏で自分と闘っていますよね。

井桁 そうなんです。傷ついてはいるけど落ち込んでいても仕方ないから、ポジティブになるにはどうしたらいいか考えていて。自分の心との向き合い方がとても上手だし、行動に移せるのが強さの秘訣だと思います。

――井桁さんも傍から見ると、きれいで頭も良くて明るくて、悩みと無縁のようにも思えますが、やっぱり陰で闘ってきたこともありました?

井桁 中学でも高校でも将来何をしたらいいかわからなかったし、この仕事を始めてからも、お休みが入るとすごく不安になったり、葛藤はいろいろありました。最近だと、私は食べ始めたら止まらなくて、食欲と闘いました(笑)。

――ダイエットをしたこともあるんですか?

井桁 ゆるダイエットはずっとやっています。食事を16時間空けるとか、青汁を毎日飲むとか。いいと聞いたことはすぐ試してみます。

――白川さんには「何度弱い自分に落ち込んだことか」という台詞がありました。

井桁 私も目標体重に到達したら、ダイエットをやめてしまうので、すぐ戻るんです(笑)。夏バテで痩せたのに、冬は温かいものをいっぱい食べてしまったり。そういう繰り返しなので、キープできたらいいなと。

×が続いて挫けそうになりました

――芸能界では登竜門的なものに相次いで選ばれてきました。

井桁 でも、最初の2年くらいは、受けたオーディションの1割くらいしか受かりませんでした。スケジュール帳に書き出して、受かったら○、落ちたら×を付けていたんですけど、ずっと×が続いて挫けそうになったこともあります。

――そこもポジティブに切り替えて?

井桁 やっぱり落ち込みます。最終審査で残り数人まで行ってダメだったり、受かった人が知り合いだったりもしたので。でも、いろいろな先輩の話を聞く中で、そういうものなんだと。作品によっては顔やスタイルのイメージで決まることもあるから、反省しても意味がない。落ち込むより引きずらないほうが大事だと、考えるようになりました。オーディションで徐々に肩の力が抜けたら、受かる確率が上がってきて、『ゼクシィ』のCMにも選んでいただきました。

――力を抜いたほうが結果が出たんですね。

井桁 「絶対受かってやる!」というより、「楽しもう」と変わりました。面接に呼んでいただいただけでありがたいし、少しでもいい印象を持ってもらえたらという気持ちで臨めたのが、逆に良かったのかなと思います。

衣装協力/MIKAGE SHIN(トップス44000円、スカート52800円)(C)テレビ東京
衣装協力/MIKAGE SHIN(トップス44000円、スカート52800円)(C)テレビ東京

無理して取り繕わないのがいいのかも

――白川さんの台詞では「新人の頃、人と比べられるのが悲しかった」というのもあります。そういうふうに思ったこともありました?

井桁 それはわかります。体型が似ていて年齢も近い人がたくさん仕事をやっていると、「私はどうしたらいいんだろう?」と自分で比べたりもしました。かと言って、その人に寄せても同じことができるわけではないし……とか、いろいろ考えました。

――この『メンタル強め美女白川さん』の主演も含め、最近の仕事の充実ぶりは、努力してきたことが実を結んでいる感覚ですか?

井桁 どうなんですかね? 本当に「叶ったらいいな」と思っていた夢を、この何年かでギュッと実現させてもらえて。自分が一番ビックリしてますけど、私はただ、ひとつひとつを楽しんで、できることを全力でやっただけ。毎回、周りの方に感謝してます。

――自分の何に需要があるとか、何が強みになっているとか、思い当たることはないですか?

井桁 何だろう? 無理をしてないのがいいのかな? 人と話をするのが好きで、ふざけたり、冗談を言ったり、たまに変な顔をしたり(笑)、そういう素の部分を誉めていただくことは多いです。変に取り繕わないで、というか、取り繕えないだけですけど、精神年齢が上がらないところを、大人の方が「無邪気でいいね」と言ってくださいます。

――精神年齢は何歳なんですか?

井桁 この前まで10歳で、今は12歳になりました(笑)。まだ小学生ですね。中学生になれたらいいですけど、ならなくてもいいかなと思ってます(笑)。

――井桁さんはモデルに女優、クイズ番組や『おしゃれクリップ』のMCなど、幅広く活躍されていますが、苦手なジャンルはないですか?

井桁 何でもゲーム感覚で楽しんでいます。「仕事だからやらなきゃいけない」というのは向いてないので、何ごとも新鮮に「今日も楽しくクリアしてやろう」と思っています。

(C)テレビ東京
(C)テレビ東京

現実にいそうなぶりっ子を目指しました

――『メンタル強め美女白川さん』では主演ということで、他の現場と違う振る舞いをしていたりもしますか?

井桁 最初は「ちゃんとしなきゃ」とか「どうしたらいいのか」とか、いろいろ考えすぎて空回りしてしまって。頭が混乱して、このままだと自分が爆発してしまいそうで、本末転倒になりかけました。それで、まずは目の前のお芝居を一生懸命まっとうしようと。今はいつも通り、現場を楽しむようにしています。

――白川さんのぶりっ子ぶりはスムーズにできました?

井桁 自分とかけ離れていて、最初はどうしようかと思いました。でも、いざ野呂(佳代)さんや秋元(才加)さんとお芝居していると、お2人ともお姉さんなので、あざとくやっても妹キャラとして受け入れてくださって。いろいろ試していくうちに、無理せずポーズが出るようになって、アイデアを考えるのも楽しくなりました。

――何かを参考にしたりも?

井桁 現実でそこまでポーズを付けたりする人は、なかなかいないですよね(笑)。『あざとくて何が悪いの?』の田中みな実さんとかをイメージしつつ、原作のマンガでいろいろな仕草が出てくるのも参考にしました。ぶっ飛びすぎないで、現実にもいそうなラインを目指しました。

――鏡を見て練習とかするんですか?

井桁 はい。プライベートではなかなかしないことで、ノリノリでやると楽しいです(笑)。

――原作に寄せる部分もあるんですね。

井桁 そうですね。台詞も原作と同じなら、なるべく近い表現をしたいです。あと、原作では白川さんの持ち物も丁寧に描いてあるので、私もピンクに変えてみようとか、ちょっと取り入れたりもしました。

(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会
(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会

罪悪感が出るものを食べたりします(笑)

――今回、演技に悩む局面もありますか?

井桁 家で1人で自問自答でしゃべるシーンが多いんですね。普段はそんなことしませんし、ドラマでもよくある場面ではないので、1人でどう表現するかは難しいです。

――井桁さんは家に帰ると、どう過ごすんですか?

井桁 すぐにお風呂に入ります。1時間くらいゆっくり浸かって、その間に好きな芸人さんのYouTubeを観たり、音楽をかけて歌ったりしていて。その時間がオン・オフの切り替えになっている気がします。

――帰ってすぐお風呂というのは、何か意味があるんですか?

井桁 疲れていると、お風呂に入る気もなくなってしまうんです(笑)。帰ってきた勢いで入ることが最近は多いですね。

――歌はストレス発散的に大きい声を出して?

井桁 いえ、ちゃんと音程を合わせたいので、うまく歌える音量で歌います(笑)。

――誰かが聴いてるわけでもないのに(笑)?

井桁 そうです(笑)。ちゃんとリズムにも乗せたいし、大きい声を出すと、高い音とか出にくくなるので(笑)。

――ちなみに、どんな曲を歌うんですか?

井桁 あいみょんさんの「ハート」とか、井上苑子さんの曲ですね。

――白川さんは体調が悪いとき、「脳が糖分を欲しているなら摂取すべし」とも言ってます。井桁さんがしんどかった日に家ですることもありますか?

井桁 私もコンビニスイーツを買って帰ったり、塩分が欲しいときは唐揚げだったり、ちょっと罪悪感が出るくらいのものを食べます(笑)。

(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会
(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会

人を誉めたらハッピーな空間になると知れました

――台詞になった白川さんの名言に、心打たれたりはしました?

井桁 白川さんはひとつの言葉のパワーが強くて、すごいなと思います。自分ではそこまでズバッとはいけません。

――「失礼な人間の美意識は信用するに値しない」とか。

井桁 私はネットのアンチコメントにウッとなっても、すぐに切り返せなくて傷つきます。でも、「別にいいもん」と強がって、スルーすることはあります。あと、「人を誉めるのが一番の趣味」というのは素敵だなと思いました。誉めたら自分も相手もハッピーで、いいこと尽くし。相手のファッションをかわいいなと思ったら、そう伝えるだけでハッピーな空間になると、白川さんを通じて改めて知れたので、自分も取り入れたいです。

――白川さんの「心の美容ノート」みたいなものは作っていませんか?

井桁 あそこまで凝ったかわいいノートではないですけど、気になったことや嬉しかったこと、クイズに出そうな雑学とかは(笑)、メモしています。

――最近だと、どんなことをメモしました?

井桁 この前乗ったタクシーの運転手さんがやさしくて。その日は東京マラソンがあって、あちこち通行止めだったんですけど、「○時までにここに行きたいんです」と言ったら、「任せてください」と頑張ってくれました。ほっこりしたので、ノートに書いておきました。

(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会
(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会

難しいことも自分ごととして楽しみます

――井桁さんには人生のポリシー的なものはありますか?

井桁 自分ごととして楽しむ、ですかね。すごく難しいことでも、やらされていると思うのでなく、自分がどう考え方を変えたら楽しめるのか。そういうことを意識しています。スタッフさんとのコミュニケーションの仕方を変えただけでも、一緒にいいものを作ろうと思えます。

――そう考えるようになったのは、最近ですか?

井桁 この仕事を始めてからです。昔はレッスンに通っていて、どういうモチベーションで行ったらいいのか、わからなくなるときもあって。そういうとき、「今日はこれを目標にしてみよう」とか自分でミッションを課して、楽しめるようになりました。仕事であっても考え方を変えて、ずっと楽しいと思えるようにしていきたいです。

――初主演の『メンタル強め美女白川さん』で白川さんを演じることで、1クールでも人生レベルの影響は受けそうですか?

井桁 メンタルについて、すごく考えられる作品です。初めての主演でいろいろ迷ったときも、白川マインドを参考にしたり、演じながら助けてもらえる台詞もたくさんありました。気持ちの切り替え方とか、ここで得た素敵な考え方は、今後も活かせたらいいなと思っています。

(C)テレビ東京
(C)テレビ東京

Profile

井桁弘恵(いげた・ひろえ)

1997年2月3日生まれ、福岡県出身。

2016年に女優デビュー。主な出演作はドラマ『仮面ライダーゼロワン』、『ウソかホントかわからない やりすぎ都市伝説 ザ・ドラマ』、『お耳に合いましたら。』、映画『4月の君、スピカ』、『イソップの思うツボ』、『グッドバイ』など。放送中のドラマ『メンタル強め美女白川さん』(テレビ東京系)に主演。『ヒルナンデス!』(日本テレビ)で水曜レギュラー。『NHK高校講座 地理総合』(NHK Eテレ)に出演中。『MORE』でモデル。

ドラマParavi『メンタル強め美女白川さん』

テレビ東京系/水曜24:30~

公式HP

(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会
(C)「メンタル強め美女白川さん」製作委員会

『メンタル強め美女白川さん』出演中・野呂佳代インタビュー

芸能ライター/編集者

埼玉県朝霞市出身。オリコンで雑誌『weekly oricon』、『月刊De-view』編集部などを経てフリーライター&編集者に。女優、アイドル、声優のインタビューや評論をエンタメサイトや雑誌で執筆中。監修本に『アイドル冬の時代 今こそ振り返るその光と影』『女性声優アーティストディスクガイド』(シンコーミュージック刊)など。取材・執筆の『井上喜久子17才です「おいおい!」』、『勝平大百科 50キャラで見る僕の声優史』、『90歳現役声優 元気をつくる「声」の話』(イマジカインフォス刊)が発売中。

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