オートバイのあれこれ『F1エンジンを手がけたヤマハ』
全国1,000万人のバイク好きたちへ送るこのコーナー。
今日は『F1エンジンを手がけたヤマハ』をテーマにお話ししようと思います。
一般的に「オートバイメーカー」として知られているヤマハ。
(世間一般では楽器かな?)
もちろん、ヤマハ発動機の主力製品はオートバイなわけですが、実はヤマハは多種多様なモノづくりを行っています。
そのうちの一つが、クルマ用のエンジン。
先日、トヨタ往年のスポーツカー『2000GT』やレクサス『LFA』のエンジンをヤマハが手がけたという話をさせてもらったように、ヤマハは四輪の分野でも並々ならぬ実績を残しているのです。
今回は、ヤマハが開発したF1エンジンについて少し話しましょう。
1989年(平成元年)に3.5リッター(3,489cc)V型8気筒エンジン『OX88』のサプライヤーとしてF1に参画したヤマハは、紆余曲折を経て1992年にイギリスのF1コンストラクター『ジョーダン・グランプリ』と手を組むこととなりました。
この時にヤマハは、前年の91年から実戦投入していたOX88の後継エンジン『OX99』をジョーダン・グランプリのマシンへ供給します。
OX99はV型12気筒で、排気量はOX88と同じ3.5リッター(3,489cc)。
ピークパワー600ps以上を出力し、エンジン重量はOX88より5kgほど軽い140kgとなっていました。
このOX99を搭載したジョーダン・グランプリの車両『192』は、F1マシン初となるシーケンシャルミッションを備えるなどの意欲作でした。
しかし、実際にレースで走らせるとOX99の発熱量が想像以上に多く、192はオーバーヒートを起こしやすいといった弱点を抱えることになり、レースでは好成績を収めることができませんでした。
OX99はたしかに高性能ではあったものの、車体全体で考えるとバランスが取れていなかったのです。
当初ジョーダン・グランプリとヤマハは4年間の提携契約を結んでいましたが、192で成績を残せなかったことにより92年限りで契約を終了。
これを機にOX99もF1の世界から姿を消すことになってしまいました。
二輪レースの世界では蓄積があったヤマハでしたが、四輪のほうでは経験不足が露呈してしまったと言わざるを得ないでしょう。
余談ですが、OX99はヤマハが開発し1994年から一般販売する予定だったスーパーカー『OX99-11』に搭載され、その後も生きながらえるかと思われましたが、結局OX99-11の発売も中止となり、OX99のエンジン音を聴けることはもう無くなってしまったのでした。