【宝塚市】晩夏の蓮たち。中山寺の恵日庵池(えにちあんいけ)
梅林が有名な中山寺ですが、実は蓮の花も見事なのをご存じですか。今回は蓮にまつわるお話しをお届けします。
夏の名残の蓮の花
中山寺の境内に『見て・来て宝塚100選』で紹介されるほど綺麗な蓮の花があると聞き、8月下旬に訪れてみました。ところがすでに見ごろを過ぎて撤去されたとのこと。無駄足かと肩を落としていたら、カフェ『梵天』さんの向かい側、恵日庵池(えにちあんいけ)にまだ咲いていると聞き、行ってみることに。
すると池いちめんに蓮、蓮、蓮。
花の数は少ないですが、まだまだ綺麗です。
美しい花の影にはかならず丹精している人がいる。という訳で、後日、手入れをされている植浅(うえあさ)造園の藤田さんにお話しを伺いました。
常寂光寺から譲り受けた100鉢
中山寺にある蓮は、もともとは京都の常寂光寺のもの。平成19年に当時の村主(すぐり)管長が常寂光寺から譲り受けることに決めたのだそう。1種類につきひと鉢ずつ、約100種類をいただいたんだとか。現在みられるのはそのうちの80種類ほどですが、1種類につき3鉢程度に増えていて、中山寺の境内で5月末頃から咲き始め、6月に見ごろを迎えます。中には黄蓮(おうれん)というアメリカ産の珍しい蓮もあるそう。
恵日庵池の蓮は少し遅れて見ごろを迎える
蓮の花は成長するにつれ、根がどんどん大きくなり植木鉢いっぱいに増えてしまいます。鉢の大きさには限りがあるため、年に1回の植えかえ時に間引いたものを、恵日庵池に手作業で植えつけています。
「ですから、恵日庵池では種類がMIXされた花が見られるんです」と藤田さん。
池の蓮たちは冬場に刈り取られ、翌年にまた新しいものが植えられます。
実は、境内に飾られる鉢の蓮たちは、8月9日の星下りの前にすべて撤去されてしまうため、水の量を調節し、少し早く花を咲かせて見ごろを長くしているんだとか。そうした調整をしない池の蓮たちは、自然のままに、鉢よりも少し遅れて見ごろを迎えます。
鉢の植えかえは7人掛かり
池の蓮たちには必要ありませんが、鉢の蓮たちには水遣りが必要です。蓮の葉が大きくなると傘のように根元を覆ってしまうため、雨が降っても水遣りは欠かせないそう。
その他にも1月中旬の土づくりに始まり、3月の植えかえ、その後も水の量の調節や月1回の肥料など、するべきことはたくさん。とくに植えかえは、7人掛かりでも1週間かかる重労働なんだとか。美しい花を咲かせるためには、やはり多くの手間が必要なのです。
植樹勧募
境内を散策していたら、花の絵馬の看板を見つけました。これは、中山寺の植樹勧募(一口千円)に協力した方へ進呈されるもの。季節ごとに7種類から選べます。絵馬に魅かれ、前のめりで協力させていただきました。勧募金は境内の緑化事業につかわれます。
昔に比べて境内の緑は減っているそうですが、参道に鉢の花を置き、新たに植樹するなど、少しでも楽しんでいただけるよう、長く地道な活動を続けておられるとのこと。おかげで今年のような猛暑でも、涼やかな木陰に癒されました。
夏を惜しむ蓮の葉たち
9月に恵日庵池を再訪したら、葉っぱたちが格段に大きくなっていました。わずか数輪ですがまだ咲いている花も。
風に吹かれて静かにゆらめく葉っぱたち。夏が終わります。
場所情報
大本山 中山寺
■ 住所:宝塚市中山寺2-11-1
■ 電話:0797-87-0024
■ 公式ホームページ