神童ウーデゴールの新天地。カンテラ重視と積極補強で、レアル・ソシエダが活性化。
2019-20シーズンに向けて、興味深い補強を行っているクラブのひとつが、レアル・ソシエダだ。
ソシエダは2018-19シーズンのリーガエスパニョーラで9位でフィニッシュした。ヨーロッパリーグ出場権は獲得できず、次のシーズンに巻き返しを図る。
■ウーデゴールとイサク
「ウーデゴールの加入を期待している。我々は彼と2カ月から3カ月にわたり、話し合ってきた。あとは、彼と、レアル・マドリーがそれを望むかどうかだ」
先日、レアル・マドリーに所属するマルティン・ウーデゴールについて問われ、ジョキン・アペリバイ会長はそう答えていた。
ウーデゴールは2015年1月にマドリッドに到着。16歳で、欧州中が彼に注目していた。カルロ・アンチェロッティ政権のレアル・マドリーで、2015年5月23日に行われたリーガエスパニョーラ最終節ヘタフェ戦でトップデビューした。だが、トップチームで公式戦に出場したのは、その1試合のみだ。その後はヘーレンフェーン(2017-18シーズン)、フィテッセ(2018-19シーズン)、レンタル移籍を繰り返してきた。
そして、今月5日、レアル・ソシエダのウーデゴール獲得が正式に発表された。
アヤックス、レヴァークーゼン、ソシエダの3クラブがウーデゴール獲得に乗り出てい。チャンピオンズリーグに出場する2チームではなく、レアル・ソシエダへのレンタル移籍を決めた。その意味は小さくない。
レアル・ソシエダに到着するのはウーデゴールだけではない。ポルトゥ、モディボ・サニャン、アレックス・レミロ、アレクサンデル・イサクを確保している。なかでも、レアリスタスの期待値を高めているのはイサクの獲得だろう。
AIKソルナ(スウェーデン)の下部組織出身であるイサクは、16歳でプロデビューを果たした。2017年1月にはスウェーデンA代表デビューを飾り。ズラタン・イブラヒモビッチの後継者として脚光を浴びた。
2017-18シーズンの冬の移籍市場で、移籍金900万ユーロでソルナからボルシア・ドルトムントに移籍。だがドルトムントでは出場機会に恵まれず、ヴィレム・トヴェーへのレンタル移籍を経て、この夏に移籍金1000万ユーロを準備したソシエダに加入している。
■タレントと課題
ソシエダはイサク(19歳)、ウーデゴール(20歳)、サニャン(20歳)、レミロ(24歳)と若い選手を次々に引き入れている。
2018-19シーズン、ソシエダの平均年齢は25,39歳だった。これはリーガエスパニョーラで最も低い数字だ。加えて、2019-20シーズンに向けてアンデル・バレネチェア、ロビン・ル・ノルマン、アイエン・ムニョス、アンデル・ゲバラと4人のカンテラーノトップチームに昇格する。彼らはいずれも18-19シーズンにトップデビューを飾った選手だ。
ミケル・オジャルサバル、イゴール・スベルディア、ミケル・メリーノは今年の夏にU-21欧州選手権に出場してスペインの優勝に貢献した。メリーノに関しては、2015年夏にU-19欧州選手権制覇を経験している。
有数のタレントが、ソシエダには揃っているのである。
一方で、課題を挙げるなら、安定感と基礎の構築かもしれない。
昨年夏には、アシエル・ガリターノ監督を招聘した。レガネスで実績を残した指揮官を評価。低予算で競争的なチームを作れると期待されていた。だが結果は伴わず、ガリターノが解任されてイマノル・アルグアシル監督がチームを引き継いだ。
2009年にアペリバイ会長が就任した当初、指揮を執っていたのはフアン・マヌエル・リージョ(ヴィッセル神戸前監督)だった。それ以降、実に9人の監督がレアル・ソシエダで指揮を執っている。
18-19シーズンにおいては、4-2-3-1、4-1-4-1、4-3-3とシステムが定まらなかった。経験豊富な選手ならまだしも、若い選手が新天地で素早く適応するためには、基礎と軸が必要になる。
だが今回の補強でソシエダのポテンシャルが高まったのは間違いない。原石が暴れるようなシーズンを期待したいところだ。