サウジアラビアがビザ解禁 年末年始に旅行する方はラクダの感染症にご注意を!
「世界一訪れるのが難しい国」と言われるサウジアラビアですが、2019年9月から観光ビザが解禁になりました。
この年末年始にサウジアラビアに行くという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
サウジアラビアをはじめ中東にお出かけの方は、ラクダからうつる感染症にくれぐれもご注意ください。
中東呼吸器症候群(MERS)はサウジアラビアからの症例が8割以上
中東呼吸器症候群(MERS)という感染症をご存知でしょうか?
2015年に韓国で流行して話題になったので覚えていらっしゃる方も多いかと思います。
このMERSという感染症、名前の通り「中東」で流行している感染症であり、韓国で流行した際もきっかけは中東に出張していた男性からの持ち込みによるものでした。
中東の中でも特にサウジアラビアから症例が多く報告されており、これまでに約2500例のMERS患者が報告されていますが、そのうち約2100例はサウジアラビアからの報告であり、実に全体の8割以上を占めています。
また「呼吸器症候群」という名前の通り、咳や息切れ、発熱などの症状を起こしますが、感染者の37%が亡くなるという非常に重症度の高い感染症であり、今のところ確立した治療法もありません。
MERSコロナウイルスはラクダが持っている
MERSはMERSコロナウイルスというウイルスが原因の感染症ですが、ヒトコブラクダがこのMERSコロナウイルスに感染していることがあり、ヒトコブラクダのしぶきを浴びたり、生または加熱不十分なラクダのミルクを飲んだり、肉を食べたりすることで人に感染することが知られています。
また病院の中や家族内など限られた環境ではありますが、人から人にも咳やクシャミで感染することがあり、韓国での流行は中東からMERSコロナウイルスを持ち帰った人からの感染で広がったもので最終的に186人ものアウトブレイクに繋がりました。
韓国以外でもアジアを含む世界中で旅行者を介してMERSコロナウイルスが持ち込まれた事例が報告されています。
不要なラクダとの接触は避けよう
ときどき旅行会社が中東でラクダツアーなるものを企画しています。
やれラクダに乗るだの、やれラクダのミルクを飲むだの、しまいにはラクダバーガーを食べるだの。
お願いですからわざわざ中東まで行ってラクダと接触するのはやめてください・・・ラクダなら鳥取砂丘にだっているじゃないですか!
ちなみに鳥取砂丘のラクダはMERSコロナウイルスを持っていないことだって調べられているんですよ!絶対安心です!鳥取最高ッ!
万が一・・・どうしてもヒトコブラクダに関わらないといけないやんごとなき事情がある方は、必ず以下のことを守ってください。
・しぶきやよだれなどに接触しそうなヒトコブラクダの顔周辺には近づかない
・ヒトコブラクダの生のミルクや非加熱の肉などを摂取しない
私からの心からのお願いです。
そしてもし上記のようなラクダとの濃厚接触エピソードを経験してしまった場合は必ず帰国時に空港の検疫所に申告してくださいね。
旅行は安心・安全が一番です。
正しい知識を持ち、感染症に気をつけて旅行をお楽しみください。
その他に海外旅行で気をつけるべき感染症についてはこちらをご参考ください。
参考:
厚生労働省検疫所 FORTH中東呼吸器症候群(MERS)に関する注意